金融スキャンダルの上書き
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 00:03 UTC 版)
「オーストラリア」の記事における「金融スキャンダルの上書き」の解説
ガーディアンが2009年3月から2018年4月までの銀行スキャンダルを年表に書いている。中央銀行(オーストラリア準備銀行)とオーストラリア・ニュージーランド銀行について、それぞれ10件以上の記事がリンクされている。年表が全く取り上げない事実を補足しておく。世界金融危機のとき中央銀行はレポ市場から700億ドル超を借り入れており、ユーロ危機をすぎて2016年以降に再び600億ドル超を記録しようとしている。世界金融危機時の貸し手は特定がむずかしいが、2014年以降のそれは海外機関投資家である。これはつまり、アメリカのシャドー・バンキング・システムが規制されたので、そこへ資金を投下していた大物機関投資家がオーストラリアへ乗り換えてきたのである。自らの関わった世界金融危機を棚にあげて、オーストラリア経済の不祥事を追及し、経営を合理化し、年金債務を整理し、ガバナンスからも収益性を担保しようとした。 2014年7月、マレーシア・インドネシア・ベトナム各国政府高官と関係する汚職について、過去のものを含むあらゆるメディアが政府の命令で検閲を受けていたことが、中央銀行筋でウィキリークスの公開により明らかとなった。この翌年にマレーシアで1MDBをめぐる汚職が報道され、パナマ文書が捜査に活用された。 2017年8月3日、豪金融取引報告・分析センターが、資金洗浄の疑いがある取引について報告義務を怠ったなどとして、オーストラリア・コモンウェルス銀行を連邦裁判所に提訴した。不正の温床とされるのは2012年5月に同行が導入した新型ATMであった。原告によると、2014から15年に起きた香港の犯罪組織が関与したとみられる事件で、容疑者らは同行のATMから30の口座に2059万豪ドルを入金、その大半が即座に海外へ送金された。2017年8月24日、ルパート・マードックの長男を幹事とするコンソーシアムが大手メディアを買収することについて、オーストラリア公取委会長は競争を阻害するものではないと声明を出した。マスメディアは積極的に国内大手銀行の不正を報じて、それらを機関化する流れをつくろうとした。コモンウェルス銀行のスキャンダルをきっかけに、国内金融の不正を追及する王立委員会が設けられた。国内年金ファンドが反発したにもかかわらず、委員会は2017年末に設置され、翌2018年2月12日にメルボルンで公聴会を開催し活動をはじめた。4月19日、コモンウェルス銀行は委員会に対して、死亡した複数の顧客から財政面での助言に対する見返りという名目で手数料を取り続けていたことを認めた。大手金融機関AMPも集団訴訟に直面してCEOが引責辞任する事態となった。2018年7月、オーストラリア証券投資委員会が企業の登録料として実際のコストの数千倍に当たるほとんど内容のないに等しい手数料を請求し、2017年には総額8億170万豪ドルの関連収入を得たことが分かった。王立委員会の考える「不正」については、銀行から反論がなされている。
※この「金融スキャンダルの上書き」の解説は、「オーストラリア」の解説の一部です。
「金融スキャンダルの上書き」を含む「オーストラリア」の記事については、「オーストラリア」の概要を参照ください。
- 金融スキャンダルの上書きのページへのリンク