主なローズウッドの品種
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 07:46 UTC 版)
「ローズウッド (木材)」の記事における「主なローズウッドの品種」の解説
ローズウッドは、マメ科のツルサイカチ属(Dalbergia)に属し、主にインドやマダガスカル、中南米に多くみられる。東南アジアなどの国々では人工的に植林されるなどされている。ツルサイカチ属であってもアフリカン・ブラックウッドなど近年、商業的に販売され始めた木材などでは種類をわかりやすくするためにあえて○○・ローズウッドとして名付けられないことも多い。 Dalbergia sissoo - 標準和名: シッソノキ; 通称:インディアン・ローズウッド、本紫檀、インド・ローズウッド インドやパキスタン、ネパールなどのヒマラヤ山脈周辺原産のローズウッド。ローズウッドの中では最も高級とされ、古代からシルクロードの交易品として親しまれ、中世のヨーロッパでは貴族の家具として使われていた。日本でも唐木細工の国宝や仏壇などに使用されている。 Dalbergia latifolia - 和名: マルバシタン; 通称:(イースト・)インディアン・ローズウッド、紫檀、ソノケリン、インドネシア・ローズウッド インド西部原産のローズウッド。現在ではインドネシアを中心とする東南アジアでも木材の産業として植林されているためローズウッドとしての供給量が最も多い品種。インディアン・ローズウッドと比べると軽く柔らかいのが特徴。 Dalbergia oliveri - 通称:ビルマ・ローズウッド、手違紫檀(テチガイシタン)、チンチャン ミャンマー原産のローズウッド。他のローズウッドと比べるとオレンジ系の茶色である。日本では古くから本紫檀ではない異なるローズウッドが注文で来てしまったという意味で手違紫檀という俗称がある。 Dalbergia cochinchinensis - 標準和名: シタン; 通称:サイアミーズ・ローズウッド、ベトナム・ローズウッド、カンボジアン・ローズウッド、パイオン タイやベトナム、カンボジアなどが原産のローズウッド。インディアンローズウッドによく似ており、現地の唐木細工や家具などで使用されている。 Dalbergia cultrata - 通称:カムピー・ローズウッド、ラオス・ローズウッド、ビルマ・ブラックウッド タイなどが原産のローズウッド。現地で唐木細工や家具として使用されている。 Dalbergia nigra(ダルベルギア・ニグラ)- 通称:ブラジリアン・ローズウッド、ハカランダ ブラジル原産のローズウッド。アメリカ大陸発見以降に主にアメリカで高級家具や楽器で銘木として使用され始めた。インディアンローズウッドと比べると導管が細く茶色味が強いのが特徴。第二次世界大戦後、ブラジルの経済発展から林地の住宅化が進み一時期絶滅危惧種として指定された(現在は解除されている)。また1992年にワシントン条約で今後絶滅のおそれがあるとして附属書Iに登録され、輸出入するには経済産業省の許諾が必要となっている。 Dalbergia spruceana - 通称:アマゾン・ローズウッド ブラジルやボリビア原産のローズウッド。ブラジリアン・ローズウッドと近い品種であり、見た目や性質が似ているため代替材として使用されることが多い。北米などでは家具や楽器に使用されている。 Dalbergia cearensis - 通称:キングウッド ブラジル原産のローズウッド。家具やオーボエ、弦楽器の指板などに使用されている。 Dalbergia decipularis - 通称:チューリップウッド 北ブラジル原産のローズウッド。通常のローズウッドと比べると色が薄いが特徴。 Dalbergia frutescens - 通称:ブラジリアン・チューリップウッド ブラジル原産のローズウッド。通常のローズウッドと比べると色が薄い。 Dalbergia stevensonii - 通称:ホンジュラス・ローズウッド、ニュー・ハカランダ ベリーズ原産のローズウッド。ブラジリアン・ローズウッドが高価になり始めた戦後、新たな代替材としてニューハカランダとして主にマリンバやギターなどの楽器に使用され始めた。他のローズウッドと比べると色が薄いのが特徴。国立公園や私有地などで自生しているものを現地のギャングによって違法伐採が頻繁に行われているため、現在ワシントン条約の附属書IIに登録され厳密な仕入先を管理されている。 Dalbergia retusa(ダルベルギア・レトゥサ)- 通称:ココボロ、サザン・アメリカン・ローズウッド メキシコやコスタリカ、コロンビアなどの中南米原産のローズウッド。古くから原住民や開拓民によってナイフや銃器などの武具の柄に使用されていた木材。他のローズウッドと比べると赤みが強く、独特な木目をもつのが特徴。国立公園や私有地などで自生しているものを現地のギャングによって違法伐採が頻繁に行われているため、現在ワシントン条約の附属書IIに登録され厳密な仕入先を調査/管理されている。 Dalbergia tucurensis - 通称:ユカタン・ローズウッド、パナマ・ローズウッド、ニカラグアン・ローズウッド ユカタン半島などの中南米原産のローズウッド。他のローズウッドと比べると非常に薄い茶色である。万年筆や食器などで使われる。 Dalbergia melanoxylon - 通称:アフリカン・ブラックウッド 南アフリカのサバンナで生育しているローズウッド。真っ黒の見た目でありローズウッドの中でもトップクラスの硬さがある。エボニーの代替材として使われていたが、近年オーボエやギターなどの楽器用途での需要が高まっている。 Dalbergia baronii - 通称:マダガスカル・ローズウッド、パリサンダー マダガスカルを中心とするアフリカ原産のローズウッド。原住民にはあまり使用されていなかったが、戦後、欧州や中国で家具や楽器用として需要が高まった木材。茶色味がやや強くローズウッドの名前が冠する中では最も硬く重い品種である。国立公園や私有地などで自生しているものを現地の武装ギャングによって違法伐採が頻繁に行われているため、現在ワシントン条約の附属書IIに登録され厳密な仕入先を管理されている。 Dalbergia maritima - 通称:ボア・ド・ローズ、マダガスカル・ローズウッド マダガスカルを中心とするアフリカ原産のローズウッド。通常、マダガスカル・ローズウッドはDalbergia baroniiの事だが、これらの品種も含めて総称として使われる場合もある。
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