卵殻の色
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/03 14:46 UTC 版)
卵の色が、卵の品質や味に影響を及ぼすことはない。しかしながら、主として美容上の問題において、特定の色の地域や国の嗜好及びそのような好みの異同が存在する。この問題は、生産上の大きな問題に帰結することがある。例えば、米国の殆どの地域では、鶏卵は一般的に白色である。米国北東部のいくつかの地域、特にニューイングランドにおいては、報道機関が、「茶色の卵は地方の卵であり、地方の卵は新鮮である」と宣言したところ、茶色の卵がより一般的になるに至った。ロードアイランドレッドを含む地元の鶏種は、茶色の卵を産む。茶色の卵は、コスタリカ、アイルランド、フランス、英国でも好まれている。ブラジルとポーランドでは、白い鶏卵は一般的に産業用とみなされ、茶色か赤いものが好まれる。小規模農場や小規模農家、特に経済先進国では、白、茶色、斑点(赤)、緑色、青色の組み合わせ(レグバー等、アラウカナを含む特定の品種によって栽培されている)の卵を同じ箱や容器に入れ販売することと同時に、スーパーマーケットは、その国や地域で好まれる色の大型生産者からの卵を販売の主流としている。 これらの文化的傾向は長年にわたって指摘されてきた。ニューヨーク・タイムズ紙は、第二次世界大戦中に、ボストンの主婦は、茶色の卵を、ニューヨークの人々は、白い卵を好んだと報じる。1976年2月、サイエンス誌は鶏卵の問題について議論している。同誌は、「主婦は特に、卵の色が気になり、白い卵は並の値段を払うのだが、茶色の卵に、より多く払うことを好む」と述べている。先述のような文化的傾向の結果として、茶色の卵は通常、生産量が低いところ、白い卵が「普通」とみなされる地域で購入するほうがより高価である。フランスと英国では、白い卵を買うことは非常に難しく、ほとんどのスーパーマーケットは、より一般的である茶色の卵だけを販売している。前者においては茶色の卵が主として市場に出されていることに対し、エジプトでは、茶色の卵を供給することは非常に難しい。卵の、消費者の需要はほとんどが白いものである。最大の生産業者は、白い卵を、「テーブルの卵」と呼び、茶色の卵を輸出用と位置付けている。 1970年代に、フランスの研究所が実施した調査によれば、チリのアラウカナの鶏の、青い鶏卵はより強度があり、破損しにくいという。 1990年に、日本大学で研究したところ、購入する卵を決定する際に、日本の主婦には、複数の異なる問題が重要であることが明らかとなった。しかし、色に関しては、これら要因の中でも独特の要因であって、ほとんどの日本の主婦は、白を好んでいたという。 卵の生産者は、品種間で卵の色が変わるため、生産に使用される鶏の品種や品種を選ぶに際し、文化的背景やその問題、商業的な事情を注意深く考慮する。生産者と、養殖業者の間では、茶色の卵はしばしば「色がかった」と形容される。一方で、一部の消費者が好む、斑点のある卵は、しばしば「赤玉」と呼ばれる。
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