臨床的応用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/08 01:53 UTC 版)
「ニコチン受容体拮抗薬」の記事における「臨床的応用」の解説
抗ニコチン剤は、神経節遮断薬と神経筋遮断薬に分類される。 神経節遮断薬は、全ての自律神経節に作用する為、臨床的には殆ど使用されない。 アセチルコリンの放出阻害 長時間の脱分極(脱分極性遮断)、即ち、刺激後の刺激遮断 ニコチン受容体の競合阻害 例 作用機序 特性 臨床使用 ニコチン 脱分極延長 非競合阻害 禁煙薬ニコチンの離脱症状の解消 低用量での投与 アセチルコリン(コリンエステラーゼ阻害剤存在下) 神経節遮断剤としての臨床使用なし ヘキサメトニウム(英語版) ニコチン受容体の競合阻害 選択的阻害 初の有効な高血圧治療薬 副作用の為、臨床使用中止 トリメタファン(英語版) 選択的阻害 短時間作用型 手術時の血圧降下(使用頻度は低い) ツボクラリン 非選択的阻害 ヒスタミンを放出する為、アトラクリウムに比べて副作用が大きい 使用頻度は低い アトラクリウム ツボクラリンに代わる副作用の少ない安全性の高い薬剤 外科的麻酔と挿管気管内挿管を容易にし、骨格筋を弛緩させて喉頭損傷のリスクを軽減する 神経筋遮断薬(筋弛緩薬)は、神経筋接合部で以下のように作用する。 アセチルコリンの合成阻害 アセチルコリンの放出抑制 シナプス後のアセチルコリン受容体の遮断 運動神経終板の長時間の脱分極 例 作用機序 効果発現時間 効果持続時間 特性 臨床使用 ヘミコリニウム-3(英語版) アセチルコリン合成阻害 / / 神経末端へのコリン輸送阻害 実験的にのみ使用 非臨床使用 ベサミコール(英語版) アセチルコリンのシナプス小胞への輸送阻害 肺上皮内腺癌(英語版)の初期治療の可能性を探るための実験的使用 非臨床使用 ボツリヌス毒素 アセチルコリン放出抑制 3–5日 3–4ヶ月 非常に強力 ボツリヌス中毒による副交感神経麻痺や運動麻痺 筋弛緩薬頚部ジストニア、痙性斜頸、眼瞼痙攣、過活動膀胱の治療 顔周りの筋肉を麻痺させ、シワを減らすために注射する(臨床または美容用途) 分泌物の減少 多汗症、唾液分泌過多症の治療 頭痛の予防 筋肉内投与または皮下投与による片頭痛の頻度と重症度の軽減 β-ブンガロトキシン(英語版) / / アマガサヘビから発見された毒物 非臨床使用 ツボクラリン シナプス後アセチルコリン受容体遮断 遅(>5分) 長(1~2時間) 植物アルカロイド 使用頻度は低い アルクロニウム(英語版) ツボクラリンの半合成誘導体 ツボクラリンに比べて副作用が少ない 現在は臨床使用されていない パンクロニウム 中(2~3分) 長(1~2時間) 初のステロイド系化合物 術前投与気管内挿管や手術中の全身麻酔の為の筋弛緩薬 安楽死薬 チオペンタールナトリウムの投与による呼吸停止・昏睡 ベルギーやオランダでは安楽死プロトコルに推奨されている ピペクロニウム(英語版) パンクロニウムに類似 術前投与心血管系の副作用が少ない ベクロニウム 中 中(30~40分) 広く使われている 術前投与パンクロニウムに類似 ロクロニウム ベクロニウムに似ているが作用発現が速い アトラクリウム 中 中(<30分) 広く使われている ドキサクリウム(英語版) アトラクリウムと化学的に類似 血漿中で安定 作用時間がより長い シサトラクリウム(英語版) アトラクリウムの光学分割体 より強力 ミバクリウム(英語版) 速(約2分) 短(15分程度) アトラクリウムと化学的に類似 血漿中のコリンエステラーゼにより速やかに不活性化される スキサメトニウム 運動神経終板の持続的脱分極 速 短 血漿中のコリンエステラーゼにより速やかに不活性化される 挿管等の短時間の処置に用いる ロクロニウム スキサメトニウムよりも不要な効果が少ない
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臨床的応用
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「ムスカリン受容体拮抗薬」の記事における「臨床的応用」の解説
抗ムスカリン薬は、ムスカリン性コリン作動性受容体を活性化する事なくシナプス後に結合する。この薬剤は、アセチルコリンが受容体の活性部位に結合するのを阻止し、効果を発揮する。 例 特性 臨床使用 注記 アトロピン 非選択的拮抗薬 良好な経口吸収性 中枢神経刺激性(血液脳関門を通過する) 眼科的検査毛様体筋麻痺と調節力低下による散瞳効果 局所使用 手術前投薬 唾液の分泌抑制 正常心拍維持 近視 小児の近視の進行抑制 動物実験ではニワトリの網膜でドーパミンとDOPACが増加し、眼球の成長と近視の進行に重要である事が示された 急性症候性徐脈 心拍数増加、徴候・症状の改善 第一選択薬 静脈内投与 ベラドンナアルカロイド 副作用:尿閉、口渇、目の霞み等 グリコピロニウム 第四級アンモニウム化合物 血液脳関門を通過しない 多汗症中枢神経系、平滑筋、汗腺の副交感神経の受容体遮断による発汗量減少 ジシクロベリン(英語版) アトロピンに類似 腸管疝痛[訳語疑問点]副交感神経と内在性求心性神経(IPAN)の抑制による腸管平滑筋弛緩と痙攣緩和 経口投与または筋肉内注射 スコポラミン アトロピンに類似 中枢神経系抑制性 乗り物酔い小脳や孤束核(英語版)による嘔吐中枢の活性化抑制による嘔吐防止 旅行前に制吐剤として服用 腸管疝痛 ジシクロベリンに類似 ベラドンナアルカロイド 鎮静作用 アトロピンに似た副作用 乗り物酔いの治療薬ではなく、予防薬 チオトロピウム アトロピンに類似 気管支粘膜繊毛クリアランスを阻害しない 吸収性が悪い 気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)気管支平滑筋の弛緩による気道拡張 第四級アンモニウム化合物 イプラトロピウム トロピカミド アトロピンに類似 眼圧上昇の虞れ 眼科的検査アトロピンに類似 アトロピンに似ているが作用時間が短い シクロペントラート(英語版) ダリフェナシン(英語版) M3受容体(英語版)選択的 尿失禁膀胱平滑筋の弛緩による排尿抑制 尿失禁に使用 副作用が少ない
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