既存兵器の変化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 14:49 UTC 版)
兵器 第一次世界大戦で実用化が進んだ航空機は、大戦前から近代的な全金属製戦闘機であるドイツのメッサーシュミット Bf109やイギリスのスーパーマリン スピットファイア、日本の零式艦上戦闘機が実用化され初期から中期の戦場で活躍した。各前線での戦闘の激化に伴い、日本やイギリス、ドイツやアメリカなどで新たな航空機の開発が進められた。 発動機の出力は著しく向上した。レシプロエンジンで1,000馬力程度の出力であったのが、過給機を含めあらゆる技術がつぎ込まれ、戦争中には小型で2,000馬力、大型で3,000馬力を超えた。レシプロは限界を迎え、大戦中にドイツ、イギリス、イタリア、アメリカ、日本の5国はジェットエンジンの開発までたどり着いてしまう。 ジェット機の実用化は、ドイツとイギリスが1944年に実現した。日本でもジェットエンジン「ネ0」搭載の新機種の開発などが急ピッチで行われたが、ジェット戦闘機の完成はアメリカと同じくぎりぎりで終戦に間に合わなかった。 爆撃機としては、ショート スターリング、ハンドレページ ハリファックス、アブロ ランカスターやボーイングB-17、B-24、B-29等、発動機4発の大型戦略爆撃機が連合国側で多数登場した。またイギリスのデ・ハビランド モスキートや日本の三菱一〇〇式司令部偵察機等の高速偵察機、さらに末期にはイギリスのグロスター ミーティアやドイツのメッサーシュミット Me262等のジェット機やメッサーシュミット Me163のロケット機等、新鋭機が次々と戦場に投入された。 これら航空機に導入された様々な技術は、戦後でも民間で盛んに使われ、出力向上のための技術は後年、ターボチャージャーなど自動車用発動機の効率改良に様々な形で役立てられた。 同じく第一次世界大戦に本格的な実用化が進んだ潜水艦は、ドイツのUボートや、日本の空母型潜水艦である零式小型水上偵察機を艦内に収容した日本の伊十五型潜水艦や、3機の特殊攻撃機「晴嵐」が搭載可能であり、潜水空母とも俗称される伊四百型潜水艦など、さらなる大型化と多機能化を見せた。この潜水艦における兵器格納技術はミサイル搭載型の潜水艦へと進歩していくことになる。 戦車においては、ドイツ軍が編み出した電撃戦という戦術により、求められる性能は第一次世界大戦から大きく変化した。機動力を持つ戦車が要望されたが、装甲が薄く生存性の低い軽戦車は初期に最前線から退き、主力となる中戦車が登場した。戦前はイギリスのヴィッカース 6トン戦車を源流とする軽戦車が主力であったが、内燃機関の発達とともに武装・装甲が強化され、急激に重量を増した。連合国の戦車は30トン級(ソ連のT-34、アメリカのM4中戦車)が主力となった。開戦初期は主砲は37mm口径が主力だったが、後期には75mm口径以上が必須となった。傾斜した装甲によりその防御力も強化された。同時に戦車へ対抗する兵器も、成形炸薬弾による個人運用が可能な(バズーカ、パンツァーファウスト)の登場により進歩した。
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