俳句の近代化と無季とは? わかりやすく解説

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俳句の近代化と無季

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/04 01:01 UTC 版)

無季俳句」の記事における「俳句の近代化と無季」の解説

明治中期正岡子規天保以来宗匠俳句陳腐に堕した「月並調」として退け連句から独立した俳句れっきとした文藝一分野であると宣言し写生方法機軸として俳句近代化進めた。『俳諧大要』(1899年)では、子規俳句における季語について、その季節に関する広い連想呼び起こすものであり、俳句という短い形式において必要なもの位置づけ、「四季の聯(連)想を解せざる者は終(つい)に俳句解せざる者なり」と書いている。その上で無季(雑)の句について、 雑の句は四季聯想なきを以てその意味浅薄にして吟唱堪へざる者多し。ただ雄壮高大なる者に至りては必ずしも四季の変化待たず故に間々(まま)この種の雑の句を見る。古来作る所の雑の句極めて少(すくな)きが中に過半富士詠じたる者なり。しかしてその吟唱すべき者、また富士の句なり。 と書き富士山詠んだ句なら無季でも構わないだろうという認識示している。子規自身富士詠んだ無季句の実作試みており、子規死後にまとめられ句集寒山落木』(1924-26年)には「不二は朝裾野は暗のともし哉(かな)」「富士の山より下の広さかな」といった句が収められているが、いずれも拾遺句・抹消句として収録されているもので成功作ではない。 子規没後明治40年1907年)頃から大正期にかけて河東碧梧桐新傾向俳句運動推進し季語暗示的な用法や、写実主義影響のもと、人為廃して対象に迫るべきことを説いた「無中心論」を展開、結果として定型季語季題)・季感は軽視された。碧梧桐自身季語季題捨てることまではしなかったが、この新傾向俳句運動の周辺から、「層雲主宰荻原井泉水やその弟子尾崎放哉種田山頭火、「試作」(のち碧梧桐代わり海紅主宰)の中塚一碧楼が、それぞれ季語定型囚われない句作提唱し、彼らによってしばしば無季口語によって作られる自由律俳句流れ作り出されていった。また自由律栗林一石路橋本夢道中心に季題囚われないプロレタリア俳句運動展開した。 走つてぬれてきて好いだという 荻原井泉水まっすぐな道さみしい 種田山頭火入れ物が無い両手で受ける 尾崎放哉赤ん坊生えてうまれ来し夜明け 中塚一碧楼しんじつたべ酔うた百姓よろしき雨降り 栗林一石路べっとり濡れた今日賃金同じだ 橋本夢道 こうした新傾向俳句広まりに対して一時俳壇退いていた高浜虚子1913年頃に俳壇復活季語定型重視する立場表明し守旧派」を自称した1928年頃からは「客観写生」の理念加えて花鳥諷詠」の理念説き俳句とはすなわち季節の風物花鳥風月)を詠むのであるとして無季俳句排斥する立場を取る。虚子主宰するホトトギス」の伝統俳句俳壇主流となり、これにより「季語持たないものは俳句ではない」という観念広まっていった。なお20超えると言われる虚子の句の中には無季の句もあり、以下のような数句が確認できるが、いずれも後年になって句集全集などから削除されたり、別の句に差し替えられたりしている。 虎の皮の褌に居るかな 明治32年祇王寺留守の扉や推せば開く 大正14年我に似し人を気おひてけなしけり 昭和5年雨漏りを指さす人と瓦廊かな 昭和11年荷物置き上着脱ぎかけ発車待つ 昭和12年面舵取り灯台右舷に見 昭和15年公園茶屋亭主無愛想 昭和16年

※この「俳句の近代化と無季」の解説は、「無季俳句」の解説の一部です。
「俳句の近代化と無季」を含む「無季俳句」の記事については、「無季俳句」の概要を参照ください。

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