幕内初優勝場所以降
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 12:40 UTC 版)
2019年1月場所は西の関脇に再昇進。序盤の5日間で3勝2敗の成績の後、6日目の逸ノ城戦から連勝を続け、中日に大関・豪栄道、9日目に大関・髙安に勝利。10日目に錦木を電車道で持って行って勝ち越しを決める。12日目に1敗で優勝争いの単独トップだった横綱・白鵬を押し出しで破り、自身14度目の対戦にして白鵬戦での初勝利を挙げるとともに、優勝争いの先頭に躍り出た。13日目には北勝富士を叩き込みで破り、白鵬が関脇・貴景勝に敗れたため、玉鷲が単独トップに立った。白鵬は怪我で翌14日目から休場し、優勝争いは碧山を押し出して2敗を守った玉鷲と、3敗の貴景勝に絞り込まれた。千秋楽の土俵、結びの2番前の取組に登場した玉鷲は遠藤を突き落としで破り、13勝2敗の成績で初優勝が決定した。34歳2か月での初優勝は年6場所制となった1958年以降では、旭天鵬(37歳8か月)に次ぐ史上2位の高齢記録、初土俵からの所要90場所と新入幕から所要62場所も史上4位のスロー記録である。また、敢闘賞と殊勲賞も受賞した。奇しくもこの千秋楽と同日に第二子となる男児が誕生している。 千秋楽一夜明け会見では、人を喜ばせる相撲を取りたいと抱負を語った。3月場所番付発表の際に大阪市内で行われた会見では「いつも通りの相撲を」と場所への抱負を語った。さらに、1月場所中は出産による入院で会場で観戦することができなかった夫人を思いやって「今度こそ奥さんを呼んで、一緒に(優勝記念の)写真を撮ってもらいたい」と力を込めていた。成績次第では大関昇進となる3月場所は2日目から3連敗と失速。この3連敗について藤島審判長は幕内優勝経験者にふさわしい相撲を取ろうとプレッシャーを感じているのではないかと指摘していた。4日目に大関取りの貴景勝に勝ち、その日から3連勝して一時は白星が先行したが、8日目から横綱・大関陣に4連敗した後、13日目の千代大龍戦で負け越しが確定した。幕内最高優勝を果たした翌場所に負け越した力士(休場者を除く)は2012年7月場所での旭天鵬以来となった。 西3枚目で迎えた5月場所は、中日に全勝の横綱・鶴竜を一方的に押し出し、3つ目の金星を獲得した。この金星は令和初の金星となった。鶴竜は入門のきっかけを作ってくれた力士なので、これはいわゆる恩返しということになる。千秋楽の阿炎戦に勝利することが条件だった敢闘賞は逃したものの、2場所ぶりの二桁勝利10勝5敗の好成績を残した。名古屋場所は関脇に復帰したが、初日から5連敗と不振。6日目の朝乃山戦は左おっつけ、右のど輪で一気に押し出し、初白星を挙げると、「今まで忘れてたよ。どこが悪いのかな? 頭かな?」と自虐的にコメント。しかし、翌日から再び5連敗を喫し、11日目の時点で1勝10敗となってしまう。それでも、残りを全勝として一矢報い、5勝10敗でこの場所を終えた。9月場所は5日目の逸ノ城戦、中日の鶴竜でそれぞれ不戦勝を獲得する幸運に恵まれ、12日目に7勝目を挙げて給金相撲に挑む立場となったが、残りを3連敗して7勝8敗と向こう給金となった。東前頭4枚目に番付が据え置かれた11月場所は、7勝7敗で迎えた千秋楽、同じく7勝7敗の佐田の海を電車道で押し出して九州場所では8年連続の勝ち越しを決めた。 2020年は1月場所から2場所連続負け越しで(5月場所は中止)、7月場所は東9枚目に番付を下げたが、6場所ぶりの二桁10勝を上げて勝ち越した。西2枚目に番付を上げた9月場所は10敗したが、11月場所は勝ち越して年を締めくくった。 2021年は1月場所から3場所連続負け越しで7月場所は東10枚目で迎えたが、連続出場回数が寺尾と並ぶ歴代6位タイの1359回となった13日目に、6場所ぶりの二桁10勝目をあげるなど好調で、千秋楽に勝つことが受賞条件だった敢闘賞は逃したが、11勝4敗の好成績を残した。 9月場所後、白鵬が引退したことにより玉鷲が通算勝利数で現役力士1位となった(9月場所終了時点で歴代49位の697勝)。 11月場所4日目の千代翔馬戦での白星で通算700勝を記録。「(記録について)いつも皆さんに言われてから『そうなんだ』って思う。数字にはこだわらないけど良かった」と振り返った。この場所は10日目に勝ち越しと好調だが、この日の取組終了時点で2敗と優勝争いの一角に加わっている状況の中優勝の可能性について「ないと思います!」「横綱(照ノ富士)が元気だし、一つも落とさない感じがする。自分はもう二つ落としているので」と言い切った。最終成績は9勝6敗で、11月場所の勝ち越しは10年連続となった。
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