組曲 変ロ長調とは? わかりやすく解説

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バッハ:組曲 変ロ長調

英語表記/番号出版情報
バッハ:組曲 変ロ長調Suite B-Dur BWV 821

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 前奏曲 Prelude1分00 No Image
2 アルマンド Allemande3分00 No Image
3 クーラント Courante 1分00 No Image
4 サラバンド Sarabande 2分00 No Image
5 エコー Echo 2分30秒 No Image

作品解説

2008年4月 執筆者: 朝山 奈津子

 この作品バッハ真作としての地位危ぶまれているとすれば、その理由は、単に不運な伝承経緯よるものだろう。残念ながら自筆譜現存せず、唯一の資料バッハ同時代生きたオルガニスト、J. P. ケルナー音楽帖のみである。ケルナーバッハ信奉者だったが、彼がここに書きつけ作品がすべてバッハのものであったという確証はない。
 しかし、少なくともこの作品は、音楽内容からバッハ真作である可能性きわめて高い。そしてバッハ作品であるとすれば、おそらくかなり初期の作であると思われる組曲アルマンドクーラントサラバンドという基本舞曲順番通り含むが、最後にエコー楽章を持つ点が特徴的である。エコー17世紀末の組曲には珍しくないが、バッハ後年組曲集で通常ジーグ終楽章置いたからである。
 
 組曲前奏曲で始まる。3声部簡明なテクスチュアのまま、中音域で緩やかに対話するこの前奏曲終始きこえてくる16分音符動機は、次のアルマンドにも引き継がれる
 アルマンド前奏曲変奏思わせるような親密前半部と、最大で3オクターヴ広がる幅を持った響き後半部からなる。この曲の最初魅力は第8小節第3拍のナポリ6度(as音)だろう。こうした和声逸脱いかにもゼバスティアン・バッハらしい。さらにここから一旦 g-Moll に終止するが、次にはすぐにg上の長三和音ふわりと静止して冒頭折り返す、ないし後半へと移行する後半が始まると、これがハ短調へ移る準備であったことが判る後半用いられる音域広がって響き豊かさが増す。最後2小節コーダ右手だけの上行する音型は、次のクーラント冒頭で、右手のみの下行によって応えられている。
 クーラント8分音符動機がほぼ絶え間なく続くが、この舞曲基本リズムである2分音符4分音符の形も厳密に守られる全体派手なところのない抑制のきいた曲であるので、淡々としたテンポ遵守しつつ、煌びやかな装飾音随所散りばめるのもよいだろう
 サラバンドは3声部模倣風に始まるたいへん珍しいタイプである。ただし模倣維持されず、舞曲リズムがすぐに明確になる。8小節楽節3回繰り返されるうち、最初前奏、後の2回はさらに4小節+4小節の小楽節分かれ動機変奏してゆく。和声微妙な色合い音域広がり、また装飾音などそれぞれの要素多彩に変化する
 エコーはその名の通り1小節ごとこだまのように反復しながら進む曲である。fとpの指示単純に音量を表すものではない。複数鍵盤を持つチェンバロであれば鍵盤替えて弾く。現代ピアノであればuna corda音色そのもの変化させるのも良い方法かも知れない始まりの音型はサラバンド冒頭関連がある。第19小節冒頭動機回帰する原資料ではここにダル・セーニョのための記号があり、以降反復するよう指示されているので、これを守るなら全体ロンド形式ということもできる。が、エコー規則的な交代がやや冗長となるため、反復は必ずしも必要ではないかしれない最後には4小節コーダがつき、組曲全体壮麗な終止へと導いている。
 なお、エコー楽章には、バッハ初期作複数コラール(米イェール大学所蔵《ノイマイスター・コラール集》収載)と共通点多く、この組曲真作であるとの見方近年ますます強まっている。


組曲変ロ長調

英語表記/番号出版情報
ラフ:組曲 変ロ長調Suite Op.204作曲年1876年  出版年1877年  初版出版地/出版社Berlin 
ヘンデル:組曲 変ロ長調Suite HWV 455作曲年before 1706?年 

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