設定・主題とは? わかりやすく解説

設定・主題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/02 03:03 UTC 版)

癩王のテラス」の記事における「設定・主題」の解説

設定人物造型主題については、以下のように三島説明している。 若きジャヤ・ヴァルマン七世王は、「絶対」にしか惹かれ不幸な心性を持つてゐた、といふのが、私の設定である。すなはちこの芝居は、癩病芝居ではなくて絶対病」の芝居のである絶対の愛としての蛇神の娘、絶対信仰としてのバイヨン、この二つのものだけが、王にとっては地上必要だった。(中略絶対の愛地上の女(第一夫人)の嫉視呼び、さらに第二夫人貞淑によつて柔らかに模倣され硬軟両様方法邪魔されるが、つひに第一夫人死によつて、地上の愛に犯されてしまふ。一方絶対信仰としてのバイヨン建立は、地上政治により経済により邪魔されるが、それがあらゆる障害を払つて完成されたとき、王はもはや自分の目でそれを見ることはできないのである。 — 三島由紀夫あとがき」(『癩王のテラス』) また三島は、王の悲劇は〈癩者悲劇〉でなく、〈むしろ癩が、王の悲劇、あるひは王の病の本質あばいた〉とし、以下のように説明している。 「絶対病気としての癩が、「絶対病」に犯された王の精神を、完全に体現したのである。従つてその発病は、決して偶然の罹患ではなくて、王の運命であつた。これを癒やす地上存在しない。これを最終的に癒やすものは、永遠不朽のとしての肉体復元のほかにありえないからである。王即身崇拝具現たるバイヨンの意味はここにあり、さればこそ、王の美し肉体は、最後にバイヨンは私だ、と宣言することになるのである。 — 三島由紀夫あとがき」(『癩王のテラス』)

※この「設定・主題」の解説は、「癩王のテラス」の解説の一部です。
「設定・主題」を含む「癩王のテラス」の記事については、「癩王のテラス」の概要を参照ください。


設定・主題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/28 14:32 UTC 版)

わが友ヒットラー」の記事における「設定・主題」の解説

舞台は、1934年昭和9年6月30日夜半の「レーム事件前後ベルリン首相官邸大広間登場人物は、アドルフ・ヒトラーエルンスト・レームシュトラッサーグスタフ・クルップ実在人物男性4人のみ。第1幕第2幕事件数日前終幕第3幕6月30日夜半突撃隊幕僚長レームはあくまでヒトラーを友と信じ右翼軍人社会主義者シュトラッサーナチス左派エッセン重工業地帯独占資本象徴する鉄鋼会社社長クルップヒトラーにうまく取り入る死の商人として描かれる三島は、〈レームに私はもつとも感情移入して、日本的心情主義彼の性格塗り込めた〉と述べ、『わが友ヒットラー』の主題について、ヒットラーへの興味というよりも「レーム事件」が書きたかったとしている。 政治的法則として、全体主義体制確立のためには、ある時点で、国民の目をいつたん「中道政治」の幻で瞞着せねばならない。それがヒットラーにとつての一九三四年の夏だつたのであるが、このためには、極右極左切り捨てなければならない。さうしなければ中道政治の幻は説得力持たないのである。この法則洋の東西を問はぬはずであるが、日本では左翼弾圧をはじめてから二・二六事件処断までほぼ十年かかつた。いかにも計画性のないお国柄反映してゐる。それをヒットラー一晩でやつてのけたのである。ここにヒットラー仮借ない理知の怖ろしさがあり、政治的天才がある。(中略)そしてレーム大尉は、歴史上の彼自身よりも、さらに愚直、さらに純粋な永久革命論者に仕立ててある。この悲劇に、西郷隆盛大久保利通の関係を類推し読んでもらつてもよい。 — 三島由紀夫作品の背景――『わが友ヒットラー』」 また、先行発表された『サド侯爵夫人』(女性のみ6人の登場人物)書いている時から、それと〈対をなす作品〉として男性のみの登場人物作品創作しようと考えていたとし、〈女らしさ極致〉の『サド侯爵夫人』の奥に、〈劇的論理男性的厳格さ〉が隠され、〈男らしさ極致〉の『わが友ヒットラー』の背後に、〈甘いやさしい情念〉が秘められているとしている。 『サド侯爵夫人』における女の優雅倦怠、性の現実性貞節は『わが友ヒットラー』における男の逞しさ情熱、性の観念性友情照応する。そしていづれもジョルジュ・バタイユのいはゆる「エロス不可能性」へ向つて、無意識に衝き動かされ、あがき、その前に挫折し敗北してゆくのであるもう少しで、さしのべた指のもうほんのちよつとのところで、人間最奥秘密至上神殿の扉に触れることができずに、サド侯爵夫人は自ら悲劇拒みレーム悲劇の死の裡に埋没する。それが人間宿命なのだ。 — 三島由紀夫一対作品―『サド侯爵夫人』と『わが友ヒットラー』」

※この「設定・主題」の解説は、「わが友ヒットラー」の解説の一部です。
「設定・主題」を含む「わが友ヒットラー」の記事については、「わが友ヒットラー」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「設定・主題」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「設定・主題」の関連用語

設定・主題のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



設定・主題のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの癩王のテラス (改訂履歴)、わが友ヒットラー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS