前進座との提携とは? わかりやすく解説

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前進座との提携

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 01:05 UTC 版)

山中貞雄」の記事における「前進座との提携」の解説

1935年春の『丹下左膳余話 百萬両の壺』の撮影中、山中稲垣同作出演者沢村国太郎とともに前進座俳優たちが出演した池田富保監督の『清水次郎長』(1935年)の撮影見物した前進座歌舞伎界の封建制反旗を翻した四代目河原崎長十郎三代目中村翫右衛門などの歌舞伎俳優結成した劇団で、同年日活ユニット製作の契約結んでいた。山中前進座若々しさ謙虚さ芸道修業の熱心さに感心し、彼らと一緒に仕事をしたいと思うようになり、自分から進んで前進座との仕事申し出た山中前進座最初提携作品は、長谷川伸原作の『街の入墨者』(1935年)で、山中単独シナリオ書き1935年9月から10月にかけて撮影行った。『街の入墨者』は前科者であるが故に世間から冷たい目を向けられる男の悲劇描いた作品で、長十郎がその前科者翫右衛門が彼をかばう義弟演じ前進座女形五代目河原崎国太郎芸者役で起用するという野心的な試み行われた作家川崎長太郎が「日本に於いて写実主義映画と名をつけ得られる最初作品」と賞賛たように批評家からは「時代劇映画におけるリアリズム到来実感させる作品」と高く評価され、とくにリアリスティックな生活描写や自然な日常会話などを褒められたが、女形起用不評だった。キネマ旬報ベスト・テンでは2位選出され興行的に成功収めた。 『街の入墨者完成後の10月末、山中完成急かされていた稲垣監督の『大菩薩峠 第一篇 甲源一刀流の巻』(1935年)の応援監督駆け付けたその間には予備役教育召集受けたが、入隊延期されている。11月には大河内主演次回監督作怪盗白頭巾前後篇(前篇1935年後篇1936年公開)のシナリオ三村執筆し、すぐに撮影始めたが、撮影中の12月7日には母のヨソ68歳亡くなった。母想いだった山中は、1925年に父を亡くしてから母に育てられ独立してからも一緒に暮らしていたため、母の死対す落胆ははげしかった。『怪盗白頭巾』は雲霧仁左衛門物語コメディ仕立て映画化した作品で、それまで山中作品同様に明る内容だったが、母を亡くしてからの作品内容多少暗いものになっていった。 1936年1月、母を失った山中自宅ひとりいることに寂しさ感じ城崎温泉行ってスキーをした。そこへ鳴滝組メンバー稲垣八尋滝沢合流し鳥取県皆生温泉滝沢監督の『宮本武蔵 地の巻』(1936年)のシナリオ執筆し、それから関の五本マツ松江出雲旅行した旅行から戻るとすぐに三村と、2度目の前進座との提携作品となる『河内山宗俊』(1936年)のシナリオ執筆し2月から4月にかけて撮影した。『河内山宗俊』は松林伯圓講談天保六花撰』を基にした河竹黙阿弥歌舞伎演目天衣紛上野初花』を自由に改変した作品で、長十郎演じヤクザ者の河内山宗俊翫右衛門演じ金子市之丞が、命をかけて2人マドンナ存在である娘を守るという物語であるが、批評家の評価はあまり芳しくなかった。 『河内山宗俊撮影中の3月日本映画代表的監督たちが互い親睦を図るとともに日本映画の向上に尽く目的日本映画監督協会結成し山中もその発足メンバー名を連ねたまた、その前後には同じく発足メンバー溝口健二内田吐夢伊丹万作などと知己得た5月には大河内主演お盆興行映画海鳴り街道』(1936年)のシナリオ梶原金八執筆し6月から8月にかけて撮影した。『海鳴り街道』も講談天明白浪伝』中の稲葉小僧物語映画化した作品で、批評家からは「トーキーによって講談世界再構成したに過ぎない」と指摘されその評価山中作品の中で最も低かったこの前後には荻原監督昇進のために『お茶づけ侍』(1936年)のシナリオ執筆し、さらに未完シナリオ荒木又右衛門』(1936年)を萩原監督2作目にするため完成させた。一方自分監督作については、日活へ三好十郎原作の『斬られの仙太』の映画化申し込んだ拒否され、その次に企画した邦枝完二原作の『浮名三味線』も実現せず結局同年秋は1本も監督作作ることがなかった。

※この「前進座との提携」の解説は、「山中貞雄」の解説の一部です。
「前進座との提携」を含む「山中貞雄」の記事については、「山中貞雄」の概要を参照ください。

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