我々のルーツ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 10:25 UTC 版)
政府は1995年、少数民族を対象にした貧困削減戦略「我々のルーツ」にとりかかった。2年後、世界銀行が資金・技術援助を開始。戦略は2010年まで実施された。資源は各民族の人工比率とプログラム遂行能力に応じて割り当てられ、少数民族が求める道路の建設や修復、教育や福祉の分野に集中投下された。 戦略は当初、激しい批判にさらされた。カリブ海沿岸に住むガリフナという少数民族がいる。彼らの代表セレオ・アルバレス・カシルドの請願書「ガリフナ共同体の土地問題」によると、世銀は1990年代の「国土大改造計画」に貧困削減戦略よりも資金を出しており、計画がもとでガリフナは土地を奪われている。開発業者が土地権利関係の曖昧である隙につけこんだのである。 戦略が終了してから、世銀は汚職などの欠陥を報告している。 政治記者マヌエル・トレス・カルデロンは次のように指摘する。 --ホンジュラスの政策は事実上、世銀やIMF、米州開発銀行や米国国際開発庁がつくっている-- パワーバランスの背景には移民の多さがあるかもしれない。アラブ系やユダヤ系の移民は、数に物をいわせてホンジュラスの経済を左右している。鉄道スキャンダルでふれたメディナ政権が1866年移民法を制定し、特権的待遇を約束した。そして、オスマン帝国崩壊の前後に多くやってくるようになった。 1910年頃、アラブ系移民はコルテス県で寡頭制の支配層となりつつあった。彼らは現代にもなると社会的地位が磐石である。たとえばファラフ一族やアタラ一族は世界金融グループのen:Ficosa などを所有する。 ユダヤ系移民は、セファルディムの詳細が不明。アシュケナジムは先のアラブ系と同じく移民法をきっかけに定住した。しかし、国籍がドイツとかロシアとかさまざまであったがゆえに数が不明である。最富裕層といわれるハイメ・ローセンタールとジルベルト・ゴールドステインがグルーポ・コンチネンタルというコングロマリットを所有している。さらに、ローセンタール家は自由党で、ゴールドステイン家は国民党で、入閣するなどして政府の要職に就いている。 ユダヤ系の代表格で、モルドバ出身のアメリカ人であったサミュエル・ゼムレーがいる。彼はクヤメル・フルーツ会社を興してプランテーションを営み、ユナイテッド・フルーツと鎬を削った。UFC は1913年すでに政府と契約し、テラ鉄道会社およびトルヒージョ鉄道会社を設立していた。しかし、ゼムレーはボニージャ大統領を支援して政府に影響力を持つ相手であった。そこでウォール街大暴落 (1929年)から間もない11月、互いに自社株を交換した。UFC はクヤメル社を吸収。ゼムレーはUFC の筆頭株主となった。翌年、UFC を買収。1951年まで経営権を握った。1941年にはパン・アメリカン農業大学を創立している。時を経て1975年4月8日、旧UFC ユナイテッド・ブランズの株取引がすべての証券取引所で停止された。これは、同社が政府高官数人へ125万ドルの賄賂を供与した事実が公となったからである。高官の一人オズバルド・ロペス・アレジャンス将軍は、スイス銀行のナンバーアカウントを通して賄賂の一部を受け取った。 アラブ・ユダヤ以外では、シチリアから米国籍でやってきたヴァッカロ兄弟がいる。1906年にヴァッカロブラザーズを設立し、同年に政府と55年間の契約をする。同社が鉄道と埠頭を建設する見返りに、鉄道敷設1km につき250ha の無償利用を認め、輸出税を免除された。1913年に同社が設立したアトランティダ銀行は、ホンジュラス中央銀行ができる1950年まで通貨発行権を握った。
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