建設推進の動き
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 05:09 UTC 版)
2000年代末 - 2010年代に入ると、本計画についてはロシア側から度々議題にあがり、ロシア側によれば「日本と協議している(あるいは協議中)」「話し合いたい」などと発表しているが、日本政府やJR関係者などからは本計画に関して何ら声明が発表されていない。 そもそもサハリン州自体の人口が減少の一途をたどっており、2010年以降島全体の人口が50万人にも満たず、ガス田開発以外の産業基盤が弱い樺太にトンネルを築造してもまるで採算性が合わないため、2010年代に入るまでは、このトンネルの建設について日露政府間で公式に話し合われたことはなかった。 建設推進の動きとして、シベリア鉄道国際化整備推進機構発足準備委員会(山口英一会長)によるものなどがある。日本と欧州を結ぶルートとして比較すると、日韓トンネルと比べても、はるかに建設費が安く済み、効果も大きいとされている。 ロシア側では、2009年1月16日にロシア運輸省のアンドレイ・ネドセコフ運輸次官がトンネル建設の可能性を目下検討していると述べた。なお、トンネルではなく橋とする構想もある。 2011年12月15日にプーチン首相が会見において間宮海峡から架橋した上で、「日本までトンネルを建設することも可能で、われわれは検討中だ」と表明し、「シベリア鉄道を日本の貨物で満載することにつながる」と期待感を示した。しかし、先述の通り、日露政府間で検討している事実はないとされている。 また、2013年6月には、ロシア極東発展省が2016年と樺太と大陸を結ぶ橋を着工する方針を明らかにした。そのうえで、同区間の構想についても言及した。 ロシアの地元報道によると、イシャエフ極東発展相は5月下旬にユジノサハリンスクを訪問した際に、「大陸との橋の建設はサハリン州の発展に重要なポイント。将来的には日本とも結ばれる可能性もある」と発言、さらにサハリン州と日本の国土交通省が同構想についてすでに協議したと報じられているが[リンク切れ]、日本側からは本議題に関して政府・JR関係者ともに一切声明を発表しておらず、事実関係は不明である。 2013年9月4日には、サハリン州のホロシャビン知事が、宗谷海峡で隔てられている北海道と樺太を橋かトンネルで結ぶ構想について、ロシア側が可能性を「現在、研究している」と語った。ロシアのソコロフ運輸相が今後訪日する際に、日本側と計画の実現性について「話し合う」と述べたが、具体的な日程などには言及しなかった。ポロシャビン知事は毎日新聞の書面での取材に対し、「投資プロジェクトの鍵は、経済効果と投資の採算性」と回答している。 2015年7月に東京で行われた第9回世界高速鉄道会議でも、ロシア鉄道のウラジミール・ヤクーニン総裁が日本の代表団と本計画について討議し、「日本側の反応は興味を抱かせるものだったが、ロ日間の平和条約の不在がプロジェクトの実現を妨げている」「我々は皆、いくつかの政治問題、特に平和条約の不在が、経済協力を押しとどめている点をよく理解している。しかし私は、もし日本の今の指導部が、別の角度からグローバルな状況を見る可能性を見出したならば、このプロジェクトは、大変重大な刺激を得るだろうと思う。」と結論づけているが、日本側の関係者は何もコメントしていない。 2016年秋にもロシア側から日ロ平和条約の締結に関連した提案があったとされるが、日本政府筋では、実現の可能性は低いとしている。
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