構造とその優劣
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 09:39 UTC 版)
構造は簡便かつ頑丈である。このため、マグナム弾等の強装弾を使用できる機種も多い。 安全機構 かつてのリボルバーには安全機構が無いに等しかったが後に様々な安全機構が開発されることになった。まず「ハンマーブロック」という方法が考案され、これは撃鉄と雷管の間が通常はブロックされ、引き金を引いた時のみこの機能が解除され撃てるようになるというものである。一方スターム・ルガー社は、「トランスファー・バー」という方法を自社のリボルバーに採用した。これは、通常は撃針が前進しても雷管を打つ撃針には接触しないようになっており、引き金を引いた時のみ中継用のバーがせり上がって間隙を塞ぎ、雷管に打撃を伝えられるようになるという、ハンマーブロックとは逆の発想である。ただし、トランスファー・バーはスターム・ルガーの特許ではないため、今日のリボルバーはほぼ全てがどちらかの安全機構が搭載されている。リボルバーの特徴として、引き金を引かなければ発射できない「内部安全装置」こそあれ、外部から操作する「手動安全装置(マニュアル・セイフティ)」は基本的に搭載されていない。銃把を握り込むと解除されるグリップセーフティー(スミス&ウェッソン・ハンマーレス)、自動銃並みのセーフティーレバー(ライヒスリボルバー、ウェブリー=フォスベリー・オートマチック・リボルバー、スチェッキン・OTs-38)など、何らかの形の安全装置を備えた製品も存在するが、少数派にとどまっている。 利点 それ以前の銃、銃身(バレル)がひとつで1発しか装填しておけないような銃(あるいは複数バレルで、本数分しか装填出来ない銃)と比べれば、多数の弾を装填しておけるので、実際の戦闘の場面では相当に有利になった。 また、「弾づまり」で全く撃てなくなってしまうということが起きず、オートマチック拳銃と比較して信頼性が高い。オートマチックのようには排莢しないため、ジャム(装弾不良/排莢不良)が発生しない。万一不発が発生しても、撃鉄を起こすかもう一度引き金を引くだけで次弾をすばやく発射できるという利点もある。このようにリボルバーはオートマチックよりマルファンクション(故障)の可能性が原理的に低い為、護身用銃としての人気が根強い。他にもオートマチックあるいはショットガン等、バネの力で弾薬を押し出す弾倉を有する銃器は、リボルバーに優る装弾数の代償として、装弾したまま長期間放置すると、押し込まれた状態に置かれた弾倉バネが縮んで(ヘタって)給弾不良を生じるリスクがある。リボルバーは装弾した即応状態で保管しておける点も護身用として好まれる。 オートマチックは、発射の反作用で作動するため、ほぼ銃に推奨される弾薬以外使用できないが、リボルバーの場合はシリンダーの穴と同じ径であれば、比較的弾薬の融通が利くという利点もある。 欠点 1950年代に自動式拳銃(オートマチック)が普及するようになると、人によっては「自動式拳銃と比較すれば装弾数が少ない」「弾薬の再装填に時間が掛る」などの点を挙げる場合もある。ただし後者の「再装填時間」に関しては、1910年代になると、まず3発の実包をまとめた半月型の「ハーフムーンクリップ」、6発の実包をまとめた円盤形の「フルムーンクリップ」と呼ばれる金属製挿弾子で一気に装填する方法が開発され、またさらに「スピードローダー」と呼ばれる専用の装填器具を用いれば大幅に短縮することができるようになっていたので、それらを活用する場合、再装填時間に関しては自動式拳銃(オートマチック)と比べてさほど遜色はない。 弾倉が回転する都合上、銃身と薬室との間に隙間(シリンダーギャップ)があり、高温・高圧の発射ガスがそこから漏れてエネルギーのロスが生じ、発射ガスが吹き付けることでフレームが損傷したり弾倉の軸周辺が汚れたりするおそれがあり、発砲音も大きくなる。このためリボルバーに消音器を使用しても減音効果はほとんど期待できない。銃の持ち方によっては、ガスで手を焼く危険もある。また発射時に銃身内腔と薬室との間で芯ずれ(軸のズレ)が起きる可能性がある。 なお回転輪胴の構造上、排夾不良は起こらないが、遅発(ハングファイアー)に関して危険な面もあり、遅発を不発と思い込んで次弾を発射しようとした時点で当初の弾丸が遅れて発射され、銃身他の前方構造物に当たって危険なことがある。もし不発が起きても次弾を直ぐに発射せずに、射撃姿勢を保ったまま数十秒様子を見るのが肝要である。 そしてパーカッションロック式以前の銃ではシリンダーギャップによるチェーンファイア(発砲炎が隣の薬室に伝火しての暴発)現象も、事故に繋がる重大な問題であった。
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