新小千谷発電所とは? わかりやすく解説

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信濃川発電所

(新小千谷発電所 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/15 03:47 UTC 版)

信濃川発電所
小千谷発電所(右)と小千谷第二発電所(左)
1.千手発電所 2.小千谷発電所 3.小千谷第二発電所
日本
所在地 新潟県十日町市小千谷市
現況 運転中
事業主体 東日本旅客鉄道
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信濃川発電所(しなのがわはつでんしょ)は、新潟県信濃川流域に位置する東日本旅客鉄道(JR東日本)が所有する水力発電所である。管理業務は同社エネルギー企画部の管轄下にある。

千手(せんじゅ)・小千谷(おぢや)・小千谷第二(おぢやだいに)の3つの発電所の総称である。合計最大出力は44万9,000キロワットで、JR東日本で消費する電力量の4分の1に当たるが[1]JR東日本信濃川発電所の不正取水問題の発覚により、2009年2月13日から2010年6月9日まで発電が停止された。

1919年(大正8年)に出された「国有鉄道運輸二関シ石炭ノ節約ヲ図ルノ件(鉄道運輸に関する石炭の消費量を節約せよ)」と云う議案により整備が開始された[2]

構成

千手発電所
1939年(昭和14年)に運用を開始した水力発電所。信濃川に建設した宮中取水ダム(みやなかしゅすいダム)左岸の宮中取水口より取り入れた水は、浅河原調整池を経て発電所に導かれる。5台の水車発電機を有し、出力は12万キロワット。建設当初から省線の電気運転の原動力として期待され、深夜や昼間など電車の運転が閑散な時間帯には余水を調整池に貯め置き、朝夕のラッシュアワーに合わせて電力が送電できるように設計されていた[3]。なお、宮中取水ダムは東京電力信濃川発電所放水路の下流に位置し、同発電所で発電に使用した水も取り入れている。2020年現在、2027年3月完工を予定した改修工事が実施中。完成すれば発電機は現行の5基から4基に減少するが、もともと5基のうち1基は予備として停止させてきた発電体制を、常時4基を稼働させる体制に変更するため、実質的な発電能力に変更はない[4]
小千谷発電所
1951年(昭和26年)に運用を開始した水力発電所[5]。千手発電所で発電に使用した水をそのまま水路によって導き、山本調整池を経て発電所に導かれる。5台の水車発電機を有し、出力は12.3万キロワット。
小千谷第二発電所
1990年(平成2年)に運用を開始した水力発電所。旧名称は新小千谷発電所[6]。信濃川に建設した宮中取水ダム左岸の新宮中取水口より取り入れた水は、山本第二調整池(旧名称は新山本調整池)[7]を経て発電所に導かれる。2台の水車発電機を有し、出力は20.6万キロワット。
信濃川発電所
千手発電所 小千谷発電所 小千谷第二発電所
形式 調整池式 自流 調整池式 自流 調整池式 自流
認可出力 120,000 kW 123,000 kW 206,000 kW
最大使用水量 - - m3/s - - m3/s - - m3/s
有効落差 - - m - - m - - m
水車発電機台数 5 5 2
運用開始 1939年 1951年 1990年

歴史

JR東日本による水利権に関する不正・隠蔽
東日本大震災における電力融通

2011年平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震東日本大震災)に伴い東京電力の発電所が相次いで被災、運転を停止したことで主に関東地方において電力不足となったことから、節電の呼びかけや計画停電が実施された。

当発電所関連では、十日町市の提案と国土交通省の指示により、3月14日より信濃川の試験放流を暫定的に中断し、河川維持流量を毎秒7トンに低減させたほか発電所の取水量も増加し発電量を増加させた[16]ほか、同様にフル稼働させたJR東日本川崎火力発電所の電力とともに東京電力への融通[17]を実施した。

なお、国内の鉄道各社では節電のため運行本数の削減や列車の運休が相次いだが、JR東日本管内でも同様の措置のほか駅構内での照明の減灯などを実施している。

地域との共生

信濃川へのサケ稚魚放流活動
2010年より中魚沼漁業協同組合の協力のもと、信濃川の河川環境と利用の調和を図る取組みの一環として、特定非営利活動法人「新潟水辺の会」との共催により、宮中取水ダム下流河川敷でサケ稚魚の放流を実施している。
教育施設との協業
小千谷発電所近くにあった既存の社会教育施設を小千谷市とJR東日本の協業によりリニューアルし、2016年7月「市民の家・小千谷信濃川水力発電館『おぢゃ〜る』」として開業した[18]

脚注

  1. ^ 環境活動 - クリーンな電力で列車を動かす (PDF) JR東日本
  2. ^ 須佐見朱加「首都圏鉄道網の電力供給を支えるJR東日本信濃川発電所の維持管理」『地盤工学会誌』第62巻第7号、地盤工学会、2014年7月、36-37頁、CRID 1543668945046343680NAID 110009828779NDLJP:10422378 
  3. ^ 信濃川発電所の一期工事終わる『東京日日新聞』(昭和14年12月3日)『昭和ニュース辞典第7巻 昭和14年-昭和16年』p564 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年
  4. ^ 昭和生まれの水力発電所、次の時代へ回れ”. 朝日新聞 (2020年11月29日). 2020年11月29日閲覧。
  5. ^ a b 「信濃川小千谷発電所成る 感激裡に送電開始」『交通新聞』交通協力会、1951年8月3日、2面。
  6. ^ 水力発電所ギャラリー 東日本旅客鉄道小千谷第二(新小千谷)発電所 - 水力ドットコム”. 2025年1月15日閲覧。
  7. ^ 山本第二調整池[新潟県] - ダム便覧”. 一般財団法人 日本ダム協会. 2019年3月22日閲覧。
  8. ^ a b c d e 国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成(1976年度撮影)
  9. ^ 『小千谷市史 下巻』小千谷市史編修委員会、1967年。 
  10. ^ 「三十六名今や絶望 生埋め惨事」『日本経済新聞』1950年9月6日付 2面
  11. ^ 水が消えた大河。 - 朝日新聞新潟版 Archived 2009年2月17日, at the Wayback Machine.
  12. ^ JR東日本信濃川発電所の水利権取消しに - 十日町新聞
  13. ^ 東日本旅客鉄道(株)発電水利使用の不適切事案について -命令書を手交します- (PDF) - 国土交通省 北陸地方整備局
  14. ^ 東日本旅客鉄道(株)の信濃川の流水占有(千手、小千谷、小千谷第二発電所)について -許可を行いました- (PDF) - 国土交通省 北陸地方整備局
  15. ^ 信濃川発電所情報 - JR東日本(毎日11時頃までに情報更新)
  16. ^ a b 信濃川発電所における河川維持流量低減について
  17. ^ a b JR東日本における自営電力の最大活用と電力使用量の節減について』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道(JR東日本)、2011年3月18日http://www.jreast.co.jp/press/2010/20110312.pdf2011年3月22日閲覧 
  18. ^ a b 市民の家・小千谷信濃川水力発電館7月21日オープン!!」(PDF)『広報おぢや』第949号、小千谷市、2016年7月10日、1-7頁。 
  19. ^ 土木学会 平成28年度度選奨土木遺産 信濃川 千手水力発電施設群”. www.jsce.or.jp. 2022年6月9日閲覧。

関連文献

  • 依藤義登「鐵道省千手發電所に就いて」『電氣學會雜誌』第60巻第622号、電気学会、1940年、169-175頁、doi:10.11526/ieejjournal1888.60.169 

関連項目

外部リンク


新小千谷発電所

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 02:47 UTC 版)

信濃川発電所」の記事における「新小千谷発電所」の解説

1990年平成2年)に運用開始した水力発電所信濃川建設した宮中取水ダム左岸新宮中取水口より取り入れたは、山本第二調整池旧称:新山調整池)を経て発電所導かれる。2台の水車発電機有し出力は20.6キロワット

※この「新小千谷発電所」の解説は、「信濃川発電所」の解説の一部です。
「新小千谷発電所」を含む「信濃川発電所」の記事については、「信濃川発電所」の概要を参照ください。

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