椋の木とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > 椋の木の意味・解説 

むく‐の‐き【×椋の木/×樸の樹】

読み方:むくのき

アサ科落葉高木山地生え、高さ約20メートル卵形で、縁にぎざぎざがある。5月ごろ、淡緑色の雄花雌花とが群がり咲く。実は球形黒く熟し食べられる関東以南分布。材は器具などに、ざらざらするは物を磨くのに用いる。むくえのき。むく。


椋の木

作者広長了介

収載図書のいる風景
出版社文芸社
刊行年月2003.4


むくのき (椋の木)

ネギのほかの用語一覧
エノキ:  ジョージアハックベリー  リンドハイマーハックベリー  
ケヤキ:  
ニレ:  春楡  秋楡
ムクノキ:  椋の木

ムクノキ

(椋の木 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/29 09:34 UTC 版)

ムクノキ
ムクノキ(兵庫県
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : バラ類 rosids
: バラ目 Rosales
: アサ科 Cannabaceae
: ムクノキ属 Aphananthe
: ムクノキ A. aspera
学名
Aphananthe aspera (Thunb.) Planch. (1873)[1]
和名
ムク(椋)
ムクノキ(椋の木)
ムクエノキ(椋榎)
英名
Muku Tree

ムクノキ(椋木[2]、椋の木[2]、樸樹[2]学名Aphananthe aspera)はアサ科[注 1]ムクノキ属の落葉高木東アジアに分布する。単にムク(椋)[1]、またはエノキに似るためムクエノキ(椋榎)[1]とも言う。果実は甘酸っぱく、ムクドリなどの小鳥が集まる木で知られる[3]。ざらついた葉が漆器などの研磨剤に、かたい材は運動具などに利用される。

成長が比較的早く、大木になるため、日本では国や地方自治体天然記念物に指定されている巨木がある。

名称

和名ムクノキ語源は諸説ある。ムクドリが実を好むのでムクノキになったという説[4]。大木になると樹皮が剥がれてくることから、剥く(ムク)からムクノキになったという説[4]。あるいは、ザラザラする葉を研磨剤に用いたことから、「磨く」を意味する古語「むく」から「むくの木」となったという説がある[5]

「椋」を「むく」と読むのは国訓で、本来この字は、同様に落葉高木ではあるが「ちしゃ」を意味する。ただし、「ちしゃ」の同定にはムラサキ科チシャノキまたはエゴノキ科エゴノキの2説あり(他にキク科レタスもあるが草本なので除外する)、真の椋がどちらかは判然としない[注 2]

「椋」には「くら(蔵・倉)」の意味もある。この意味は、中国古典には見られない(「椋」音でその意味には「𢈴」を使う)が、日本独自の国訓ではなく、古代朝鮮に由来する。

「椋」を含む地名や名字は多い。「むく」と読むものも「くら」と読むものもあり、「椋本」などはどちらでも読む。

「むく」を訓とする字には「樸」もある[8]。ただしこの字は同音の「朴(えのき、国訓 ほおのき)」と通じ[8]、とくに現代中国の簡体字では「樸」の字形も「朴」であり区別をしない。

分布・生育環境

日本中国インドシナに分布する[4]。日本国内では関東以西の本州から四国九州でごく普通に見られ[9]屋久島種子島にも分布する。琉球列島ではまれだが、沖縄島には分布する[9]。ムクノキ属で唯一、日本に生育する。

主に山地から低地の森林内、山野に生育する[9][2]。温暖な沿岸地に多くみられる[5]。植栽もされ[2]、特に人家周辺の神社などによく見かける。

形態・生態

落葉広葉樹の高木で[9]、高さは20 - 30メートル (m) [4]、幹の直径は1 m以上になり、板根が発達する場合もある。樹皮は淡灰褐色で、若木の表面はほぼ平滑だが、樹齢に伴って縦に網目状の割れ目が生じて浅い筋が入り[9]、老木では樹皮が大きく反って剥がれてくる[2]ケヤキのようにまだら状にはならない[2]。一年枝は無毛で皮目が多い[2]。生長が非常に早く、林の空き地などでいち早く大木になる[5]

互生し、長さ4 - 10センチメートル (cm) の卵形又は狭卵形で、葉縁は先端まで鋭い鋸歯があり[9]、葉脚はくさび状、3行脈を持つ。葉の形はケヤキによく似ているが、ケヤキよりも細長く大きめで、先端側の半分が細め、鋸歯が鋭いのが特徴である[5]。葉の質は薄く、表面は細かい剛毛が生え、紙やすりのようにざらついている。秋になると黄色系に紅葉し、赤みがかることはほとんどない[5]

花期は4 - 5月ごろ[2]雌雄同株で、には雄花雌花がある。葉と展葉とともに葉の根元に淡緑色の小さな花を咲かせる[9]。花の後に直径7 - 12ミリメートル (mm) の球形で緑色の果実核果)をつけ、同じニレ科のエノキよりも大きい[4]。果期は10月ごろで、熟すと黒紫色になり、乾燥して食用になり、は非常に甘く美味である[9][4]ムクドリヒヨドリオナガなどの小鳥が好んで果実を食べに集まり[4]、種子の散布にも関与している。

冬芽は、枝先に仮頂芽がつき、側芽が互生して枝に沿ってつき、横に副芽をつけることもある[2]。冬芽は長楕円形で伏毛が生えており全体に白っぽいが、6 - 10枚つく芽鱗の縁には毛がない[2]。冬芽のすぐ下にある葉痕は半円形で、維管束痕は3個ある[2]

比較的、樹洞が形成されやすい[10][要ページ番号]

利用

木材は建築材や器具材に利用される[5]。材の質はやや堅く粘りがあるが、耐久性は低い。かたい材を利用してバットなどの運動具に用いられ[4]、道具材、楽器材などにも使われる。 葉の裏のざらつき、ケイ酸質の毛で覆われているので、漆器の木地や角細工、鼈甲細工、象牙などの表面を磨くのに使われる[9][4]

保護上の位置付け

椋本の大ムク

日本の天然記念物

レッドデータブック

下記の地方公共団体が作成したレッドデータブックに掲載されている。

脚注

注釈

  1. ^ APG体系ではアサ科に分類されるが、古いクロンキスト体系新エングラー体系ではニレ科に分類されていた[1]
  2. ^ 辞書類の中には、椋にチシャノキを結びつけるもの[6]もエゴノキを結びつけるもの[7]もある。

出典

参考文献

  • 沖縄県文化環境部自然保護課編 『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(菌類編・植物編)-レッドデータおきなわ-』、2006年。
  • 島袋敬一編著 『琉球列島維管束植物集覧【改訂版】』 九州大学出版会、1997年、ISBN 4-87378-522-7
  • 林弥栄編 『山溪カラー名鑑 日本の樹木』 株式会社山と溪谷社、1985年、ISBN 4-635-09017-5

外部リンク


「椋の木」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「椋の木」の関連用語

椋の木のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



椋の木のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ボタニックガーデンボタニックガーデン
Copyright 2001-2025 shu(^^). All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのムクノキ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS