デイトナ・プロトタイプ・インターナショナルとは? わかりやすく解説

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デイトナ・プロトタイプ・インターナショナル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/09 21:46 UTC 版)

キャデラック・DPi-V.R

デイトナ・プロトタイプ・インターナショナル[1][2][3] (Daytona Prototype International, DPi)[4] は、2017年から国際モータースポーツ協会がIMSAスポーツカー選手権に参加できる競技用スポーツカーとして規定している類型の一つである。

概要

国際モータースポーツ協会 (International Motor Sports Association, 以下、IMSA) が、デイトナ・プロトタイプ・インターナショナル (以下、DPi) として承認 (ホモロゲーション)[脚注 1] している車両を指す[5]。国際モータースポーツ競技規則 (国際スポーツ法典) 付則J項ではグループE部門IIのSCとされる[6]

米国においてル・マン地域シリーズの上位シリーズに該当するIMSAスポーツカー選手権 (以下、選手権)[脚注 2] を主管しているIMSAが、選手権へ量産自動車製造者の参入を促すべく、国際自動車連盟フランス西部自動車クラブとの三者協議の上、2017年から導入したスポーツカーの類型である[7]。同種で既存のデイトナ・プロトタイプ (Daytona Prototype, DP) はDPiと入れ替わり、2016年をもって廃止された[8]

量産自動車製造者が「ル・マン」プロトタイプ2 ("Le Mans" Prototype 2, 以下、LMP2) を基に、エンジンとボディパネルを独自開発したもので、IMSAはこれを選手権で最も高性能なクラスと位置付けている[9]。競技運用も製造者自らチーム編成してあたることができる。2018年まではLMP2と同じプロトタイプ (P) クラスであったため、LMP2に対する優位性を考慮し二者間での性能調整が図られていたが、2019年からクラスが分けられた。またLMP2とは異なり製造者賞典の対象でもある[10]

導入年度からゼネラルモーターズ日産自動車マツダが参加しており、2年目から本田技研工業が加わった。

2023年からはル・マン・デイトナ・hへと移行されることになった。

車両

基本的に「ル・マン」プロトタイプ2 (以下、LMP2) に準拠している。

自社乗用車と同一概念で造形されたマツダDPi車両のノーズ部

原則としてシャシは国際自動車連盟フランス西部自動車クラブが共同承認 (ホモロゲーション) しているLMP2(マニュファクチャラーも4社に限定され、フランスのオンローク・オートモーティブオレカ、イタリアのダラーラといったヨーロッパ系の3社に、アメリカのライリー・テクノロジーズとカナダのマルチマティック社による北米系の合弁プロジェクトを加えた4大マニュファクチャラー体制となる[11])を何も手を加えず用いなければならないが、フロアパンより上のボディ造形は車室を構成する中央部分とリアウイングを除いてほぼ全面変更が可能であり、量産自動車製造者は自社の乗用車と共通性のあるフェイスデザインで特徴づけなければならない。ただしグランドツーリングクラスで承認されている自社の車両と同じ造形にすることはできない[12]

エンジンは量産自動車製造者がターボチャージャーなどの過給器付も含めて自由に選定でき、制御装置 (ECU) も同様である。最高出力は各社LMP2と同等の約600英馬力 (447キロワット) かそれ以上と公称している[13][14][15]。燃料はVPレーシングフューエルズが供給するバイオマスエタノールを20パーセント混合したIMSA指定のガソリンである[16]

タイヤは2019年度からミシュランが独占供給者となっている[17]

※この他は「ル・マン」プロトタイプと同「ル・マン」プロトタイプ2を参照のこと。

製造者 車名 画像 シャシー 参戦年
本田技研工業 アキュラ・ARX-05 オレカ・07 2018年 - 2022年
ゼネラルモータース キャデラック・DPi-V.R ダラーラ・P217 2017年 - 2022年
マツダ マツダ・RT24-P ライリー-マルチマティック・Mk.XXX 2017年 - 2021年
日産自動車 リジェ・日産 DPi リジェ・JS P217 2017年 - 2019年

脚注

  1. ^ 一般的に量産車に課される製造台数要件を伴うものとは異なり、規定に合致していることを証明するものである。
  2. ^ 欧州とアジアにおいてはそれぞれヨーロピアン・ル・マン・シリーズアジアン・ル・マン・シリーズが該当する。2階級制をとる米国での下位はIMSAプロトタイプ・チャレンジが該当する。

出典

  1. ^ 日産自動車 (2017年2月17日). “日産/ニスモ、2017年のモータースポーツ活動を発表”. 日産自動車ニュースルーム. 日産自動車. 2019年12月27日閲覧。
  2. ^ マツダ. “IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権、マツダUSAによる伝統の耐久シリーズへのチャレンジ”. マツダ株式会社 企業サイト. マツダ. 2019年12月27日閲覧。
  3. ^ 本田技研工業 (2019年1月25日). “IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ 開幕戦 デイトナ24時間レース”. Hondaホームページ. 本田技研工業. 2019年12月27日閲覧。
  4. ^ 2020 Technical Regulations, IMSA WeatherTech SportsCar Championship, Daytona Prototype International, p. 1.” (PDF). International Motor Sports Association (2019-). 2019年12月27日閲覧。
  5. ^ 2020 Technical Regulations, IMSA WeatherTech SportsCar Championship, Daytona Prototype International, p. 12.” (PDF). International Motor Sports Association (2019-). 2019年12月27日閲覧。
  6. ^ FIA SPORT - Technical Department, 2020 Appendix J - Article 277, Free Formula Technical Regulations (Group E), Paris: Fédération Internationale de l'Automobile, 2019, p. 1.
  7. ^ International Motor Sports Association (2015年10月1日). “IMSA Introduces Daytona Prototype international (DPi) To Debut In 2017”. IMSA. The International Motor Sports Association. 2019年12月27日閲覧。
  8. ^ International Motor Sports Association (2017年1月26日). “Current Results, Rolex 24 at Daytona, Practice 1”. IMSA WeatherTech SportsCar Championship. International Motor Sports Association. 2019年12月27日閲覧。
  9. ^ International Motor Sports Association. “The classese”. IMSA WeatherTech SportsCar Championship. International Motor Sports Association. 2019年12月27日閲覧。
  10. ^ International Motor Sports Association. “Standings”. IMSA WeatherTech SportsCar Championship. International Motor Sports Association. 2019年12月27日閲覧。
  11. ^ 17年からのLMP2マニュファクチャラー4社が決定”. オートスポーツ (2015年7月10日). 2016年3月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年2月22日閲覧。
  12. ^ International Motor Sports Association. “Q&A: The 2017 Daytona Prototype international (DPi) Concept”. IMSA. International Motor Sports Association. 2019年12月27日閲覧。
  13. ^ Kyle Chura (2016年11月30日). “Cadillac Reveals DPi-V.R Prototype Race Car For 2017”. Cadillac Pressroom. Cadillac Assistance Center. 2019年12月27日閲覧。
  14. ^ Nissan Motorsports International. “Racing Engine”. Nismo. Nissan Motorsports International. 2019年12月27日閲覧。
  15. ^ Mazda of Lodi (2016年11月29日). “Mazda unveils new Prototype Race Car at 2016 Los Angeles Auto Show”. Mazda of Lodi. 2019年12月27日閲覧。
  16. ^ 2020 Technical Regulations, IMSA WeatherTech SportsCar Championship, Daytona Prototype International, p. 21.” (PDF). International Motor Sports Association (2019年12月20日). 2019年12月27日閲覧。
  17. ^ 2019 Technical Regulations, IMSA WeatherTech SportsCar Championship, Daytona Prototype International, p. 23.” (PDF). International Motor Sports Association (2019年6月12日). 2019年12月27日閲覧。

外部リンク


デイトナ・プロトタイプ・インターナショナル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 14:29 UTC 版)

デイトナ・プロトタイプ」の記事における「デイトナ・プロトタイプ・インターナショナル」の解説

詳細は「デイトナ・プロトタイプ・インターナショナル」を参照 2017年オリジナルのパイプフレームで作られデイトナ・プロトタイプ代わり新世代DPである、デイトナ・プロトタイプ・インターナショナル (DPi) が登場した新たなプロトタイプは、ダラーラリジェオレカライリー&マルチマティックの4社によって作られた、フランス西部自動車クラブACO公認LMP2シャーシベースに、各メーカー固有のボディワーク公認エンジン備えている。メーカーはプライベーターチームと提携するよう求められており、各車はブランドアイデンティティ対応するボディワーク備えている。これらのルールコスト抑えメーカーシリーズ引き付けるために作られた。 これらのマシンは、同じ4メーカーシャーシワンメイクギブソンV8エンジン搭載したACO仕様LMP2カーと共にプロトタイプクラス競う当初DPiマシンLMP2クラスで、ル・マン24時間レース参戦資格を得ることを望んでいたが、ACOIMSA間の意見の相違により、実現しなかった。 新型車は次の通り キャデラック・DPi-V.R英語版)(ダラーラ・P217シャーシベース) 日産DPi英語版)(リジェ・JS P217シャーシベース) マツダ・RT24-P(ライリー・マルチマティック・MkXXX シャーシベース) アキュラ・ARX-05 (オレカ・07シャーシベース)、2018 年から参戦

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