精選版日本国語大辞典とは? わかりやすく解説

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日本国語大辞典

(精選版日本国語大辞典 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/31 15:15 UTC 版)

『日本国語大辞典』
(にほんこくごだいじてん)
言語 日本語
類型 国語辞典
愛称・略称 日国
編者・監修者 日本大辞典刊行会(初版)
小学館国語辞典編集部(第二版以降)
出版地 日本
出版者 小学館
最初の出版日 #書誌情報
最新版出版日 #書誌情報
バリエーション #書誌情報
排列 五十音順
基になった辞書 『大日本国語辞典』
派生辞書 『小学館国語大辞典』
『故事俗信ことわざ大辞典』
『現代国語例解辞典』
『言泉』等
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日本国語大辞典』(にほんこくごだいじてん)は、小学館が発行する日本最大で唯一の大型国語辞典である[注 1]略称は「日国」(にっこく)または「日国大」(にっこくだい)[2][3]。初版は日本大辞典刊行会編。

発刊

『修訂大日本国語辞典』冨山房

上田万年松井簡治による『大日本国語辞典』を引き継ぐ事業という性格をもつ。松井簡治の子松井驥、その子松井栄一三代の蓄積していたカード資料に注目した小学館が、1960年昭和35年)に出版を持ちかける。1964年(昭和39年)に、国語学者金田一京助や、『広辞苑』の著者・新村出、『大漢和辞典』で知られる諸橋轍次を始め、佐伯梅友時枝誠記西尾実久松潜一山岸徳平という日本の国語学界を代表する学者を編集顧問に迎えて編集委員会が発足し、200名以上の執筆者を動員して本格的に編纂作業を開始する[4]

1972年(昭和47年)から1976年(昭和51年)の5年間にわたって刊行され、全20巻、45万項目、75万用例という大部の辞典となった。また別冊には主要出典一覧、方言資料などが収められる。活版印刷には図書印刷があたった。完結した1976年(昭和51年)に第30回毎日出版文化賞の特別賞を受賞[5]

新訂版

1979年(昭和54年)には、判型をA4変型からB5変型へ縮小した縮刷版(全10巻)を刊行。1981年(昭和56年)には1冊版の『小学館国語大辞典』も刊行され、他にも『故事俗信ことわざ大辞典』(1982年(昭和57年))が『日本国語大辞典』の情報をもととして刊行された。また『小学館国語大辞典』のデータは、刊行後にコンピュータ入力され、これをもとに『現代国語例解辞典』(1985年(昭和60年))、『言泉』(1986年(昭和61年))など小・中辞典が多数編纂された。

1987年(昭和62年)より図書印刷の光学式文字読取装置(OCR)によって初版のデータが読み込まれ、これに初版刊行後に小学館の刊行したさまざまな分野の辞典の成果も取り入れ、大幅な訂正・加筆を加えた第二版の刊行が企図される。編集委員会は1990年平成2年)に発足し、初版でも編集委員を務めている松井栄一林大を始め、北原保雄久保田淳谷脇理史徳川宗賢前田富祺渡辺実が編集にあたった。

第二版は、初版完結から24年の歳月を経て2000年(平成12年)から2002年(平成14年)にかけて刊行。B5変型、全14巻(本編13巻・別巻1)、50万項目、100万用例を収録し、別巻には漢字索引、方言索引、出典一覧を収録する。初版では批判があった用例に年代が付されていない点を第二版では大幅に改善した。また『日本方言大辞典』(全3巻、1989年(平成元年))をもとに、方言語彙を増補している点も特色としてあげられている[6]

2005年(平成17年)12月より、全3巻の精選版(30万項目、30万用例)が刊行された。

電子化の可能性は第二版のあとがきにも記されていたが、2006年(平成18年)11月14日に小学館とネットアドバンスよりオンライン版の公開が発表され[7]、2007年(平成19年)7月よりサービスが開始された。サービス名は「日国オンライン」で、ネットアドバンスが運営する総合オンライン辞書・辞典サイト「JapanKnowledge」のコンテンツの1つとして提供される。第二版の内容を網羅し、見出しだけでなく、全文、用例、方言、出典情報などについて、前方一致・後方一致などの条件で検索が可能となった。また、2007年(平成19年)8月には『精選版』全3冊の内容を図版含めフル収録した電子辞書カシオ計算機より発売された他、現在[いつ?]はSII(セイコーインスツル)からも発売されている。2016年(平成28年)にはジャストシステムより、かな漢字変換ソフトウェアATOKに「精選版日本国語大辞典 for ATOK」を同梱した版が発売された。2017年(平成29年)には物書堂によりiOS版(精選版)が発売されている。

第三版

2024年令和6年)7月25日、小学館が改訂に着手すると発表した。「第三版」のデジタル版の完成を2032年、書籍版の発売を2034年からと予定している[8]

書誌情報

初版

日本大辞典刊行会編『日本国語大辞典』小学館、20巻21冊、1972年(昭和47年)12月 - 1976年(昭和51年)3月

縮刷版

日本大辞典刊行会編『日本国語大辞典』縮刷版、小学館、全10巻、1979年(昭和54年)10月 - 1981年(昭和56年)4月

第二版

日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典』第二版、小学館、全13巻 + 別巻、2000年(平成12年)12月 - 2002年(平成14年)12月、(販売価格、単冊15,750円、14巻セット220,500円)

精選版

小学館国語辞典編集部編集『日本国語大辞典』精選版、小学館、全3巻、2006年(平成18年)

  1. ISBN 4095210214
  2. ISBN 4095210222
  3. ISBN 4095210230

オンライン版

個人向け月額1575円、法人向け月額1万5750円

電子辞書

いずれも精選版

脚注

注釈

  1. ^ 広辞苑』を大型辞書とする勘違いがみられるが、『日本国語大辞典』第2版のみが国語辞書で唯一の大型辞書である[1]

出典

  1. ^ 第1回 はじめに | 『日本国語大辞典』をよむ(今野 真二) | 三省堂 ことばのコラム”. 三省堂WORD-WISE WEB -Dictionaries & Beyond- (2017年2月12日). 2022年8月2日閲覧。
  2. ^ 倉島長正 (2003), p. 204.
  3. ^ 倉島長正 (2010), p. 191.
  4. ^ 倉島長正『辞書の家』松井栄一氏ロングインタビュー、日付不明、ジャパンナレッジ 、2020年令和2年)12月22日閲覧
  5. ^ 倉島長正 (2003), p. 276.
  6. ^ 『日本国語大辞典』 第二版「あとがき」 - 2020年(令和2年)12月22日閲覧。
  7. ^ 野津誠 全13巻からなる小学館の「日本国語大辞典」、2007年夏からネット配信 - 『INTERNET Watch』2006年(平成18年)11月14日
  8. ^ 小学館「日本国語大辞典」30年ぶり大改訂へ 8年かけデジタル版刊行、3~5万語追加」『産経新聞』2024年7月25日。2024年7月26日閲覧。

参考文献

関連文献

単行本

雑誌等掲載文献

  • 大野晋「小学館発行「日本国語大辞典」:この人間臭いものの内側」『朝日ジャーナル』第15巻7号、朝日新聞社、1973年2月、59-61頁。
  • 久保忠夫「35のことばに関する7つの章:「日本国語大辞典」の完結を機に」『季刊芸術』第10巻4号、季刊芸術出版、1976年10月、58-96頁。
  • 今野真二「『日本国語大辞典』全巻読破のひとり旅(第1回)」『Kotoba』23、2016年、集英社、172-177頁。
  • 今野真二「『日本国語大辞典』全巻読破のひとり旅(第2回)」『Kotoba』24、2016年、集英社、202-207頁。
  • 今野真二「『日本国語大辞典』全巻読破のひとり旅(最終回)」『Kotoba』25、2016年、集英社、210-215頁。
  • 松井栄一「『近代国語辞書の歩み―余説第二章』について」『国語学』第128集、国語学会、1982年3月、55-70頁。
  • 松井栄一「「日本国語大辞典」の特色と課題」『日本語学』第13巻7号、明治書院、1994年6月、14-21頁。
  • 松井栄一「「最大の国語辞典」の完成」『本の窓』第24巻11号、小学館、2001年12月、66-69頁。
  • 池田証寿「『類聚名義抄』の和訓と『日本国語大辞典』」『訓点語と訓点資料』第153号、訓点語学会、2024年9月、17-27頁。
  • 中村彰彦「歴史の交差点(336)『日本国語大辞典』解説文への疑問」『週刊ダイヤモンド』第88巻44号、ダイヤモンド社、2000年11月、188-189頁。
  • 武藤康史 「五十万語のドラマ:「日本国語大辞典」第二版と松井栄一」『文學界』第56巻3号、文藝春秋、2002年3月、176-187頁。

関連項目

外部リンク




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