金融サーヴィスへの移行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 05:35 UTC 版)
「ジェントルマン」の記事における「金融サーヴィスへの移行」の解説
地主貴族以外のジェントルマンが増加しても依然として土地はジェントルマンにとって重要な要素であり続けた。土地に立脚した生活がジェントルマンとしての理想であったこともあるが、ナポレオン戦争以後、穀物法によって穀物価格は高値で維持され、土地からの収益が温存されていたためでもある。19世紀半ばに穀物法が廃止されても、ロシアや東欧における輸送手段の遅れから地主支配体制への直接的な打撃となることはなく、農業技術の進歩とともにイギリス農業は「黄金期」と呼ばれる時期を迎える。しかしイギリス農業が空前の繁栄を遂げたこの時期にも、水面下では、現実的な影響はなくとも穀物法廃止に不安を覚えたジェントルマンたちは少しずつ金融サーヴィスへ重心を移し始めていた。その後、続く農業生産の増加から穀物価格は低下を始め、農業分野での利益率の低下から、金融サーヴィスに新たな財源を求めるジェントルマンはますます増加した。これらの新たな富の源泉となった分野は「ジェントルマン資本主義」と呼ばれる。具体的にはシティを中心とした銀行・証券などの金融資本、公式・非公式を問わず帝国内での人・モノの移動を支える流通分野、および未だ危険の残っていた帝国内での経済活動の安全を担保する保険分野などである。これらはイギリス帝国の拡大に伴って発展し、19世紀末には土地に代わるジェントルマンの主要な財源となった。
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