血管治療(血栓回収療法、機械的再開通療法)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 04:19 UTC 版)
「脳梗塞」の記事における「血管治療(血栓回収療法、機械的再開通療法)」の解説
#血管治療(血管拡張術)も参照 血栓溶解療法に次いで登場したのが、血栓自体をワイヤなどでからめとり、あるいはポンプで吸引して取り出してしまうという治療(血栓回収療法、機械的再開通療法)である。血栓回収療法の適応は発症8時間以内に限られる。発症6時間以内に、本療法をrt-PAと併用する推奨グレードA。rt-PAが無効・非適応だった場合、発症8時間以内の主幹脳動脈閉塞であれば、本療法を考慮してもよい(推奨グレードC1)。神経脱落症候を有する中大脳動脈塞栓性閉塞においては、来院時の症候が中等症以下で、CT上梗塞巣を認めないか軽微な梗塞に留まる場合は、本療法ではなく選択的局所血栓溶解療法(ウロキナーゼ動脈カテーテル)が優先される(推奨グレードB)。 当初は、rt-PAでの治療を使えない・効果がなかった時のみの適応とされたが、2015年4月、日本脳卒中学会、日本脳神経外科学会、日本脳神経血管内治療学会が共同で示した指針では、「発症から6時間以内の主幹動脈閉塞による急性期脳梗塞」に対し、rt-PAを含む内科治療に本療法を追加することによる効果は、科学的根拠があると結論付けた。一方、後方循環系の主幹動脈閉塞や、発症から6〜12時間、それ以降の症例については、未だ有効性の知見が集積されていないとした。いずれも顕著な副作用は報告されていない。失敗時の病状悪化も指摘されたが、急激に治療法としての地位を確立している。 2015年には、rt-PAを上回る治療成果を挙げたとする報告も出て来た。総合東京病院の渡辺貞義院長は、「Solitaire FR 血栓除去デバイス」による血管再開通率は9割前後まで高まったとしている。また、2015年2月11日、カナダ、カルガリー大学のマヤンク・ゴヤールらの研究グループが"The New England Journal of Medicine"に報告したところによると、300人の脳梗塞患者を対象に、血管内治療と従来の治療効果を比較した。対象となった患者は比較的軽症で、発症12時間以内に治療を開始した。結果として、血管内治療を受けていたグループでは、最初にCTで血管の状態を確認してから、血流が回復するまでの平均時間は84分だった。血管内治療後、自立可能にまで回復した割合は53.0%で、対照の29.3%より高かった。また、死亡率は10.4%で、対照の19.0%よりすぐれていた。一方、症状を伴う脳内出血は3.6%で、対照の2.7%より高かった。ただし、脳内出血の確率は、統計上の有意差ではないとされた。 以下はいずれも商品名による区別で、一般名は中心循環系塞栓除去用カテーテル。商品によって禁忌となる対象は異なるため、治療時は十分注意が必要である。 2010年4月30日付で、厚生労働省の承認を受けたのは「Merciリトリーバー(MERCI Retriever)」である。同年10月、保険適応となった。カテーテルを血管に挿入し、ワイヤと糸で直接血栓を回収する。 2011年6月9日付で、厚生労働省の承認を受けたのは「Penumbraシステム(Penumbra System)」である。同年10月、保険適応となった。こちらはカテーテルを血管に挿入するところまでは同じだが、ポンプで血栓を吸引する違いがある。 2013年12月付で、厚生労働省の承認を受けたのは「Solitaire FR 血栓除去デバイス」である。2014年7月、保険適応となった。カテーテルを血管に挿入し、ワイヤで直接血栓を回収するが、ワイヤ部分のみで血栓を回収する仕組み。 2014年3月付で、厚生労働省の承認を受けたのは「トレボ プロ クロットリトリーバー(Trevo ProVue Retriever)」である。2014年7月、保険適応となった。カテーテルを血管に挿入し、ワイヤで血栓を直接回収する。リアルタイムでX線透視が可能であり、目視しながら手当を進められる。
※この「血管治療(血栓回収療法、機械的再開通療法)」の解説は、「脳梗塞」の解説の一部です。
「血管治療(血栓回収療法、機械的再開通療法)」を含む「脳梗塞」の記事については、「脳梗塞」の概要を参照ください。
血管治療(血管拡張術)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 04:19 UTC 版)
21世紀になってから、血管内治療の進歩によりバルーンつきのマイクロカテーテルで血管を拡張する血管拡張術やステントを留置するステント留置術(推奨グレードC1)、詰まった場所までカテーテルを進め血管を拡張させる薬を注入する血管拡張術やその部位の血栓を溶かす薬を注入する血栓溶解療法などの脳血管内治療が行われている。
※この「血管治療(血管拡張術)」の解説は、「脳梗塞」の解説の一部です。
「血管治療(血管拡張術)」を含む「脳梗塞」の記事については、「脳梗塞」の概要を参照ください。
- 血管治療のページへのリンク