卵果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/27 01:31 UTC 版)
卵果(らんか)とは、十二国世界におけるあらゆる生き物の卵の総称である。木の実の形をしている。十二国世界では人間も動物も母親ではなく卵果から生まれる(鳥は卵を産むが、素卵なしではその卵から雛が孵ることは無い)。植物は種をまけば育つが、新種の作物の種はやはり卵果から生まれる。人間や家畜や農作物は里木、獣や魚や植物は野木、麒麟と女怪は蓬山の捨身木に実る。どの木も白銀のように白く、枝ばかりで葉も花も無い。また、妖魔が近づかない。いかなる動物も里木や野木の下では殺生が出来ない。食う食われるの関係にある動物は時期をずらして生まれてくる。 捨身木(しゃしんぼく) 蓬山の迷宮の奥にある、世界で唯一麒麟と女怪の卵果が実る里木。麒麟は捨身木の枝に、女怪は捨身木の根に実り、その位置は対をなす。捨身木の根の部分は半球状の空洞になっており、そこには腰の曲がった老婆がいる。彼女が女怪に名前を付けている。 路木(ろぼく) 国の王宮の福寿殿にある。王のみが祈りを捧げる事ができる。王の子供や新しい穀物などの植物の実を付ける。路木に実った新植物は、次の年にその国の里木に種の入った卵果が実る。 野木(やぼく) 里木より小さい。枝は細いが堅牢で剣を以ってしても断ち切れない。枝に付いた黄金の実は溶接されたように取る事ができない。野木には勝手に卵果が実り、勝手に孵る。魚などの水棲動物の場合は水の中に野木がある。鳥や魚など卵を産む動物は野木に実る素卵(そらん)を飲み込む事で子供を宿した卵を産む。野木の下では殺生ができないことを利用して野宿する者の寝床にされる。野木の中には、新しい植物を生みやすい木と生みにくい木が存在するらしく、そのため猟木師(プラントハンターを生業とする朱氏)は機密保持の為に後を付いてきた者を殺す、と恐れられている。流行病が最初に発生した場所の野木の根元には、天の配剤により今必要とされる薬草が他の植物より多く生える(群生する)傾向があるという。野木が生み出した種子は必ずしもその土地に合った物とは限らない為、猟木師は野木から生まれた植物を育てる際には根から土を落して苔球で作った苗床に植え替えてから、その植物の生態を調べる。 里木(りぼく) 路木から枝分けされたものであり、里の存在の根拠である。祈る者が居なくなる(里に人がいなくなる)と枯れる。 人間の場合、夫婦が縁起物の細帯を縫い上げ、それを里木の枝に結び付けて天に祈る。結べば確実に実るわけではなく、夫婦の人格が天に認められれば、その枝に卵果が実り子供が生まれる、とされる。細帯を結ぶ夫婦は同じ国に戸籍があり、正式な婚姻をしていなければならない。1つしか帯を結べないため、十二国世界には人間の双子は存在しない。親子や兄弟など親族の顔が似ていないのは十二国世界では当たり前で、十二国世界の人間が、蓬莱や崑崙の人間は親族で顔が似ていることが多いというのを聞くと不気味がる。家畜や農作物は一月後に、子供の場合は十月十日後に生まれる。帯を結んだところは一抱えもある黄金の卵果になる。 卵果は生命が生まれる前日にもぎ取るが、親にしかもぎ取れない。子供の場合は早く生まれてくるように、と験を担いで卵果にヒビを入れる。その風習から転じて、甕棺を埋葬する際に「再び卵果に還れ」という意味で甕にヒビを入れる風習がある。 なお、里木に祈る日は何を願うかによって決まり、月の何日であるかによって1日 - 鶏や鴨などの鳥 2日 - 狗 3日 - 羊、山羊 4日 - 猪、豚 5日 - 牛 6日 - 馬 7日または9日以降 - 人(7日に願うといい子になると言われている) 8日 - 穀物(王だけが願うことが出来る) という風に決まっている。
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