都市伝説の分析
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/13 14:20 UTC 版)
「ポリビアス (都市伝説)」の記事における「都市伝説の分析」の解説
都市伝説で語られる『ポリビアス』の実在を示す信頼できる情報は存在しない。事実検証を行うウェブサイト『スノープス』は、この都市伝説は1980年代の「メン・イン・ブラック」の噂が現代に形を変えて復活したものであると主張している。1980年代に、黒服の男がアーケードゲームの元を訪れて、そこで高得点をとった人の名前を記録していたという噂があった。この噂が、政府がある種の実験を実施し、ゲームを遊ぶ人にサブリミナルのメッセージを送っていたという臆説に繋がったという[リンク切れ]。当時の電子ゲーム関係の雑誌には『ポリビアス』に関する記述は存在せず、主流メディアのニュースにもそのようなゲームについての言及は存在しない。都市伝説から着想を得て制作された模造の筐体やゲームは存在するが、本物の筐体やROMイメージは発見されていない。Yahoo!ゲームのベン・シルヴァーマン (英: Ben Silverman) は、『ポリビアス』がこれまでに存在していた証拠も、このゲームで発狂した人が実在する証拠も存在しないが、『ポリビアス』はもっと技術に偏執的だった時代への逆転現象としてのカルト的な立ち位置を享受していると述べた。 懐疑論者や調査者たちは、『ポリビアス』の都市伝説がどのような経緯で出現したかという点について様々な意見を表明している。アメリカのプロデューサー兼著述家のブライアン・ダニング(英語版) (英: Brian Dunning) も『ポリビアス』は1980年代に発生した事件の影響が入り混じって生まれた都市伝説であると考えている。ダニングは、1981年の同じ日にポートランドで2人の人物がアーケードゲームを遊んだ後に体調を崩して倒れたことがあったことに言及している。1人は『テンペスト(英語版)』を遊んだ後に偏頭痛を起こして失神した。もう1人も同じゲームセンターにいたが、こちらは世界記録を破ろうと撮影しながら『アステロイド(英語版)』を28時間遊んでおり、その後に腹痛に襲われた。ダニングによると、それから10日後に連邦捜査局 (FBI) がその地域の数軒のゲームセンターに踏み込んだという。ゲームセンターの所有者たちにゲーム機を賭博に使用していた疑いがあり、ゲームセンターを捜査する事前の準備としてFBIの局員が改竄の形跡がないか筐体を監視したり、ハイスコアを記録したりしていたらしい。ダニングは、この2つの出来事が組み合わさって政府が監視していたアーケードゲームを遊んだ人が病気になったという都市伝説が生まれたという説を提唱している。ダニングはこのような都市伝説は1984年までには発生しており、映画『スター・ファイター』の筋書きに影響を与えたと考えている。この映画は、10代の若者がアーケードゲームを遊んだところ、ゲームを密かに開発した宇宙人に徴兵されるという内容になっている。ダニングは"Sinneslöschen"という名称について、ドイツ語を話さない人が英独辞典を使って合成語を作ろうとするとこのような言葉ができるだろうと述べている。 1983年に発売されたアーケードゲーム『キューブ・クエスト(英語版)』はシューティング・ゲームであり、レーザーディスクから再生されるシュールな映像が特徴だった。そのような映像は当時の典型的なゲームとは全く異なるものだった。筐体の中のレーザーディスク再生装置が頻繁に故障するため、維持管理の人員が頻繁に筐体の元に訪れたようだ。同様の理由で短期間ゲームセンターから撤去されることもしばしばあった。このような理由から、『ポリビアス』で遊んだことがある、または見たことがあると主張する人は、実際は『キューブ・クエスト』を『ポリビアス』と誤って覚えていたのかもしれないと考えている人もいる。 しかし、懐疑論者の中には『ポリビアス』の都市伝説が生まれたのはもっと最近のことであると考えている人もいる。イギリスの映画制作者兼テレビゲーム・ジャーナリストのステュアート・ブラウン (英: Stuart Brown) が都市伝説の出自の調査をしたところ、『ポリビアス』の都市伝説が2000年までに存在していた証拠を発見できなかった。ブラウンは、『ポリビアス』の都市伝説はCoinop.orgの所有者であるカート・コーラーが、自身のウェブサイトへ人々を誘導するために意図的にでっちあげたものであるという結論を下した。この都市伝説は、陰謀論の人気と、でたらめな噂が広まりやすいというインターネットの性質を利用して作られたものであるという。ブラウンの考えでは、1980年代に都市伝説の出自を求める説明は、コーラーが話を創作する着想の元となった過去の出来事に遡って都市伝説の存在を立脚しただけのことであるという。ブラウンは、1994年に『ポリビアス』に関することをUsenetで見たと記憶している人は、「プブリウス・エニグマ(英語版)」 (英: Publius Enigma) についての記事を『ポリビアス』と記憶違いしていると説明した。ブラウンは、2000年にCoinop.org上に提供された画像にある『ポリビアス』のロゴと、『バブルス(英語版)』や『ロボトロン2084』のような他のアーケードゲームとの間に顕著な類似性があることも指摘している。ブラウンは、下部のテキストは『ロボトロン2084』のそれと類似しており、また、ロゴに使われたフォントは『バブルス』で使用されたフォントとほとんど一致しており、違いはOに差異があるのと、Hが反転しているだけであると断定した。また、ブラウンはこれはウィリアムス・エレクトロニクスを模倣した愛好家の仕業の可能性もあると述べている。『バブルス』や『ロボトロン2084』はどちらもウィリアムスの製品であり、『ポリビアス』が出現したと言われる年の1年後に発売されている。
※この「都市伝説の分析」の解説は、「ポリビアス (都市伝説)」の解説の一部です。
「都市伝説の分析」を含む「ポリビアス (都市伝説)」の記事については、「ポリビアス (都市伝説)」の概要を参照ください。
- 都市伝説の分析のページへのリンク