印象主義の体現
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 06:30 UTC 版)
モネは、印象派を代表する画家とされている。モネは自ら「私はいつも理論は嫌悪してきた。私がやったことといえば、直接自然を前にして、きわめて逃げ去りやすい効果に対する私の印象を正確に表現しようと努めながら描き続けたということだけだ」と述べるように、印象派グループの理論や体系を打ち立てたわけではないが、鋭敏な観察力と感受性をもって、絶え間なく変わり続ける風景に対する印象をとらえ、表現しようとした彼の作品は、印象派の美学を体現するものとなった。ベルト・モリゾは、モネの作品について「彼の絵を見れば、日傘をどちらの方に向ければよいか、すぐ分かる」と述べている。また、ポール・セザンヌは晩年、「モネはひとつの眼だ。絵描き始まって以来の非凡なる眼だ。私は彼には脱帽するよ」と語り、モネへの敬意を表している。 印象派の絵は、当初はアカデミズム絵画の理想に程遠いことから嘲笑・酷評されたが、ついに革命に勝利したといえる。モネは、ルノワールとともに長生きし、その成果を十分味わうことができた。印象派の絵は価格が高騰し、各国の美術館や収集家が競って欲しがる宝物となっていった。このことは、美術批評の権威を失わせ、印象派に続く画家たちにも、世に迎え入れられなくても革新的な方法を追求するための勇気を与えた。
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