日本の電波利権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 04:21 UTC 版)
テレビ局は社員・退職者に他の業種と比較して高額であると言われ、入社から退職まで手厚い福利厚生があるため放送業界に冠する既得権益(電波利権)があると批判されている。 2013年のテレビ局の事業収入がNHKが6517億円、フジテレビが3468億円、日本テレビが2277億円である。企業でいう「仕入れ」の電波利用料は1993年から導入されたが、NHKが18億7800万円、フジテレビ系が3億9920万円、日本テレビ系が4億3260万円で、事業収入に占める電波利用料はNHK0.28%、フジテレビ系0.11%、日本テレビ系0.18%でテレビ局は確実に大儲け出来る仕組みであることや電波利用料自体が自由化された際の市場価値に対して不当に安過ぎるため電波利権と批判されている。 2015年の電波使用料は、携帯電話キャリアであるNTTドコモ201億円、KDDI131億円、ソフトバンク165億円に対して、公共放送のNHKが約21億円、日本テレビ系列は約5億円、TBS系・フジテレビ系、テレビ朝日系、テレビ東京系は約4億円で利益に対しては電波利用料は1%未満という微々たるものである。2014年11月から翌年1月のオークションで、周波数帯3つが計約5兆円で落札されて、アメリカ合衆国では電波の競売によって連邦政府の歳入の増加に貢献している。民主党政権は電波の自由化をしようとしたが、外資規制を法案に盛り込まなかったことで野党自民党が反対したため廃案になった。 日本の公共放送であるNHK関係者の高額給与・福利厚生や社内幹部らが放漫出費してることに日本国民が反感を覚えて受信料拒否が起こっていることの解決策として、イギリスの公共放送BBCへ受信料への受信料義務化以後は、代わりに定期的な民営化の国民投票をするイギリスの制度が提案されている。2017年は自民党政権は電波利用料金の収入増と電波利権と批判されている特定のテレビ局などへの割当の透明性確保した形で、アメリカ・イギリス・フランス・ドイツなど先進国で行われている周波数帯の利用権を競売制度導入を検討していることを発表した。 元NHK職員の池田信夫は、自身の主催するウェブサイト『アゴラ』において、2015年6月に作家の百田尚樹が「沖縄の2つの新聞は潰さないといけない」と発言してマスコミからの批判を受けた報道について、百田の本当の批判対象が新聞の影響ではなく「地上波の既得権」にあるにもかかわらずそのことをどのメディアも触れていないことを指摘。UHF帯だけで30チャンネル以上割り当てられる周波数をたったの7局の寡占して状態を改善すれば報道法第4条の「政治的中立」規定は不要になると述べると共に、池田自身が電波利権を告発した本を出版した以降に突然テレビ局にほとんど招かれなくなったことを踏まえ、『テレビ局なんて、役所の守ってくれる利権にぶら下がって商売している規制産業』『「言論の自由」を振り回して、正義の味方を気取るのはやめるべき』と述べている。 嘉悦大学教授の高橋洋一も、講談社のウェブサイト『現代ビジネス』への寄稿で、日刊新聞法が新聞社の保護につながっている事に加え、クロス・オーナーシップと共に「電波オークション」をやらないことで放送事業への新規参入が阻害されているとして「多様な放送が可能になれば、どんな局が入ってきても関係がない。今は地上波キー局の数局だけが支配しているから、それぞれのテレビ局が異常なまでに影響力を強めている。影響力が強いから放送法を守れという議論にもなる。しかし放送局が何百もの数になれば影響力も分散され、全体で公平になる。そのほうが、健全な報道が期待できるだろう」と述べている。 2020年9月、内閣総理大臣参与の高橋洋一は菅義偉総理、河野太郎行政改革大臣が「電波利用料」のプロであり大改革を予見している。
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