日本における大学図書館の様態と運営
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 14:55 UTC 版)
「大学図書館」の記事における「日本における大学図書館の様態と運営」の解説
大学図書館の定義には、大学によって設置されるもののほかに、短期大学、高等専門学校によって設置されるものも含むが、その設置根拠はそれぞれの設置基準(大学設置基準、短期大学設置基準、高等専門学校設置基準)内において言及されていることに拠る。大学が設置する狭義の大学図書館においては設置者別(国立大学附属図書館、公立大学図書館、私立大学図書館)や分野別(医学、薬学、音楽、農学、体育、仏教)などの分類がなされ、それぞれに協会や協議会を結成して協力関係を築く例も見られる。また、小規模大学では単館のみの運営であるのに対し、大規模大学では中央図書館とキャンパスごとの分館あるいは医学図書館などの主題別の部局図書館が設けられている例もあり、運営の形態は様々である。冒頭において図書館を情報メディアセンターに改組・改称する大学があると述べたが、これは1980年代以降コンピュータを用いた学術情報基盤の整備にともない大学図書館が担う業務領域が変容したことが背景にあり、大型計算機センターを母体とする情報基盤センターに図書館組織を組み込むことで、情報関連の部局統合を図ったことによるものである。館長職については、日本では教員が兼任で務めるケースが多く、これは国際的に特異な例であるとされる。館長職の権限および位置づけも様々で、名誉職として位置づける大学もあれば、大学全体の情報組織を統括する立場として副学長が図書館長を兼任する例もみられる。 大学では、学校教育法の規定により教育研究等の活動を自己点検・評価し、その結果を公表するものとされ、また国が認めた認証評価機関による第三者評価を義務付けられている。図書館もまた評価活動を行う主体であり、調査により現状を把握し、改善に役立てることを基本目的として評価活動が行われる。これら評価活動は単に利用者の意見や満足度を知るのみならず、図書館がいかに教育や研究に寄与したかを実証して適正な予算配分を得るためにも不可欠であり、そのために評価指標の標準化が試みられてきた。また、1980年代以降はそれまでの資源の投入(インプット)を重視した評価だけでなく、図書館が提供した資料やサービスなどのアウトプットや、アウトプットによりもたらされた利用者の成果であるアウトカムなど、様々な側面から図書館が評価されるようになった。このためISO規格である「図書館パフォーマンス指標」(ISO11620)が評価規格として持ち込まれ、2002年にはJIS X0812として国家規格とされた。また、利用者サービスの質を測定するために顧客満足の概念が図書館評価にも応用され、米国研究図書館協会(英語版)ではサービス品質の調査手法として用いられてきたSERVQUAL(英語版)を図書館評価に適用したLibQUAL+を開発して世界各国での調査活動に用いており、日本でも独自にSERVQUALを応用して評価活動を行う大学がみられる。
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