原子価結合理論による説明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 14:41 UTC 版)
「電荷シフト結合」の記事における「原子価結合理論による説明」の解説
ライナス・ポーリングの仕事に多くを負っている化学結合の原子価結合理論による見方は、全てのではないにせよ、多くの化学者にとって親しみがある。ポーリングの化学結合の描写の基礎は、電子対結合が、1つの共有構造と2つのイオン性構造の混合(共鳴)を含むということである。同じ元素の2つの原子間の結合、等核結合において、ポーリングは、イオン性構造は全体の結合に大して寄与していないと見なした。この仮定は、イオン型の寄与はH−H結合エネルギーのわずかな割合に過ぎないことを示した1933年に発表されたWeinbaumによる水素分子の計算と、JamesとCoolidgeによる水素分子の計算の結果として生じた。異核結合(A−X)について、ポーリングは結合解離エネルギーへの共有性の寄与が、A−A結合の結合解離エネルギーのX−X結合のエネルギーの平均であると見積った。平均結合エネルギーと観測される結合エネルギーとの間の差は、イオン性の寄与によるものであると想定された。HClについての計算を以下の表に示す。 実際のH−H実際のCl−ClH−Clcov 共有結合エネルギー H−Cl, (H−H) と (Cl−Cl) の算術平均H−ClactActual H−Cl「イオン性寄与」H−Clact – H−Clcov結合解離エネルギー (kcal mol−1) 103.5 57.8 80.6 102.7 22.1 結合解離エネルギー全体に対するイオン性寄与は、AとXの間の電気陰性度の差に起因しており、これらの差がポーリングが元素の個々の電気陰性度を計算する出発点であった。電荷シフト結合の提唱者たちは、イオン型は等核結合の結合解離エネルギー全体には寄与しないというポーリングの仮定の妥当性を再検討した。 彼らは、現代原子価結合理論を使用して発見したのは、いくつかの場合では、イオン形態の寄与が重要であることであった、最も顕著な例は、F2、フッ素であり、彼らの計算は、F−F結合の結合エネルギーが完全にイオン性寄与によるものであることを示している。
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