山菜としてのフキ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 19:30 UTC 版)
独特の香りがあるふきのとうや葉柄、葉を食用とする。もともと山菜の一種で灰汁が強く、肝毒性が強いペタシテニン(Petasitenine、別名フキノトキシン)などのピロリジジンアルカロイドが含まれているため、下茹でして灰汁抜きをする必要がある。食材としての旬は春(3 - 6月)とされ、冬から春の体へ体調を整える野菜としても知られる。売られているものは、茎はまっすぐ伸びて張りがあり、できるだけ太さが均一で、色が薄い緑色で黒ずみがないものが良品とされる。 栄養的に特徴的な成分は含まれていないが、熱量は100グラム (g) あたり11キロカロリー (kcal) と低カロリーで、葉やふきのとうには、多少のβ-カロテン、ビタミンB1・B2、カルシウム、カリウム、亜鉛などの栄養素が含まれる。食物繊維も多く含まれていて、腸の働きを活発にして、便通に役立つ食材でもある。一方、ふきのとうは生長するための栄養を蓄えているため100 gあたり43 kcalと比較的高カロリーなのが特徴で、ビタミンB群、ビタミンC・E・Kや、カリウム、鉄、亜鉛などのミネラルに富む。体内でビタミンAのもとになるカロテンも含み、食物繊維も多い。 個性的な香りと特有の苦みを生かした料理として、和え物や煮物によく使われている。野生のフキは、栽培されているのものよりも苦味が強く、小ぶりである。 ふきのとう(蕗の薹) 主な旬は2月 - 3月で、蕾の状態で採取され、新鮮なものはほろ苦い味と、特有の香りが好まれている。そのまま天ぷらや、重曹を入れた熱湯で軽く茹でて水にさらしアク抜きしてから煮物、和え物、味噌汁、ふきのとう味噌に調理して食べられる。一般的には蕾がしっかり締まっているものがよく、花が咲いた状態はかたく、灰汁が強いため食べることは避けられる。花が開いてしまったものは、細かく刻んで味噌と炒めてふき味噌にしても、特有のほろ苦さが味わえる。伸びたふきのとうも葉や花を取り除き、茎の部分を軽く灰汁抜きしたものを肉や刻んだ油揚げ、糸コンニャクなどと一緒に煮付けても美味しい。フキの葉柄よりも柔らかく筋もあまり気にならないので、茹でた後でも硬ければ茎の皮を剥ぐ程度で良い。 葉柄 塩で板摺をして少し筋を取り、重曹や木の灰などを入れた熱湯で下茹でして灰汁(アク)を抜いてから冷水にさらし、表面のすじをとって下ごしらえしてから料理に使われる。主に煮物や炒め物などにするか、生のまま塩や塩糠に漬け込んで保存し、調理前に煮てから流水で塩抜きしてから同様に煮物や炒め物にする。油揚げで包んで信太巻の具材にしてもおいしく食べられる。また、醤油と砂糖で濃く味付した佃煮は「きゃらぶき」(伽羅蕗)といい、これも保存食・常備菜となる。繊維質やミネラルが豊富で、昔は冬の野菜不足を補う一般的な山菜であった。秋田フキなどの大型のフキは茎の中の空洞も大きいので、身欠きニシンや細切りにした薩摩揚げなどを好みで詰めものをして煮付けても良い。 上記のほか、葉も塩茹でたものを流水に半日から1日ほどさらしてアクを抜き、細かく刻んで佃煮にするなどして食用になる。渓流釣りなどで、釣った魚を野生のフキの葉で包んで丸焼きにする調理法にはフキの毒消しの効果もあり、ニシンなどの魚とフキを一緒に炊き合わせる料理には、魚の毒を消す目的の意味も込められている。 堆積した落ち葉を突き破って顔を出すフキノトウ(食べ頃) フキの葉柄の断面 伽羅蕗(キャラブキ 2017年12月10日撮影) ふきのとう味噌
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