栗林一石路とは? わかりやすく解説

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栗林一石路

栗林一石路の俳句

どつと笑ひしがわれには病める母ありけり
シヤツ雑草にぶつかけておく
冬菊や英霊に母としてすわる
 

栗林一石路

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/07 04:40 UTC 版)

栗林 一石路(くりばやし いっせきろ、1894年明治27年)10月14日 - 1961年昭和36年)5月25日)は、日本の記者、俳人である。戦前の自由律俳句の俳人、プロレタリア俳句運動、小林一茶の評論研究家として知られる。本名は栗林 農夫(くりばやし たみお)。

経歴

長野県小県郡青木村に生まれる[1]。1905年、母親の再婚にともない、栗林姓となる[1]1911年荻原井泉水自由律俳句誌『層雲』を読み、共感して同人に加入する[1]1920年に信濃黎明会が結成されると、普選運動軍縮運動に参加。1923年に上京し[1]改造社に勤務しながら句作に励む[1]。1927年、改造社を退社して新聞聯合社(のちに同盟通信社となる)に入社[1]。社会部の記者となり岡村二一の部長時代に次長を務めた。在職中に青木宏という偽名を使い、「赤旗」に投句していた[2]

1929年、第一句集『シャツと雑草』を刊行[1]。プロレタリア俳句運動に没頭し、1931年に『層雲』を離脱する[1][2]1934年橋本夢道たちとともに『俳句生活』を創刊し、生活俳句を訴えた。同盟通信社会部長の時、1941年2月5日の朝、世田谷の自宅で治安維持法違反の容疑により逮捕された(新興俳句弾圧事件)。玉川警察署に連行され、2年4ヶ月を未決勾留のため巣鴨拘置所で過ごし、1943年12月の裁判では懲役2年(執行猶予3年)の判決となったが保護観察の対象とされ、同盟蓼科農場の責任者として終戦を迎えた[3]。ジャーナリストとしては、1945年に松本重治たちと新聞「民報」を創刊[1]、編集局長となる。同紙は1948年にGHQの用紙統制により廃刊となった[1][3]

戦後、1946年には石橋辰之助、東京三(秋元不死男)、富澤赤黄男湊楊一郎らと新俳句人連盟を設立、初代幹事長に就任する。1948年には、『俳句芸術論』を刊行し、桑原武夫の「第二芸術論」の批判をした。その後も俳句運動の中心的存在として活躍した。またソ連のヤロビ農法の普及に努め、『ヤロビの谷間』を著した。1961年5月25日午後5時、世田谷区の自宅で肺結核のため死去[1]。66歳没。

息子の栗林一路は登山家であり、『山の計画手帳』『中年からの山歩き入門』(共に山と溪谷社)など、登山に関する本を出版している。

主な著書

『栗林一石路句集』(新日本文庫1978年
栗林農夫名義
  • 『俳句芸術論』(新文芸社、1948年
  • 『時代のままっ子 - 小林一茶』(伊藤書店〈少年少女伝記読本〉、1949年
  • 『俳句と生活-その歴史と伝統』(岩波新書1951年
  • 『ヤロビの谷間』(青木文庫、1954年)(ミチューリン運動を取材したルポ)

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j k 栗林一石路展示資料室”. 青木村役場. 2025年1月7日閲覧。
  2. ^ a b 日野百草「戦前の自由律における社会性俳句」『橋本夢道の獄中句・戦中日記』 287頁
  3. ^ a b 桜田義文「その生涯と仕事」『私は何をしたか 栗林一石路の真実』 117-121頁

参考文献

  • 桜田義文「その生涯と仕事」 栗林一石路を語る会編著『私は何をしたか 栗林一石路の真実』信濃毎日新聞社 2010年
  • 滝澤忠義『信州の人物余聞』 ほおずき書籍 2010年
  • 鳥居英晴『国策通信社「同盟」の興亡』花伝社 2014年
  • 日野百草「戦前の自由律における社会性俳句」 殿岡駿星編著『橋本夢道の獄中句・獄中日記』勝どき書房 2017年



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