出版サイドによる主張
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 02:36 UTC 版)
「流血の魔術 最強の演技」の記事における「出版サイドによる主張」の解説
高橋は本書出版の動機について、落ち込んでいたプロレス人気を「なんとか再浮上させたい」という思いであり、本書の出版が「足を引っ張ってしまう」ことになるのではないかという懸念を持ちながらも出版に踏み切った。高橋は、「プロレスが真剣勝負ではなくても、命懸けのショーだということを明らかにすることによって、世間から胡散臭さをもって見られていたプロレスのグレーゾーンを取り払ってしまい」、「それによって、プロレスを上質なエンターテインメントとして世間に認知させたかった」、そして「そのためには時間がかかるかもしれないし、私自身が厳しい立場におかれることも承知のうえ」であったと主張している。プロレスの人気が低迷した原因について高橋は、K-1やPRIDEの台頭を挙げており、とくに「ストロングスタイルを売り物にしていた」新日本プロレスは「その基盤を失ってしまった」と分析している。高橋は、「K-1やPRIDEが出てこなかったら、私はカミングアウトの必要はなかったと思いますよ」と述べている。 さらに高橋は、1999年にアメリカでWWF(後のWWE)が株式公開する際にカミングアウトをし、さらに同年製作の映画『ビヨンド・ザ・マット』で同団体における「プロレスの打ち合わせ風景などがそのまま紹介され」、「インターネットが普及によって、世界中の情報が容易に得られるようになっていた中で、『日本のプロレスはそうではない』と言い張っていても仕方がなかったのだ」とも述べている。高橋は『ビヨンド・ザ・マット』を観たときに「アメリカの情報公開はここまで進んでいるのか!」という衝撃を受け、日本のプロレスが人気低迷を打開するには「WWEに倣ったカミングアウトしかないのではないかと考えるようになった」のだという。高橋は、「プロレスの本家であるアメリカ」がカミングアウトを行ったのだから、「分家である日本がプロレスは真剣勝負だと言い張ち続けていても、ファンがそれを信用するはずがない」と主張する。 高橋は、プロレス業界の「『長年、守ってきたプロレスの秘密を公開されてしまった』、『臭いもののフタを開けられてしまった』という狼狽」や困惑が「大きければ大きいほどファンの興味も膨らみ、新時代にふさわしいプロレスの発展に繋がるだろうと考えたのだ」と述べている。しかし同時に「冷たい石を温めるのに10年はかかる」、「自分の考えが理解されずに、窮地に立たされても仕方がない」と覚悟もしていたという。高橋は、「この本がプロレス界に与える衝撃は大きなものになるのも覚悟はしていたし、大きなものにならなければ意味がなかった」とも述べている 『週刊ゴング』元編集長の金澤克彦は、本書のプロデューサーから、アメリカにおけるプロレスの舞台裏を描いた映画『レスリング・ウィズ・シャドウズ(英語版)』を観て感動し、「日本のプロレスもそういう形で表現する時代になっていると思った」ことが出版の動機であったと聞いたと述べている。金澤によるとプロデューサーは出版後、「それなのに、まるで業界の一部からは戦犯扱いだよ」と困惑の声を上げていたという。 高橋は本書において、新日本プロレスを退職したのと同じ時期に、同社の子会社として警備会社を設立することを計画するもとん挫したことを記述している。そのため、後述のように本書出版の動機を「新日本プロレスの子会社として警備会社を作る計画が流れた腹いせ」とする見方もあるが、高橋はこれを否定している。高橋によると、当該記述の趣旨は「引退後のレスラーを取り巻く現状」について提言することにあったのだという。高橋によると1996年に引退勧告を受け、同時に2年間の猶予を与えられたため、その間にかねてから考えていた警備会社設立を実行に移すとしたのだという。その目的は、グループ内に警備会社を立ち上げることで警備員配置にかかるコストを下げ、同時に引退したプロレスラーを幹部として処遇することにあったという。 高橋は『週刊プロレス』元編集長のターザン山本が2009年発行の『最強の格闘技』(竹書房)において、本書が自身のアドバイスに基づいて執筆されたものであると発言していることを取り上げ、「驚いたのを通り越して、失笑してしまった」と否定している。また高橋は、同書において山本が「新日本プロレスを追放され、食うに困って出版した」という主旨の発言を行っていることについて、出版当時は新たな職に就いていたとして否定している。 高橋によると、本書出版後ある編集者から、高橋が出版直前の時期に新日本プロレスに対し、「この本を出されたくなかったら300万円出せ」と恐喝したという記述が出版予定の書籍の中にあるが真実かと問い合わせを受け、それを否定したところ、その記述は削除されるという出来事があった。高橋はこの件について「ガセネタの発生源は新日本プロレスの関係者」だと指摘し、「おそらくは、醜聞を流し、私を卑劣な悪者に仕立てることで、『流血の魔術~』に対する論点をずらそうとしたのではないかと推察される」と主張している。
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