作品39とは? わかりやすく解説

作品39

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/21 16:51 UTC 版)

音の絵」の記事における「作品39」の解説

実質的にラフマニノフロシア時代完成させた最後の曲集である。1920年ベルリンにおいて、クーセヴィツキー夫妻経営するロシア音楽出版Edition Russe de Musique)により刊行された。作品39の楽曲個別分冊されて出版されており、合本による全曲出版1969年ブージー&ホークス社版まで出なかった。 ラフマニノフ特有な高貴なメランコリーノスタルジー湛えた叙情的な旋律は、第5曲除いて現れず、リズム的な練習曲終始するものや、トッカータ的な曲想を持つもの、ムソルグスキープロコフィエフグロテスクな表現に近づいたもの中心となっている。ベックリン絵画作曲影響与えたという説もある。有名な第6曲は、とりわけ中間部バルトークの《アレグロ・バルバロ》に近づいているのも興味深い全体的に超絶的な技巧を必要とするエチュード第1曲 ハ短調 アレグロ・アジタート さまざまなテクスチュア練習曲で、左手オクターブ右手急速なアルペッジョ重音トレモロ両手の房状和音、クロスリズム、クロスフレーズ、シンコペーションなどの要素現れる第2曲 イ短調 レント・アッサイ 「海とかもめ」として有名。演奏技巧としては単純ながらも、多様なテクスチュア含まれており、タッチ難しい。この憂鬱な作品で、演奏者楽曲地味な雰囲気強調しないように自重要求される単調な演奏ならないように神経尖らすことが求められる。クロスリズムの練習曲であり、3拍子左手アルペッジョと、1小節2分割する右手旋律という楽想現れる悲劇的詩的な雰囲気のうちに終結迎える。 第3曲 嬰ヘ短調 アレグロ・モルト さまざまな音程の練習曲。すばやい跳躍や一音一音を繊細に演奏することが求められる9拍子こまやかな音にエネルギッシュな3拍子刻み豊かな和音アクセントは非常に魅惑的なハーモニー薫らす弾きこなしていく過程次々とメロディーライン美しさ響き妖しさ気付かされる一曲第4曲 ロ短調 アレグロ・アッサイ 手と指を広げる練習曲拍子記号示されておらず、3拍子2拍子4拍子自在に変化するさまざまなかたちで1音を連打するという発想盛り込まれている。 第5曲 変ホ短調 アパッショナート ソナチネ形式もしくは展開部のないソナタ形式として構成されており、スクリャービンの《練習曲 嬰ハ短調作品42-5似た構成を採る。右手は弱い指で情熱的な旋律奏でつつ、同時に残りの指で和音押さえることが要求されており、左手密集位置和音や2オクターブにわたるアルペッジョ求められている。旋律切れないようにする技術と、左手音量旋律掻き消されないようにする注意力求められる難曲である。 第6曲 イ短調 アレグロ―ピウ・モッソ―プレスト赤頭巾ちゃんと」と評されている。逃げ惑う幼児押し寄せてくる恐怖ユーモア交じり描き出している。中間部速度上げてスタッカート演奏される急速な和音や、面倒な16分音符の音型が含まれている。左手本当に大きな跳躍や、両手にばら撒かれ明らかに半音階進行オクターブ目立っている。 第7曲 ハ短調 レント(ルグブレ) 作品33-3似た荘重な葬送行進曲という曲想を採る。和音ユニゾンさまざまな音程の練習曲第8曲 ニ短調 アレグロ・モデラート 重音叙情的な表現練習曲開始曲想第3曲に似ている。音が濁らないように、厳密なペダリングと、しなやか独立した指、敏捷さ求められるリズム練習曲に始まるが、中間部息の長い明示されレガート旋律線が現れ後半部スタッカート部分好対照生している。 第9曲 ニ長調 アレグロ・モデラート(テンポ・ディ・マルチア) 行進曲。曲集中唯一長調」と銘打たれている。曲集を締めくくるにふさわしい演奏効果の高い壮大な曲。

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