原子価と価電子とは? わかりやすく解説

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原子価と価電子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/11 07:32 UTC 版)

有機電子論」の記事における「原子価と価電子」の解説

ルイス以前には、化学結合概念を表す原子価原子構成要素電子との間には明確な関連性見出されていなかった。すなわちドルトン倍数比例の法則から原子には結合部分を概念的に現す原子価というものが存在し化学反応においては原子原子原子価充当するように新し結合生成することが知られていた。言い換える原子価とは原子が他の原子連結するための接合部位の数であり、原子原子との原子価充当され結果として化学結合生成している。それゆえ原子価表現している実体は、化学結合物理学実体等価考えられた。その実に関する研究無機化合物において先行し原子価変化酸化数変化と対応づいており、電子移動原子価表現している実体であることが明確になった。同時に電子移動により発生する電荷偏りから生じ静電的相互作用の力(クーロン力)がイオン結合実体であることも判明したので、電子原子価化学結合正確にイオン結合)の主体であると説明付けられた。 一方無機化学イオン固体対極有機化学共有結合性固体存在しており、当時から両者の間は性質連続的に変化することは知られていたので、有機化学共有結合では電子どのように関与しているかの理論構築求められるようになった。これについて先鞭をつけたのがルイスの「価電子理論」である。 ルイス第2周期元素について、他の原子電子与えうる最大数に相当する原子価」と(彼の定義するところの)他の原子から電子受領する最大余地相当する「逆原子価」との差がどの元素も8であることに着目し元素原子構造には化学反応関与する「殻」(すなわち価電子)と「Kernel」(今日で言うところの原子核内殻電子)とから構成される論じたルイス価電子理論では価電子性質として次のように述べている。 各原子電子殻有し、(多く場合電子殻存在する価電子最大数は8である。 結合している原子同士電子対移動させることで価電子共有する。すなわち、この場合電子は対をなして移動するルイス価電子理論ボーア電子モデルとは独立して提唱している(ルイス自身価電子理論論文ボーア・モデルに対して否定的な見解示している)。 あわせてルイス化合物における価電子共有状態を現すために、ルイス電子式ルイス化学式)を提案している。すなわち化合物原子結合している物同士隣接するように配置し共有している価電子該当する元素記号間隙二つの点で表現する図式である。ルイス化学式価電子論の表現形なので1つ元素記号周囲の点の数の最大値は8になる。また、ルイス指摘しているように二つ原子の間の電子共有電子対単位とするので、ルイス化学式においても共有されている電子は必ず対を形成している。 ルイス電子殻概念提唱はしているが、「なぜ電子殻構成する価電子最大数が8であるか」、「なぜ電子は対で動くのか」とか、「電子殻共有するということがなぜ生ずるのか」という原因について説明しきれておらず、価電子理論仮説として有機電子論構築している。 実際、これらの仮説疑問対す解答には量子化学的化学結合解釈が必要となる。例えば、電子殻最大数は原子軌道の数で規定されており、そのために価電子最大数が決定されている。また電子が対で動くのは、各原子軌道にはパウリの排他律により最大2電子しか占有できず、フント則示されているように軌道上単独電子存在するよりも軌道上電子対の方がエネルギー的に安定な為である。 また、共有結合電子殻共有することの意味は、原子軌道混成してσ結合軌道形成し、元の原子軌道から電子遷移することである。右上の図で水の場合共有結合ルイス価電子理論量子化学的電子軌道エネルギー準位示している。ルイス価電子理論では水素酸素とが共有結合することで、酸素価電子が8になり安定化であると説明される一方量子化学的に水素s軌道2原子分(2個)と酸素s軌道1個、p軌道1個の計4個の原子軌道混成により分子軌道形成する考えられる。すなわちσとσ*とが2個ずつ、計4個の分子軌道生成する。そこに水素酸素との原子軌道からパウリの排他律満たしつつエネルギー準位が最も低くなる組み合わせ4つ電子入って共有結合形成されている。言い換えると、量子化学では生成する電子軌道準位定量的に扱うことが可能であり、実際共有結合生成するのは、原子軌道分子軌道とを比べるエネルギー準位的に分子軌道の方が低いのでエネルギー的に結合生成優位になるためである。 しかし、単に反応前後分子の構造着目するだけであれば量子化学的分子軌道エネルギー準位よりはルイス構造式の方が、反応形式シンボルとして直感的に判りやすくモデルとして使いやすいともいえる。

※この「原子価と価電子」の解説は、「有機電子論」の解説の一部です。
「原子価と価電子」を含む「有機電子論」の記事については、「有機電子論」の概要を参照ください。

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