分枝 (化学)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/04 05:49 UTC 版)

分枝(ぶんし)とは、高分子化学においてポリマー鎖の途中の水素原子が他の鎖の末端に置換し、鎖の途中からさらに鎖が生成されること、およびその構造をいう。短鎖分枝、長鎖分枝とに大別できる。
ゴムに加硫を行うと、イソプレン鎖の間に硫黄の短鎖による架橋結合が生じ、高度に分枝した 熱硬化性のエラストマーが得られる。さらに多量の加硫を行えば硬質の固体であるエボナイトとなり、これは喫煙用パイプの吸い口などに用いられる。ポリカーボネートも分枝によって架橋結合を形成し、より硬く衝撃に強い熱硬化性樹脂となるが、これは安全ガラスに使われる。
分枝は炭素-炭素結合、炭素-酸素結合などを含む様々な共有結合によって形成される。縮合反応によるエステル結合やアミド結合が一般的なものである。
分枝しているが架橋構造を持たない高分子は、通常、熱可塑性を持つ。分枝は高分子を合成する際にはしばしば自発的に起こる。例えばエチレンのラジカル重合などでみられ、分枝を防いで直線状のポリエチレンを得るには特殊な方法を要する。一方、合成法の異なるナイロンなどのポリアミドの場合は直線状の物のみが得られる。ただし3つ以上のアミノ基を持つポリアミンとジカルボン酸をモノマーとして用いると、星型に分枝したナイロンが生成する。
天然の高分子としては、酵素を触媒としたグルコースの重合によって、分枝した構造を持つ多糖、例えばグリコーゲン、アミロペクチン、デンプンなどが知られる。直鎖状のものはアミロースと呼ばれる。
フェノール樹脂は非常に高度に分枝しており、架橋によるネットワーク構造を持つ。
関連項目
「分枝 (化学)」の例文・使い方・用例・文例
- 軸に沿って存在する、扁圧されたあるいは膨らんだ小さな分枝が特徴の褐藻
- 迷路を供給する基底動脈の分枝である動脈
- 脚と足の内側に皮枝を供給する大腿神経の分枝
- 武装イスラム集団のアルジェリアの過激派イスラム教の分枝
- 温帯北部地域の主に多年生の直立して分枝する草本の大きな属で、有毒のものもある
- 熱帯中央アジアおよびアフリカ産の直立生の一年草で、葉を生ずるほとんどの節に分枝した一対のとげを持つ
- 堅く分枝した旧世界産の一年生植物で薄い黄色の花が咲く
- 分枝した木性の茎と明るい黄色の花を持つ多年生草本
- カリフォルニアおよびメキシコ産の丈が高く、分枝する亜低木で、銀青色の葉と大きな芳香性の白花が目的でしばしば栽培される
- 北米産の多く分枝するよく見られる多年草で、ヒースに似た葉と小さい星形の白い花を持つ
- 北米西部産の低く分枝する低木の属
- よく分枝する植物で、有毛の葉と茎を持ち、茎のそれぞれに細い白、ピンクまたは薄紫の舌状花を持つ単性の頭花をつける
- 華やかな花を持つ、丈の高い、直立性あるいは分枝した一年生あるいは多年生の草本:ヒマワリ
- 銀色がかった葉と小さい白花を持つ、テキサスとメキシコ北部産の、多く分枝する亜低木
- 綿毛で覆われた茎と葉と、黄色い花を持つ、分枝し、香りのよい地中海沿岸の低木
- 非常に白い羊毛の茎と葉がある地中海の地域硬い多分枝性の多年生植物
- 大きな黄色からオレンジ色の頭状花序を持つ、分枝する丈夫な一年生植物
- 米国中部で牧草としていくらか価値のある細く分枝するアメリカの草
- 地上にある球根から成長する明るい緑の茎のために装飾物として栽培される多分枝性の葉のない巻きつく南アフリカのハーブ
- 葉または他の植物器官の通道組織と支持組織の分枝状組織を形成する維管束または肋
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