きんゆう‐システム【金融システム】
金融システム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/26 14:37 UTC 版)
1969年、口座番号や暗証番号を記録した預金者カードと、その暗証番号と預金者が記憶している暗証番号とを自動的に比較照合するカード照合機からなる個人認証システムを三和銀行(現在の三菱UFJ銀行)と共同開発した。このシステムの開発背景には、当時の金融機関における大衆化戦略とバンキングオンラインシステムの導入があった。それまでの預金の引き出し時の個人認証は、預金者が口座を開設した支店での銀行員による出金伝票に押印された印鑑の印影と預金口座原簿の印影との目視照合であった。しかし、上述のバンキングオンラインシステムの導入によって、預金者は全店での預金の出し入れが可能となる中で、預金口座原簿の印影の無い他店舗での自動個人認証は不可能であった。これを解決したのがこのシステムでありそれ以降の金融システムの開発に繋がった。これは同時に、デパートなど流通業界での現金での買い物からクレジットカードでの買い物を可能にした自動個人認証システムのルーツである。 さらに、上述の預金者カードに預金残高を付加して、銀行員の手を介さない、キャッシュカードによる顧客操作型の現金自動支払機を当時の住友銀行(現在の三井住友銀行)と共同開発した。 また、1970年に三和銀行と現金自動預金機を共同開発、1971年に三菱銀行(現在の三菱UFJ銀行)及び日本NCRと世界で初めてのオンライン方式現金自動支払機を共同開発している。 この金融機関のバンキングオンラインシステムでの顧客毎の元帳ファイルの更新ができるオンライン方式現金自動支払機の採用は当時の金融機関が大衆化戦略として推進していた給与振込の支払いの受け皿としての機能を発揮すると同時に政府が進めていた「週休2日制」導入の大きな後押しとなった。 また同年、家計簿代わりに便利な通帳の通帳記帳機、1972年に多金種・多数枚の両替ができる多能式両替機、1977年に預金の出し入れや通帳記帳の機能を一体化したATMを次々と開発し窓口業務の自動化に貢献した。 これらの機器に使用されるキャッシュカードや通帳表紙の磁気ストライプは日立マクセル、磁気ヘッドはサンエー電機が磁気カード式自動販売機の開発時と同様に、その開発とその後の量産にも携わっている。 また1983年、オムロンはビジネスモデル特許の先駆けとして話題になった「預金残高に応じて普通口座と定期口座間を自動振替するシステム」を創業者と大前研一のアイデアを基に開発チームのメンバーがシステム化した特許を出願している。 なお、伊藤忠商事の協力の下、台湾や韓国でも日本と同一仕様のキャッシュカードや通帳を用いたATMが採用され稼働している。 この金融システムは、現在、日立オムロンターミナルソリューションズで事業継続中である。 磁気カードシステム開発チームのメンバーは、現金自動支払機の量産機の開発過程で、カード所有者の暗証番号の記憶違いの救済と他人によるカードの不正使用の防止の両立を図った、カード不正使用防止方式を考案。この考案によって、1988年に「カード不正使用防止方式の発明」として、公益社団法人 発明協会 より同メンバーに「発明賞」が授与されたほか、翌年の1989年には「自動現金預金支払装置の照合判別機器の開発育成への貢献」として、日本政府により当時の立石電機会長立石孝雄に藍綬褒章が授与された。なお、この方式は有効性コードとして、キャッシュカードの磁気ストライプに採用されている。 またこの開発チームのメンバーは磁気カードシステムの自動改札機への応用システムをも考案している。 ATMは、上記の預金の出し入れや通帳記帳の機能に振込み機能を加えての機能充実や、全国銀行協会加盟の金融機関、ゆうちょ銀行、コンビニでの利用店舗数約11万店舗、設置台数約19万台によるアクセスポイントの充実により今や個人の資金運用管理の重要なツールとなっている。このことは、全国銀行協会加盟の金融機関に限定しても20歳以上の人口の一人当りのカード発行枚数が3.4枚であることからも証明できる。
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