火の利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 20:57 UTC 版)
詳細は「初期のヒト属による火の利用」を参照 ヒトは、火を調理に使い、暖を取り、獣から身を守るのに使い、それによって個体数を増やしていった。火を使った調理は、ヒトがタンパク質や炭水化物を摂取するのを容易にした。火を利用することによって寒い夜間にも行動ができるようになり、あるいは寒冷地にも住めるようになり、ヒトを襲う獣から身を守れるようになった。 ヒト属による単発的な火の使用の開始は、約170万年から約20万年前までの広い範囲で説が唱えられている。最初期は、火を起こすことができず、野火などを利用していたものと見られるが、日常的に広範囲にわたって使われるようになったことを示す証拠が、約12万5000年前の遺跡から見つかっている。 ヒトの生活は、火とその明るさで大きな影響を受けた。夜間の活動も可能となり、獣や虫除けにもなった。また、当初は火を起こすのが難しかったため、火は集団生活で共用されるべきものとなり、それにより集団生活の必要性が増した。 火の使用は栄養価の向上にも繋がった。タンパク質は加熱することで、栄養を摂取しやすくなる。黒化した獣の骨から分かるように、肉も火の使用の初期から加熱調理されており、動物性タンパク質からの栄養摂取をより容易にした。加熱調理された肉の消化に必要なエネルギーは生肉の時よりも少なく、加熱調理はコラーゲンのゼラチン化を助け、炭水化物の結合を緩めて吸収しやすくする。また、病原となる寄生虫や細菌も減少する。 また、多くの植物には灰汁が含まれ、マメ科の植物や根菜にはトリプシンインヒビターやシアングリコーゲンなどの有毒成分が含まれる場合がある。また、アマ、キャッサバのような植物に有害な配糖体が含まれる場合もある。そのため、火を使用する前には植物の大部分が食用にならなかった。食用にされたのは種や花、果肉など単糖や炭水化物を含む部分のみだった。ハーバード大学のリチャード・ランガム(英語版)は、植物食の加熱調理でデンプンの糖化が進み、ヒトの摂取カロリーが上がったことで、脳の拡大が誘発された可能性があると主張している。 実際、ホモ・エレクトゥスの歯や歯の付着物から、加熱調理無しには食べるのが難しい硬い肉や根菜などが見つかっている。
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火の利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 00:02 UTC 版)
前期旧石器時代のホモ・エレクトスが火を使っていたかどうかについては異論を唱える学者もいる。しかし、中期旧石器時代のネアンデルタール人が火を使っていたことに関しては異論が少ない。 ネアンデルタール人による火の使用の跡はいくつも見つかっている。例えばフランスのドルドーニュ県XVI洞窟からは、乾燥した地衣類を燃料に使った6万年前の炉の跡が見つかっている。また、ブリュニケル洞窟(フランス語版)からは少なくとも4万7600年前の炉の跡が見つかっている。 ただ、ネアンデルタール人が実際に火を起こす方法を知っていたのかどうかについては、論争がある。ある説では、ネアンデルタール人は、自ら火を起こす方法は知らず、落雷や山火事など、自然の要因によって生じた火を利用していたとする。一方、ネアンデルタール人の道具には、削れた燧石が含まれているという調査もあり、この燧石と黄鉄鉱や白鉄鉱を打ち合わせて火花を飛ばし、火を起こせたとする研究結果もある。
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