原子価の性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/10 18:30 UTC 版)
「アルフレート・ヴェルナー」の記事における「原子価の性質」の解説
ヴェルナー以前の化学者は元素の原子価を、結合の種類を特に区別せず、何個の結合を持てるかという数としていた。しかし例えば [Co(NH3)6]Cl3 のような錯体では、ヴェルナーは Co-Cl 結合は「主」原子価3に相当する距離の長い結合だが、Co-NH3 の結合は弱い「副」原子価6に相当し、距離が短いと考えた。この後者の6という値をヴェルナーは「配位数 (coordination number)」と名付け、分子(この場合は NH3)が中心の金属原子に直接繋がる数と定義した。彼は他にも配位数4と8の錯体を発見している。 この見方や他の類似の見方にのっとり、リヒャルト・アベッグは1904年に「アベッグの規則」と呼ばれるものを提案した。それは、元素の正の最大の原子価と負の最大の原子価の差は8になる、というものである。この規則をさらに発展させたのがギルバート・ルイスで、彼は1916年に「オクテット則」を定式化した。 今日では、ヴェルナーの主原子価は酸化数に対応し、副原子価は今も配位数と呼ばれている。上の例での Co-Cl 結合はイオン結合に分類され、Co-N 結合はルイス酸 Co3+ とルイス塩基 NH3 の配位結合に分類されている。
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