仏教での愛と慈悲とは? わかりやすく解説

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仏教での愛と慈悲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 04:30 UTC 版)

「愛」の記事における「仏教での愛と慈悲」の解説

仏教における、いわゆる"愛"(英語でlove相当するような概念)について説明するには、「愛」と翻訳されている概念と、「慈」や「悲」と翻訳されている概念について説明する必要がある。 「愛」に相当する概念にはサンスクリット語ではtRSNaa तृष्णा、kaama काम、preman प्रेमन्、sneha स्नेह の4種がある。 愛 tRSNaa (トリシュナー) 人間の最も根源的な欲望であり、原義は「渇き」であり、人が喉が渇いている時に飲まないではいられないというような衝動をいう。それに例えられる根源的な衝動人間存在奥底潜在しており、そこでこれを「愛」とか「渇愛」と訳し時には恩愛」とも訳す。 広義には煩悩意味し狭義には貪欲と同じ意味である。 また、この「愛」は十二因縁組み入れられ第八支となる。前の受(感受)により、苦痛を受けるものに対して憎しみ避けようという強い欲求生じ、楽を与えるものに対してはこれを求めよう熱望する苦楽の受に対して愛憎の念を生ず段階である。 kaamaカーマkaamaはふつう「性愛」「性的本能衝動」「相擁して離れがたく思う男女の愛」「愛欲の意味用いられる。これを「婬」と表現することが多い。 仏教では、性愛については抑制説いたが、後代真言密教になると、男女性的結合絶対視するタントラ教影響受けて仏教教理男女の性に結びつけて説く傾向現れ男女交会涅槃そのもの、あるいは仏道成就とみなす傾向さえも見られた。 密教空海によって日本導入された時は、この傾向払拭されたが、平安末期「彼の法」集団俗に立川流混同される)が現れ男女交会理智不二当てはめた。 性愛を表す愛染という語も、この流れであり、しばしば用いられる慈悲 preman, sneha preman, snehaは、他人に対する、隔てのない愛情強調する。 子に対する親の愛が純粋であるように、一切衆生に対してそのような愛情持て教える。この慈愛の心を以て人に話しかけるのが愛語であり、愛情こもった言葉をかけて人の心を豊かにし、励ます。この愛の心をもって全ての人々助けるように働きかけるのが、菩薩理想である。 仏教でも人のことを深くおもい大切にする、という概念はある。ただし「tRSNaa」や「kaama」の中国語での翻訳字として「愛」の字を当てたため、別の字を翻訳字として当てることになったのである。仏や菩薩が、人々のことを思い楽しみを与えることを「maitrīと言うが、その翻訳としては中国語では「慈」の字を、人の苦しみ取り除くことkaruṇāには「悲」の字を用い、それらをあわせて慈悲」という表現呼んだ。 特に大乗仏教では、慈悲智慧並んで重要なテーマであり、初期仏教段階ですでに説かれていた。最古仏典のひとつとされるスッタニパータ』にも慈悲の章がある。 あたかも母が己の独り子をば身命賭けて護るように、一切生きとしいけるものに対しても、無量慈しみのこころを起こすべし。全世界に対して無量慈しみ心を起こすべし(『スッタニパータ』) 一切衆生対す純化され想い(心)を慈悲という。それは仏だけでなく、普通の人々心の中にもあるものだと大乗仏教では説く観音菩薩(や聖母マリア)は、慈悲象徴ともされ慈悲感じることができるように表現されている。

※この「仏教での愛と慈悲」の解説は、「愛」の解説の一部です。
「仏教での愛と慈悲」を含む「愛」の記事については、「愛」の概要を参照ください。

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