文学における近親相姦的家族
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「文学における近親相姦」の記事における「文学における近親相姦的家族」の解説
ジョン・フォードの『あわれ彼女は娼婦』(1629年から1633年)は、多くの論争を引き起こした初期の例の一つである。 マルキ・ド・サドの『ソドム百二十日あるいは淫蕩学校』(1785年)、『閨房哲学』(1795年)、『ジュリエット物語あるいは悪徳の栄え』(1797年)は、全て近親相姦の詳細な描写で満ちている。 1969年に書かれたサミュエル・R・ディレイニーの小説、『ホッグ(英語版)』もまた、近親相姦の詳細な描写が多く描かれている。ポール・ディ・フィリポによると、ディレイニーは一般的とみなされる性的関係の境界を押し広げようとしていた。 ガブリエル・ガルシア=マルケスの百年の孤独 (1967年)では、叔母と甥の間で起こることを含む、近縁度が大きかれ小さかれ、いくつかの近親者間のセックスがある。他の文学作品では、双子の兄妹が精神が浄化されるような性行為を共有しているアルンダティ・ロイの『小さきものたちの神(英語版)』のように、結果がそれほど重大なものではないことを示している。 ウラジーミル・ナボコフの小説『アーダ』(1969年)では、主人公ヴァン・ヴィーンの複雑な家系における近親相姦関係を重要に扱っている。主にヴァンと妹のアーダ、アーダと妹のリュセットの間に性的関係の明白な瞬間がある。ナボコフは、必ずしも近親相姦に内在する可能性のある社会的、またはその他の複雑さや結果を、他者から隠さなければならないタブーとして扱うわけではない。アーダで見られる近親相姦は、主に近親相姦関係を経験した登場人物の思索を表現するためのものだったと思われ、この時期のナボコフの小説における『ロリータ』の小児性愛や、『青白い炎(英語版)』の同性愛など「性的違反」の他の例と同様の効果を出しているものである。 ロバート・A・ハインラインの『愛に時間を』(1973年)と『落日の彼方に向けて(英語版)』(1987年)では、登場人物が近親相姦に賛成する主張をしている。 近親相姦及び近親交配は、V・C・アンドリュースの作品において頻繁に扱われている題材である。『ガーディアン』のリジー・グッドマンは、近親相姦を他の暗い題材の中でも、「暗い」側面を探求するための「衝撃的だが必要な」題材として挙げている。 アン・ライスのメイフェア家シリーズ(1990年–94年) 3部作は、重い近交系の魔女の一家について扱っている。論争の中で、ライスは彼女の小説が若い女性と自由な愛の選択者の代理を務めていると述べた。登場人物の一人、ある父親の子供は、彼の妹であり、娘であり、孫娘である。 V・C・アンドリュース(上記参照)の小説“ドーランギャンガー”と銘打たれた小説群は、明らかに近親相姦が根本にあるダイナミックで非常に機能不全な家族を描いている『屋根裏部屋の花たち』コリーンは彼女の子供達に彼らの父親、クリストファーが半血叔父であることを明らかにする。その後、クリス・ジュニアは彼の妹キャシーをレイプする。続編『炎に舞う花びら(英語版)』では、キャシーはクリスの子供を妊娠しており、流産する。本の終わりに、彼らは一緒に逃げて、結婚する。前編、『影の庭(英語版)』では、マルコムが彼の継母、アリシアをレイプし、その妊娠からコリーンが生まれた。マルコムはアリシアに支払い、彼女の息子・半血弟とコリーンのもとから去る。数年後、アリシアは死に、彼の息子クリストファーが留まる。それは、彼が半血姪だと思っているが、半血妹であることを知らないコリーンと会うということである。彼らは恋に落ち、後に一緒に逃げて結婚し、4人の子供を持つ。程度は低いが、このダイナミクスは、残りの2つのドーランギャンガーの小説『刺があるなら(英語版)』と『昨日の種(英語版)』にも現れている。 近親相姦はG・R・R・マーティンのベストセラー『氷と炎の歌』シリーズの主題を担い、シリーズ内では近親相姦のサディスティックな異常が描かれる(下記のフィクションにおける双子間の近親相姦も参照)。シリーズが始まる前に7つの王国を統治したターガリエン王朝は、古いヴァレリアンの血統を純粋に保つという伝統を持っていることから、しばしば近親婚を行っている。これには、姉妹と結婚した最初のターガリエン王エイゴンと、ジェイへイリス2世とシャエラの兄妹婚によって生まれた狂王の通称で知られる最後の王エイリス2世の例も含まれる。 『ローグ・プリンス(英語版)』と『王女と女王(英語版)』の主人公であるエイゴン2世は、全血姉妹であるヘラエナと結婚した。彼の半血姉妹のレイニラは、叔父のデーモン・ターガリエンと結婚した。 ワイルドリング・クラスターは彼の娘と結婚し、その結婚から生まれた娘とさえも結婚する。 ユーロン・グレイジョイは子供の頃、彼の最年少の完全兄弟であるアーロンとアリゴンをレイプしたことが明らかになった。 J・R・R・トールキンの『シルマリルの物語』では、記憶喪失になっている間に近親婚が行われる。*J・K・ローリングのハリー・ポッターシリーズにおける主な敵対者、ヴォルデモート卿は、いとこ同士で結婚することで知られるゴーント家の子孫である。 平岩弓枝の小説『日野富子』(1971年) では、息子を自らの傀儡にしようとして交わる母が描かれる。 藤井重夫の小説『家紋の果』では、息子が売春婦に使う金が欲しいからと母に身体を与える。
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