建設技術と設計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 01:33 UTC 版)
ストーンヘンジを建造するために必要な技術仕様には多くの憶測が混じる。ブルーストーンが、オーブリー・バールが主張したように氷河で運ばれたのでなく、ウェールズから人の手で運ばれたと仮定しても、丸太と縄だけでそれらを運ぶ様々な手段が提起された。2001年に、大きな石を陸と海を使ってウェールズからストーンヘンジまで運ぶという実験考古学の実証が行われた。陸では志願者が木製のそりを引いたが、ひとたび先史時代のものを再現した船に載せたとき、石はブリストル海峡の荒れた海に沈んだ。 石の設置については、石を立てるために木製のAフレームを立て、人力で石をロープで引いて立てたのだと考えられていた。横石は、木製のプラットホームに載せて段階的に上げていき横に滑らせて乗せたか、傾斜を押し上げたかしたのだろう。石を積むのに使ったほぞ穴は、当時の人々が高い木工の技術を持っていたことを示す。彼らは木工の技法で石を立てる知識を持っていたのも難しいことではなかっただろう。 アレクサンダー・ソームは、この遺跡がメガリスヤード(長さの単位)を用いて所要の精度で建てられていると考えている。 大砂岩(sarsen)に刻まれた武器は、ブリテン島の巨石芸術に特有である。もっと抽象的なデザインで描かれるのが通例であるからである。同じように、石を馬蹄形に配することも、ほかでは円形に配置している文明においては異常である。しかし、斧のモチーフは当時のブリタニーの人々にとっては広く用いられていた。すなわち、ストーンヘンジの少なくとも二つの建設段階では、大陸の影響を受けていたと考えられる。これは、この遺跡が非典型的なデザインである理由をわずかに説明しているが、しかし全体的には、ストーンヘンジはいかなる先史時代ヨーロッパ文明のコンテキストにおいても説明できないほど異質である。 ストーンヘンジを建設するのに必要な推定労働力は、延べ数百万人時に上る。ストーンヘンジ1は恐らく約11,000人時(460人日)を要したであろう。ストーンヘンジ2は360,000人時(15,000人日または41人年)、ストーンヘンジ3のさまざまな部分には1,750万人時(73,000人日または200人年)。石の加工には当時利用可能だった原始的な工具を使って、推定で約2,000万人時(830,000人日または2300人年)の労力が必要だった。確かに、このような建造物を作り上げようという意志は強かったに違いないが、建設し維持するためには進んだ社会組織が必要だったはずである。
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