血管新生に関与する因子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/03 12:06 UTC 版)
分子名作用機序線維芽細胞増殖因子(FGF) 抗凝固薬であるヘパリンと高親和性を示すペプチド。FGFは細胞膜上のFGF受容体に結合して作用する。FGFは内皮細胞や平滑筋細胞、線維芽細胞の増殖及び分化の過程に関与している。 VEGF VEGFは二量体の糖タンパク質であり、マクロファージや腫瘍細胞により産生される増殖因子である。VEGFによるシグナル伝達は血管新生において重要な役割を担っている。VEGFは内皮細胞の遊走・増殖及び管腔形成などに影響を与える。 アンジオポエチン 血管内皮細胞と壁細胞の接着を促進することにより新生血管の安定化に寄与する因子であり、受容体型チロシンキナーゼであるTie-2受容体を介して作用を発現する。 血小板由来増殖因子(PDGF) 血管内皮細胞及び線維芽細胞の増殖・遊走に関与している。 トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β) 細胞外マトリックスを構成するタンパク質の産生及び毛細血管腔の形成及びVEGFの発現に関与している。また、TGF-βは平滑筋及び線維芽細胞に対して作用し、PDGFの産生を促す。 マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP) MMPは炎症細胞や腫瘍細胞から産生されるタンパク質分解酵素である。MMPは細胞外マトリックスの分解及びVEGFを放出させる役割をもち、血管壁の構造を破壊することにより血管新生の促進に働いている。 VE-カドヘリン(CD144)、CD31 内皮細胞同士の接着に関与する接着分子。 エフリン 動静脈の形成に寄与する。また、エフリンは神経系の発達にも関与している。 プラスミノーゲンアクチベータ(ウロキナーゼ) 酵素前駆体であるプラスミノーゲンを活性体であるプラスミンへ変換する反応を促進し、プラスミンによるMMPの活性化を引き起こす。 誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2) iNOS及びCOX-2はいずれも誘導型の酵素であり、iNOSは一酸化窒素(NO)の産生に、COX-2はアラキドン酸代謝物であり血管新生を促進する作用を持つプロスタグランジン類の産生に関与する。 胎盤成長因子(PlGF) VEGFと構造に相同性があり、主にVEGFと二量体(ヘテロダイマー)を形成することによりその生理作用を発現する。PlGFは生理的血管新生に関与している。VEGFよりも血管新生を促進する作用は弱い。
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