評論・見解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 20:08 UTC 版)
批評家の杉田俊介は、「弱者」の定義は曖昧だとしつつ、その構成要素の候補として、労働の非正規性や収入、容姿、コミュニケーション能力、パートナーの有無などを挙げている。 批評家のベンジャミン・クリッツァーは、そのつらさの内実として、経済的な困窮もありつつも、女性パートナーの不在による孤独感や承認の欠如が大きいと指摘している。 評論家の藤田直哉は、マジョリティであり強者であるとされる「男性」の中に存在する恵まれない者や不幸な者を提示しているのが弱者男性論であると主張している。 批評家の斎藤環は、社会は弱者男性に対して温かくはなく、「弱者男性の安楽死を合法化せよ」という差別的な言説がネット上で飛び交っているとしている。一方で、弱者男性の怨嗟の矛先はさらに弱い立場の者に向かい、結果的に弱者切り捨てを促進してしまっていると指摘している。 実業家のトイアンナは、弱者男性に対するはてな匿名ダイアリーに寄せられた「弱者男性は弱者男性同士でセックスすればいい」「弱者男性の安楽死を合法化しよう」「正直弱者男性のことなんかどうでもいいし、死ねばいい」などの意見を取り上げ、「言語道断の差別である」と論じた。また強者の男女は弱者男性を「実力がないために貧困に陥った」「努力してこなかった人」として無視すると述べた。そして、「男らしさ、女らしさ」の呪縛からの解放が必要であると論じている。 フリーライターの鎌田和歌は、弱者男性論の中核となっている識者の中には年収の高い男性もおり、強者男性が弱者男性論を煽っている面があることに疑問を呈している。その上で、社会問題の解決に至る議論をネット上に求める難しさを指摘している。 ライターのすぎたとおるは、発達障害やうつ病を患った女性作家がしばしば「理解のある彼(夫)くん」を登場させるため、「弱者女性は理解のある彼(夫)くんに救われるが、弱者男性は誰にも救われない」と弱者男性界隈で定期的に炎上するが、これを生存者バイアスであるとし「理解のある彼(夫)くんと出会えなかった弱者女性は生還できないがゆえにレポートがない」と評した。 経済アナリストの立木信は、2022年現在の中年男性はちょうど就職氷河期世代にあたり、1991年のバブル崩壊後の就職難であった世代であるとしている。工場は経済のグローバル化で海外に移転し、外国人労働者が増え、女性の社会進出も活発したしわ寄せが男性の若年層の非正規雇用に目立つようになったとしている。そして、これまでは「負け惜しみ」「男らしくない」と言われ口に出すこともできなかった弱者男性の本音が「真の被害者は弱者男性でもあり、国家や社会からの制度的支援が何もない」といった主張という形で世に出てきたとしている。これは日本に限らず、弱者男性を支援する「メンズリブ」運動が世界で起きているとした。 2ちゃんねる創設者で実業家の西村博之(ひろゆき)は「弱者男性」問題について「誰からも好かれていないし、期待されていないおっさんをどうにかしないと社会に悪影響があるよね」と評し個人的にそういう人を「無敵の人」と呼んでいるとし、「家族や恋人ができたらいいよね」という解決策があるがそれは現実的に難しく、そこで注目したいのが、南米ベネズエラの食糧危機であり、ニコラス・マドゥロ大統領は、貧困地域に食料としてウサギを配布した。しかし国民はウサギをペットとして名前を付け、一緒に寝てかわいがっていて、全然食べなかった。人は、弱い存在から頼られることで幸せを感じたりする生き物なので、「弱者男性」にウサギを配ると「自分が社会からいなくなったら、ウサギの世話をする人がいなくなって、ウサギがかわいそう」ってことで、ウサギの世話をし続けるために社会に居続けてくれると持論を展開した。
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