民族間の経済格差
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 17:02 UTC 版)
マレーシアは人種別に一人当たりのGDPが異なる。2012年の統計の民族別の世帯平均月収は、華人が6,366リンギ、インド系が5,233リンギ、マレー系が4,457リンギだった。華人がもっとも豊かなのは、マレーシア経済において支配的な立場にあるためだが、ペトロナスやプロトンといった政府系企業においては、ブミプトラ政策の影響でマレー系が独占的な立場 を有する。ただし、縁故採用の常態化といった問題から、すべてのマレー系住民が同政策の恩恵を受けているわけではない。結果として、マレー系コミュニティにおける経済格差は他民族と比較して極端に大きく、経済格差の規模は東南アジア最大である。 都市部と農村部の経済格差問題もあり、マレーシア国内で月収が1,000リンギ以下の世帯が全体の8.6%にあたる49万8,800世帯に上っているという。政府は、2013年より最低賃金制度を導入し、低所得者層の収入の増加を図ろうとしている。 マレーシアで有力な経済人は華人系が圧倒的に多く、個人総資産額の上位の大半が華人系で占められている。代表例としては、製糖事業で財を成したケリーグループを率いるロバート・クオック(郭鶴年)やパーム油(マレーシアの主要輸出品)関連事業を手がけるIOIグループの最高責任者リー・シンチェン(英語版)、シンガポールに拠点を持つ不動産業大手ホンリョングループ総帥クェック・レンチャン(英語版)が挙げられる。また、華人系実業家の多くは、シンガポールや香港と関係が深く、マレーシア政府との結びつきが弱いことに特徴がある。マレーシア企業でありながら拠点が国外(シンガポールや香港など)にあったり、事業の主要な収益源が海外である場合も少なくない。 一方、マレー系実業家の多くは政府と癒着関係にあり、官製企業の主要役職を務めていることが多い。たとえば、プロトン社長のサイド・ザイナル・アビディンや、ペトロナスCEOにして原油輸出に関する国営企業AET(英語版)の会長を務めるシャムスル・アズハル・アッバスなどである。 インド系は概して貧しい傾向にあるが、通信大手マクシス・コミュニケーションズの買収に成功した投資家にして国内第2位の富豪であるアナンダ・クリシュナン(英語版)のような例外も存在する。また、印僑の父とポルトガル系マレー人(マラッカの少数民族)の母を持つトニー・フェルナンデス(エアアジア代表)のような人物も存在する。
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