印象主義とその克服とは? わかりやすく解説

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印象主義とその克服

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/02 15:22 UTC 版)

ポール・セザンヌ」の記事における「印象主義とその克服」の解説

パリで、ピサロから、戸外で自然を見て描くという印象主義発想教えられ田園風景画描き始める。彼は、印象派通して色彩解放することを知った。しかし、モネアルフレッド・シスレーが、色彩によって、瞬間的な色調変化や、その場雰囲気伝えようとしたのに対しセザンヌは、色彩による堅固な造形目指している点に特徴がある。第1回印象派展出品した首吊りの家』においては明る色彩用いながら、一瞬映像ではなく建物の力強い実在感や、空間構成しようとする意図表れている。 ゾラセーヌ川沿いに購入した家を描いたメダンの館』でも、水平線垂直線作り出す構図中に、短い筆致ストローク)が秩序立って並べられており、キャンバス表面における秩序追求されている。このように色調微妙に変えながら、斜めに平行して筆致並置することで秩序生み出そうとする技法は、シオドア・レフ(英語版)によって構築筆致名付けられた。最初ロマン主義人物群像用いられていたが、1879年-80年頃から、風景画用いられるようになったまた、形態喪失という印象派抱える問題点克服するために、輪郭線の復活によって対処しようとしたルノワールとは異なりセザンヌは、人物静物風景問わず物の形を、面取りをしたように、面の集合として捉えた上でキャンバス上に小さ色面貼り合わせたように乗せ立体感強調した1895年以降作品には、構築筆致よりも広い色面が、撒き散らされたように並べられている。そして、伝統的な明暗法や肉付法が、無彩色により陰影付けていたのとは異なりストローク筆致)で分割され有彩色段階的に変化させるモデュラシオン(転調)という技法により、明暗量感表現したその代わり、肌の質感輝きは、切り捨てられている。彼の「自然を円筒、球、円錐によって扱う」というフレーズは、幾何学的形態への還元勧めるものと解釈され、後のキュビスム理論的基盤与えた。もっとも、セザンヌ真の意図については様々な解釈があり、自然界の物が眼との距離によって様々な色彩見せるため、モデュラシオンを行う必要があるという意味だとも言われるセザンヌ1880年代静物画では、緊張感はらんだ歪みデフォルマシオン)が現れるオルセー美術館にある『果物籠のある静物』では、砂糖壺が傾いていたり、壺が上から覗き込んでいるように描かれているのに対し果物籠が横から見たように描かれているなど、複数視点混在していたり、テーブル左右稜線食い違っていたりという、多くデフォルマシオン生じている。それが物の圧倒的な存在感をもって見る者に迫ってくる要素となっている。こうした独特の造形は、同時代の人々からは激しく非難されたが、これも後のキュビスムによって評価されることになる。 セザンヌは、晩年、「自然にならって絵を描くことは、対象模写することではない、いくつかの感覚(サンサシオン)を実現(レアリゼ)させることだ」と述べていた。このように、「感覚の実現レアリザシオン)」はセザンヌスローガンとなるが、そこでいう感覚には、自然が網膜もたらす色彩刺激という意味と、自然から得た感覚統御し秩序構築する芸術的感覚という意味の二つがあった。すなわち、モネ代表される印象派が、眼を通して受け入れた感覚世界色彩分解してキャンバス写し取ることを追求したのに対しセザンヌにとっては、見ることとは、自己の内部にある知的秩序に基づく認識作用であり、しかも、認識対象は、赤や青の斑点ではなく、りんごや山といった実在であった。「絵画には、二つのものが必要だ。つまり眼と頭脳である。この両者は、お互いに助け合わなければならない。」という言葉にも、彼の考え方表れている。

※この「印象主義とその克服」の解説は、「ポール・セザンヌ」の解説の一部です。
「印象主義とその克服」を含む「ポール・セザンヌ」の記事については、「ポール・セザンヌ」の概要を参照ください。

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