民族関係とは? わかりやすく解説

民族関係

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 00:54 UTC 版)

天龍八部 (小説)」の記事における「民族関係」の解説

金庸の武俠小説多くは、歴史転換期舞台設定されている。そのこと自体武俠小説において珍しいことではないが、金庸作品は、中国だけではなく周辺国家民族との関わり描かれることが多い点において、特徴的である。中でも天龍八部は、最も複雑な民族関係が描かれている。 天龍八部舞台11世紀末、宋代中国大陸五代混乱収めて中原統一した漢人の宋に対して北方契丹人の遼、北西党項タングート)人の西夏鼎立するなど、様々な国家民族入り乱れていた時代である。 物語登場する4人の主人公も、それぞれ複雑な国家・民族関係を抱えている。 最初に登場する主人公段誉は、宋の南西位置した小国大理王子で、その母は少数民族族擺夷族出身という設定になっている。また大理の段氏自体が、史実では、擺夷族白族である。 段誉は吐蕃護国法王である摩智にさらわれ江南慕容家へ連れて行かれるが、この慕容氏は、数百年前存在した鮮卑族燕朝末裔という設定である。古の王朝復興一族悲願であり、主人公1人である慕容復密かに宋朝転覆企てている。 慕容家を離れた段誉は立ち寄った酒楼で、偶然に丐幇の幇主喬峯出会い義兄弟契りを結ぶ物語中盤主人公であるこの喬峯こそは、天龍八部民族問題象徴する人物である。喬峯武勇優れ人望もあり、中原最大勢力である丐幇率いて中原への侵入を図る周辺異民族との戦い身を投じとりわけ北方契丹人民族宿敵として死闘繰り広げてきた。だがある日、実は契丹人であるという本人さえ知らぬ出生の秘密暴露されたことで、今まで仲間だった者から裏切り者扱いをされたばかりか、今まで己が信じてきた価値観全て崩壊するという事態に直面する契丹人である喬峯が、なぜ漢人として育てられたのか。その原因30年前雁門関起こったある悲劇にあったのだが、その事件の真相物語全体の鍵ともなっている。 壮絶な民族差別遭って宋を追われ喬峯は本来の契丹人の姓を名乗って蕭峯と名を変え同胞である契丹人の国遼に逃れるが、終始民族問題悩まされる。その過程で、当時契丹人支配下にあって、後に金を建国することになる女真族人々出会うのだが、その素朴な生活に接し交流深めることで、民族問題客観的に捉えることができるようになるのである金庸作品では、伝統的な中華思想否定され諸国家・民族客観的かつ平等に描かれるのが、特徴であるが、それが最もよく表れているのが、天龍八部蕭峯まつわる逸話である。中国という存在相対化し、その歴史批判的に見ようとする視点が、作品構造そのもの中に備わっているのである少林寺の僧で、最後主人公である虚竹も、後に西夏公主結ばれる。 こうして宋を内部から転覆させ、王朝復興悲願遂げよう企む慕容一族南下して侵攻の機を窺う契丹人の遼、その背後密かに実力を養う女真族祖国民族防衛使命感燃え中原少林寺丐幇など武林英雄たち、西北から虎視眈々漁夫の利を狙う西夏、更にその間暗躍する吐蕃、そして南西逼塞して自己保全を図る大理、という錯綜した国家・民族関係を背景に、驚天動地物語繰り広げられる

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