技術規定および分類、呼称の変遷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 15:22 UTC 版)
「スポーツカー (モータースポーツ)」の記事における「技術規定および分類、呼称の変遷」の解説
国際自動車連盟 (以下、FIA) による分類と日本語での呼称および原文。 黎明期から1950年:国際スポーツ法典付則C項 (以下、CSI-C)「スポーツカー (voiture sport)」 並列二座席で公道運用も可能な特別製造車をスポーツカーとしていた。エンジン排気量8リットル超のクラスAから0.35リットル以下のクラスJまで10クラスに分けられていた。クローズドカー (または特別規定でオープンカーも幌を展開する場合) のみウィンドシールドの寸度規定があった。 1956年:CSI-C「スポーツカー」 オープンカーにもクローズドカーと同様のウィンドシールドの寸度規定が導入された。 1958年:CSI-C「スポーツカー」 エンジン排気量0.25リットル以下のクラスKが追加され11クラスとなる。 1961年:CSI-Cスポーツ部門第4グループ「スポーツカー (voiture de sport)」 クラス分けがエンジン排気量0.4リットル以下のクラス1から5リットル超のクラス15に変更された。最低地上高および最小回転半径規定と、クラス別の燃料タンク最大容量規定が導入された。 1966年:国際スポーツ法典付則J項 (以下、CSI-J) A部門「公認生産車」第4グループ「スポーツカー」、CSI-J|B部門「特殊車」第6グループ「プロトタイプ・スポーツカー (voiture de sport prototypes)」 CSI-Jに編入された。クラス分けがエンジン排気量0.5リットル以下のクラス1から5リットル超のクラス13に変更された。連続12月間に50台の生産により公認されるスポーツカーが新設され、これまでどおりのスポーツカーはプロトタイプ・スポーツカーとなる。ウィンドシールドの寸度要件が緩和された。 1969年:CSI-J|A部門「公認生産車」第4グループ「スポーツカー」、CSI-J|B部門「特殊車」第6グループ「プロトタイプ・スポーツカー」 スポーツカーの公認要件が25台生産に緩和される。 プロトタイプ・スポーツカーに限りウィンドシールド規定およびラゲッジトランク設置、スペアホイール搭載の各義務とオープンカーの場合の幌規定が撤廃された。 1970年:CSI-J|A部門「公認生産車」第5グループ「スポーツカー」、CSI-J|B部門「実験的競技車」第6グループ「プロトタイプ・スポーツカー」 1972年:CSI-J|B部門「実験的競技車」第5グループ「スポーツカー」 公認生産車のスポーツカーが廃止され、これまでのプロトタイプ・スポーツカーは呼称をスポーツカーに戻した。 1976年:「実験的競技車」廃止 上位部門の「レーシングカー」に属する二座席レーシングカーをスポーツカーレースおよびヒルクライムに代用していた。 1981年:FIA加盟団体である米国の国際モータースポーツ協会 (以下、IMSA) が、翌年発効されるグループCを基に、規定の強化と緩和を施した「グランドツーリング・プロトタイプ」(Grand Touring Prototype, GTP) を先行導入する。分類はCSI-J|B部門「レーシングカー」第8グループ「フォーミュラリブレレーシングカー」。翌年から部門II「競技車」グループE。 1982年:CSI-J|部門II「競技車」グループC「スポーツカー」 CSI-Jの全面改編に伴いスポーツカーがグループCとして再設置された。耐久ロードレースに特化しており、厳しい燃料消費率を強いられる技術規定であった。そのため国際ヒルクライムには引続き二座席レーシングカーをCSI-J|部門II「競技車」グループEに分類し、「グループ6」として1988年まで運用された。 1983年:CSI-J|部門II「競技車」グループC「スポーツカー」 燃料消費率がさらに厳しいジュニアグループCが導入され2クラスとなった。 1984年:FIA加盟団体であるアメリカ・スポーツカークラブがグループCを基に規定の強化と緩和を施した「カンナム・クーペ」(Can-Am Coupe) を導入する。分類はCSI-J|部門II「競技車」グループE。 1985年:CSI-J|部門II「競技車」グループC「スポーツカー」 グループCのクラス分けをクラス1と同2 (以下、C1、C2) に変更された。 1986年:CSI-J|部門I「量産車」グループB「スポーツグランドツーリングカー (voiture de grand tourisme de sport)」、CSI-J|部門II「競技車」グループC「スポーツプロトタイプカー (voiture de sport prototypes)」 それまでグランドツーリングカーであったグループBがスポーツを名乗ることとなり、グループCもプロトタイプを名乗る。 1988年:CSI-J|部門I「量産車」グループB「スポーツカー」、CSI-J|部門II「競技車」グループC「スポーツプロトタイプカー」 グループBの呼称がスポーツカーとなる。 1989年:CSI-J|部門I「量産車」グループB「スポーツカー」、CSI-J|部門II「競技車」グループC「スポーツプロトタイプカー」 グループCにヒルクライム用のクラス3 (以下、C3) が導入された。 1990年:CSI-J|部門I「量産車」グループB「スポーツカー」、CSI-J|部門II「競技車」グループC「スポーツプロトタイプカー」 C2が廃止された。 1991年:CSI-J|部門II「競技車」グループC「スポーツカー」 グループBとCの呼称がそれぞれグランドツーリングカーとスポーツカーに戻る。 1993年:CSI-J|部門II「競技車」グループC「ジュニアスポーツカー (junior sports car)」、CSI-J|部門II「競技車」グループCN「プロダクションスポーツカー (production sports car)」、CSI-J|部門II「競技車」グループGT「グランドツーリング・スポーツカー (grand touring sports car)」 グループCからC1が廃止されたためC3のみとなり、呼称をジュニアスポーツカーに変更された。 ヒルクライム用にグループCよりもエンジンが入手しやすいグループCNが導入された。スポーツカーとしては初めて四輪駆動が禁止された。 C1に替え、グループBの要素を採り入れたグループGTが導入された。 1994年:CSI-J|部門II「競技車」グループC「ジュニアスポーツカー」、CSI-J|部門II「競技車」グループCN「プロダクションスポーツカー」、CSI-J|部門II「競技車」グループGT1「グランドツーリング・スポーツカー」 グループGTがクラス1と同2に分割され、グランドツーリング・スポーツカーはクラス1 (以下、GT1) となる。 IMSAが「ワールド・スポーツカー」(World Sports Car, WSC) を導入する。分類はCSI-J|部門II「競技車」グループE。 1997年:CSI-J|部門II「競技車」グループC「ジュニアスポーツカー」、CSI-J|部門II「競技車」グループCN「プロダクションスポーツカー」、CSI-J|部門II「競技車」グループGT1「グランドツーリング・スポーツカー」、CSI-J|部門II「競技車」グループE「スポーツレーシングカー (Sports Racing Car)」 グループCNよりも高度な内容のスポーツレーシングカーが導入された。ほぼクローズドカーが選択される技術規定のGT1に対し、オープンカーに限定されていた。四輪駆動も禁止であった。 1999年:CSI-J|部門II「競技車」グループCN「プロダクションスポーツカー」、CSI-J|部門II「競技車」グループE「スポーツレーシングカー」 グループCとグループGT1が廃止された。 2005年:CSI-J|部門II「競技車」グループCN「プロダクションスポーツカー」 スポーツレーシングカーが廃止された。 2012年:CSI-J|部門II「競技車」グループCN「プロダクションスポーツカー」、CSI-J|部門II「競技車」グループE|SC「『ル・マン』プロトタイプ ("Le Mans" Prototype, LMP)」 フランス西部自動車クラブが規定していた「ル・マン」プロトタイプをFIAが正式導入する (分類に変更なし)。ハイブリッド装置を有する場合に限り再び四輪駆動が認められた。 2017年:IMSAが「『ル・マン』プロトタイプ」のクラス2を基にした独自の「デイトナ・プロトタイプ・インターナショナル」(Daytona Prototype Int., DPi) を導入する。分類はCSI-J|部門II「競技車」グループE|SC。
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