現存本
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現存する最古のものは平安極初期のもの(田中本巻第十ならびにその僚巻に相当する巻第一の断簡)。 写本は古本系統と卜部家系統の本に分類される。(この他に「伊勢系」を分けて考える説もある) 神代巻(巻第一・巻第二)の一書が小書双行になっているものが古本系統であり、大書一段下げになっているものが卜部家系統である。原本では古本系統諸本と同じく小書双行であったと考えられている。 以下に国宝や重要文化財に指定されているものをいくつかあげる。 古本系統佐佐木本 9世紀写 第1巻断簡 - 四天王寺本・猪熊本・田中本の僚巻。紙背には空海の漢詩を集めた『遍照発揮性霊集(へんじょうほっきしょうりょうしゅう)』(真済編)が記されている。訓点なし。個人蔵。 四天王寺本 9世紀写 巻第一断簡 - 佐佐木本・猪熊本・田中本の僚巻。紙背文書については佐佐木本と同じ。訓点なし。四天王寺蔵。 猪熊本 9世紀写 巻第一断簡 - 佐佐木本・四天王寺本・田中本の僚巻。紙背文書については佐佐木本と同じ。訓点なし。個人蔵。 田中本 9世紀写 巻第十 - 佐佐木本・四天王寺本・猪熊本の僚巻。紙背文書については佐佐木本と同じ。訓点なし。奈良国立博物館蔵。 岩崎本 10〜11世紀写 巻第二十二・二十四 - 訓点付きのものとしては最古。本文の声点は六声体系。図書寮本と比較すると、本文・訓点ともに相違は大きい。京都国立博物館蔵。 前田本 11世紀写 巻第十一・十四・十七・二十 - 訓点は図書寮本と同系統であるが、多少古態を存する。声点は四声体系。前田育徳会蔵。 図書寮本(書陵部本) 12世紀写 巻第十・十二〜十七・二十一〜二十四 - 訓点あり(第10巻を除く)。第14巻と第17巻は前田本と、巻第二十二〜二十四は北野本と、それぞれ同系統。声点は四声体系。宮内庁書陵部蔵。 北野本 第1類…巻第二十二〜二十七(平安末期写) - 訓点あり。鎌倉末〜南北朝期に神祇伯であった白川伯王家・資継王の所蔵本が、室町中期に吉田家系の卜部兼永の所有となったもの。北野天満宮蔵。 鴨脚本(嘉禎本) 1236年(嘉禎2年)写 巻第二 - 訓点あり。京都・賀茂御祖神社の社家・鴨脚(いちょう)氏旧蔵本。本文・訓点とも大江家系か。國學院大學蔵。 卜部家本系統卜部兼方本(弘安本) 弘安9年(1286年)写 巻第一・二 - 訓点あり。平野家系の卜部兼方の書写。大江家点との比較を丹念に記す。声点は四声体系。京都国立博物館蔵。 卜部兼夏本(乾元本) 嘉元元年(1303年)写 巻第一・二 - 訓点あり。吉田家系の卜部兼夏の書写。『弘仁私記』その他の私記を多数引用。声点は四声体系。天理大学附属天理図書館蔵。 熱田本 1375〜7年写 巻第一〜十・十二〜十五 - 訓点あり。熱田神宮蔵。 図書寮本(書陵部本) 1346年(南朝:正平元年、北朝:貞和2年)写 巻第二 - 訓点あり。北畠親房旧蔵本。宮内庁書陵部蔵。 北野本 第2類…巻第二十八〜三十(平安末〜鎌倉初期写)、第3類…巻第一・四・五・七〜十・十二・十三・十五・十七〜二十一(南北朝写)、第4類…巻第三・六・十一(室町後期写)、第5類…巻第十六(幕末写) - 訓点あり(第1巻を除く)。第2・3類は第1類同様白川伯王家・資継王の旧蔵本。資継王が加点しているため、本文とは異なり訓点は伯家点系である。北野天満宮蔵。 卜部兼右本 天文9年(1540年)写 巻第三〜三十 - 大永5年(1525年)に吉田家前当主の卜部兼満が家に火を放って出奔した際に卜部家伝来の本も焼失したため、若くしてその後を継いだ兼右が、以前に卜部家本を書写していた三条西実隆の本を書写させてもらい、更に一条家の本(一条兼良写、卜部兼煕証)で校合して証本としたもの。当初は全巻揃っていたが、神代巻2巻は再度失われた。人代巻28巻を完備したものとしては最古に位置する。
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現存本
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清刊本・清写本よりも、和刻本・和写本の方が多く現存している。注釈書も多く現存している。『天経或問後集』も一応現存している。 現代語訳は無い。
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