各地域の春巻き
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/05 03:26 UTC 版)
中国 福建省は「春捲」(チュンチェン)・「潤餅」(ルンビン、ルンピア)と呼ばれる千切りの人参や大根・砕いたピーナッツなどを具材にしたものがあり、主に屋台で売られている。 皮にゆばを用いたものは「腐皮巻」(フーピージュアン)と呼ばれる。日本でも湯葉春巻きという名称で提供する店がある。 台湾 台湾の春巻きは、台湾語で潤餅𩛩(jūn /lūn-piánn-kauh)、澎湖島の言葉で薄餅(po̍h-piánn)、金門県の言葉で拭餅(tshit-piánn)などと呼ばれる。 台湾では清明祭の行事料理である。当日は墓参し、潤餅(台湾式春巻き)を食べる。 キャベツ、玉子焼き、海老、豆腐、豚肉、カラスミ、焼きそばなど、さまざまな具材を薄いクレープ生地でたっぷりと載せた上、砂糖とピーナッツの粉末をかけ、巻いてから食べる。潤餅に麺を入れるのは、雲林、嘉義市、台南市の食文化のようである。昔、平野地域の農業はすべて人力に頼っていたため、腹持ちを良くするため麺が具に加えられた。 嘉義市内にある潤餅店では、潤餅を注文すれば無料で飲み放題の鰹出汁が添えられる。鰹出汁は21世紀現在も台湾に残る日本統治時代の飲食文化である。 台湾式春巻きは金門県では拭餅(tshit-piánn)と呼ばれる。地元の民話によれば、明王朝時代に、金門人の官僚・蔡復一は食事の時間も惜しんで政務に励んだ。彼の婦人は夫を気遣い、短時間でも食事を済ませられるよう、食べやすい拭餅を考案したという。クレープのような春巻きの皮を焼くには、熱した鉄板上に生地を落し、鉄板の中で拭くように一周させて伸ばす。その作業から「拭餅」と呼ばれる。また、金門には貢糖(台湾語発音:kòng-thn̂g)という、菓子としての春巻きがある。 デザートとして、アイスクリーム、ピーナッツ飴の塊を鉋で削り出した粉末、パクチーも入れ、包んで食べる。 フィリピン ルンピア(lumpia)と呼ばれる細い春巻きがあり、揚げて食べることが多い。福建料理の「潤餅」(ルンピア)が変化したものと考えられる。また、インドネシアでもルンピアと呼ばれ、ジャワ島のスマランでは名物料理となっており、唐辛子・ニンニク・スイートチリソースなどをつけて食べる。 ベトナム 生春巻き(ベトナム語:Nem cuốn/Gỏi cuốn ネムクオン/ゴイクオン)は日本で有名である。なおベトナムの生春巻きは中国では「ベトナム春巻き」(越南春卷/越南春卷)または「夏巻き」(夏卷/夏卷)と呼ばれ区別されている。また、英語でも中国の揚げ春巻きが「spring roll」と呼ばれるのに対し、生春巻きは「summer roll」と呼ばれている。 ベトナムでは生春巻きより、揚げ春巻き(Nem rán/Chả giò ネムザン/チャーゾー)(en)の方が一般的である。皮は生・揚げともにライスペーパーを用い、揚げ春巻きの皮は特に薄く、中国の春巻きと比べて小型で食感も軽い。甘酸っぱいヌクチャムをつけて食べる点も中華料理と異なる。生春巻きは海老、香草、ブン(ビーフン)などを包む一方、揚げ春巻きは主に豚ひき肉とミエン(春雨)を包み、そのまま食べるほか、ブンの上に乗せることもある(ブンネム/ブンチャーゾー、Bún nem/Bún chả giò)。中部のフエにはバインチャンゼー(bánh tráng rế)と呼ばれる網状の皮を使うチャーゾーゼー(chả giò rế)という変種もある。 タイ ポーピア(タイ語: ปอเปี๊ยะ)と呼ばれる蒸し春巻きがあり、潮州料理の「薄餅」(ポッピア)(zh)が伝わったものである。揚げたものはポーピア・トート(ปอเปี๊ยะทอด)という。 シンガポール 辛く味つけしたエビのすり身を包んだ、ミニサイズの春巻き「シュリンプロール」が食べられている。また、インド料理のサモサに近い、カレー味の三角春巻きも食べられている。 北米 卵を多く用いた皮を使用するエッグロールと呼ばれる春巻きも食べられている。 フィリピンのルンピアを揚げているところ インドネシア・スマランのルンピア ベトナムのチャーゾー ブンチャーゾー タイのポーピア エッグロール
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