詩集『春と修羅』とは? わかりやすく解説

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詩集『春と修羅』(第一集)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/31 09:14 UTC 版)

春と修羅」の記事における「詩集『春と修羅』(第一集)」の解説

上記作品含めた69編の作品と「序」(これを作品見なす70編)からなる詩集。1922 - 1923年制作され作品収録されている。 1924年大正13年4月20日東京関根書店から刊行。ただし事実上は賢治の自費出版である(実際印刷は賢治の住んでいた花巻川口町印刷所行われた)。正確なタイトルは『心象スケツチ 春と修羅』で、賢治自身は「詩集」と呼ばれることを好まなかった。タイトルには第一集はつかないが、その後第二集第三集から遡って区別するために)第一集とも呼ばれる本の背文字書いたのは歌人尾山篤二郎で、これは賢治の親戚である関徳弥の歌の師であるという縁からだった。 上記表題作のほか「原体剣舞連」「小岩井農場」や妹トシとし子)の臨終題材とした「永訣の朝」、そのトシの魂との交流求め様子詠んだ青森挽歌「オホーツク挽歌」等の作品がよく知られる詩集刊行前に賢治が先駆型を雑誌新聞発表していた作品が3編存在しいずれも詩集一部異同がある。 各作品下書稿の現存は僅かであるものの、詩集印刷のために活版所用いられた「詩集印刷原稿」の大半現存しており、賢治は刊行への最終段階に至るまで作品推敲配置などに意を砕いたことが、原稿残され書き込みなどから窺えるまた、刊行後にも数冊の詩集本文書き直し書き込み行っており、そのうち宮沢家所蔵本をはじめ3冊が現存している。これらの内容異同は、『【新】校本宮澤賢治全集 第二巻』(筑摩書房刊)で確認することができる。 詩の多くは「心象スケッチ」と賢治自身名付けた手法によって書かれ時間の経過に伴う内面変容、さらにその内面を外から見る別の視点取り込まれている。この「心象スケッチの手法については、ウィリアム・ジェームズ唱えた意識の流れ」との関連指摘されている(賢治は『春と修羅 第二集』の詩「林学生」にジェームズの名を書き残しており、著書読んだ可能性研究者から言及されている)。 刊行当時辻潤読売新聞連載していたコラム激賞佐藤惣之助も詩誌で評価するコメント付した背文字書いた尾山篤二郎主催する短歌雑誌『自然』の中で賞賛する紹介をしている。しかし当時世間一般には受け入れられず、大半売れ残ってしまい、結局賢治が自ら相当の部数引き取ることになった引き取った春と修羅』を岩波書店学術書交換するよう依頼する内容岩波茂雄宛書簡も発見されている。 とはいえ中原中也富永太郎といった詩人も強い影響受けたことが判明している。さらに、中国留学していた草野心平は『春と修羅』を読んで瞠目」し、日本に帰国後創刊した詩誌『銅鑼』に賢治を同人として誘った草野は賢治の存命中から没後にかけてその作品紹介大きな役割を果たすことになるため、この出会い結果的にきわめて大きな意味を持つ。2021年には、三木露風遺品ノートから、賢治が刊行直後に露風に献本し、それに対して露風が好意的な返書送っていたことが明らかになった。 また、地元岩手県詩壇においてはこの『春と修羅』によって賢治は一定の評価を受けることとなったその中で地元詩人との交友発生し旧制盛岡中学校の後輩当時在学中であった森荘已池知り合うこととなる。 2019年時点現存する初版本30程度とされている。

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