食品としての安全性の評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 16:18 UTC 版)
「遺伝子組み換え作物」の記事における「食品としての安全性の評価」の解説
日本においては、遺伝子組換え食用作物(遺伝子組換え食品)の商業的栽培は行われていないが、多量の組換え食品が輸入されている。それらの安全性を確保するため、厚生省は1991年(平成3年)から「安全性評価指針」に基づいて個別に安全性審査を行ってきたが、任意の仕組みであった。安全性審査を法的に義務化することとし、2001年(平成13年)4月1日から、安全性審査を受けていない遺伝子組換え食品の輸入・販売等が禁止された。 また、2003年(平成15年)7月1日に食品安全基本法が施行され、内閣府に食品安全委員会が発足したことに伴い、遺伝子組換え食品の安全性審査は食品安全委員会の意見を聴いて行うこととなった。厚生労働省の「遺伝子組換え食品の安全性審査について」に関連の規則や安全性評価基準についてのリンクがある。詳細はリンク先参照。2019年8月時点で、日本で食品として安全性が確認され使用許可があるGM作物は、8種類320品種である。食品安全委員会の「遺伝子組換え食品(種子植物)の安全性評価基準」によると、食品としての安全性審査における基本的な検討事項は、 組み込む前の作物(既存の食品)、組み込む遺伝子、ベクターなどはよく解明されたものか? 食経験はあるか? 組み込まれた遺伝子はどのように働くか? 組換えることで新しくできたタンパク質はヒトに有害でないか? アレルギーを起こさないか? 組換えによって意図しない変化が起きないか? 食品中の栄養素などが大きく変わらないか? である。上記のアレルギーの検定については、アレルギーの素となるアレルゲンの評価として、 挿入遺伝子の供与体(生物)が、アレルギー(グルテン過敏性腸炎誘発性を含む。以下同じ。)を引き起こすことが知られているか。 挿入遺伝子産物(タンパク質)が、アレルギーを引き起こすことが知られているか。 挿入遺伝子産物(タンパク質)が、加熱やタンパク質分解酵素処理(人工胃液や人工腸液)に対して、安定であるか。 挿入遺伝子産物(タンパク質)に、既知のアレルゲンと共通するアミノ酸配列があるか。 が、初めに調査される。上記4項目で安全性が判断できないときには、 アレルギー患者の血清に含まれているIgE抗体との反応性がないことを確認する。 アレルギー患者の血清を用いる試験で、安全性が判断できないときには、ヒトでの皮膚プリックテストや経口負荷試験などの臨床試験を行う。 ことにより、評価されている。 飼料としての安全性審査は、「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(飼料安全法)」によって規定され、その基準は「遺伝子組換え飼料及び飼料添加物の安全性評価の考え方」に基づいている。
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