ツルサイカチ属とは? わかりやすく解説

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ツルサイカチ属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/20 09:39 UTC 版)

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ツルサイカチ属
シッソノキ Dalbergia sissoo
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: マメ目 Fabales
: マメ科 Fabaceae
亜科 : マメ亜科 Faboideae
: ツルサイカチ連 Dalbergieae
: ツルサイカチ属 Dalbergia
学名
Dalbergia L.f.

ツルサイカチ属(つるさいかちぞく)またはヒルギカズラ属、学名 Dalbergia(ダルベルギア)はマメ亜科の一つ。低木または木本つる植物からなる。ツルサイカチ属は世界に広く分布しており、熱帯アメリカアフリカマダガスカル、およびアジア南部を原産とする。ツルサイカチ属の規模については、異なる専門家たちがそれぞれ 100 から 600 あると挙げたまま、争点になっている。ILDIS は 159 種を認めている。

本属のダルベルギア・ニグラD. nigra、通称: ブラジリアン・ローズウッド)は2017年10月4日から有効となっているワシントン条約附属書Iに、それ以外のツルサイカチ属の種は全て同条約の附属書IIに記載されている[1]

属名の由来

スウェーデンの植物学者ニコラス・ダールベルク (Nicholas Dalberg 1736–1820) への献名である。

用途

総説

ツルサイカチ属の多くの種は重要な木材用樹木で、装飾的であり、しばしば芳香油が豊富に含まれていて芳香性があるであるために価値がある。ツルサイカチ属の木々でもっとも有名なのはローズウッドで、その香りがもとで俗にそう名付けられているが、別のいくつかの有用な木々もこの属に含まれる。

ローズウッドと呼ばれているほとんどの木々は、樹形が美しく、材は鮮やかな茶褐色をしている。ここで留意すべきは、すべてのツルサイカチ属の種のごく一部だけがローズウッドであるということである。

ツルサイカチ属の複数の種は、何種類かのチョウ目幼虫の、食草または食樹として利用されている。その中には、シッソノキ Dalbergia sissoo を選択的に採餌するチビガ科の幼虫も含まれている。

各種

西洋で高く評価される秀でたローズウッドはブラジリアン・ローズウッド Dalbergia nigra であり、バイーア・ローズウッド、リオ・ローズウッド、パリサンデル・デ・リオ・グランデ、ジャカランダとしても知られる。過去[いつ?]にひどく伐採されすぎて、今ではワシントン条約 (CITES) の対象である。

西洋で2番目に愛好されるローズウッドは、マルバシタン Dalbergia latifolia で、イースト・インディアン・ローズウッドあるいはインドネシア産のものはソノケリンとしても知られている。

チューリップウッド Dalbergia decipularis は、赤やサーモン・ピンクの縞模様が入ったクリーム色をしている。この木はよく中張りベニヤや他のベニヤに用いられる。これはアメリカ合衆国で「チューリップウッド」と呼ばれ、あまり高価ではない家具に用いられるユリノキとは別である。

黒っぽい縞模様の入った紫色の材を持つ、ブラジル産のキングウッド Dalbergia cearensis も同様に用いられる。チューリップウッド同様小振りの木であり、高さ10mまで成長する。他に有名な木材としては、主にダルベルギア・レトゥサDalbergia retusa)に由来する中央アメリカの木材ココボロがある。この木は、切ったばかりの表面は華やかで装飾的なオレンジ・レッドの外観をしているが、空気にさらされるとすぐに色あせ、落ち着いた色調と色相になる。

ブラジリアン・ローズウッド Dalbergia nigra から作られた製品を再輸出するには、ワシントン条約(CITES)の許可が必要である[2]

インドの土産物屋では、あたかもローズウッドで作ったかのように、ときどき紫に着色されているシッソノキ(インディアン・ローズウッド) Dalbergia sissoo 製の品物を売っている。この種類の木は、最良の状態で工具の柄に使用することができる[3]

アフリカン・ブラックウッド Dalbergia melanoxylon は、極めて黒い木で、木管楽器を作るのに需要がある。

主な種

経済学的に重要な種を挙げる。

ヤマハの茶色いオーボエに用いられている。
  • シタン [4](Dalbergia cochinchinensis) - 別名ケランジィ、サイアミーズ・ローズウッド(Siamese Rosewood)、タイランド・ローズウッド(Thailand Rosewood)、トラックウッド(Tracwood)、ソアイ(Xoay)、クララン(Kralanh)
  • チューリップウッド (Dalbergia decipularis) - 別名チューリップウッド(Tulipwood
  • Dalbergia ecastaphyllum - コインヴァイン(Coinvine)
  • ブラジリアン・チューリップウッド (Dalbergia frutescens、シノニム: Dalbergia variabilis) - 別名ハカランダ・ロサ(Jacaranda Rosa)、パウ・ヂ・フソ(Pau de Fuso)、パウ・ロサ(Pau Rosa)、ピンクウッド(Pinkwood)、チューリップウッド(Tulipwood
  • マルバシタン[4] (Dalbergia latifolia) - 別名ボンベイ・ブラックウッド(Bombay Blackwood)、イースト・インディアン・ローズウッド(East Indian Rosewood)、インディアン・パリサンダー(Indian Palisandre)、ジャヴァ・パリサンダー(Java Palisandre)、マラバール(Malabar)、ソノケリン(Sonokeling)、シーシャム(Shisham)、シツァル(Sitsal)、シタン
  • アフリカン・ブラックウッドDalbergia melanoxylon) - 別名アフリカ黒檀、アフリカン・エボニー(African Ebony)、アフリカン・グレナディーヨ(African Grenadillo)、バンバナス(Banbanus)、エブヌ(Ebene)、グレナディージャ(Grenadilla)、ムピンゴ(Mpingo)、パウ・プレト(Pau Preto)、ポイー(Poyi)、ゼブラウッド(Zebrawood)
  • ヴァロニカ (Dalbergia monetaria) - 別名マニーブッシュ (Moneybush)
  • ブラジリアン・ローズウッド (Dalbergia nigraダルベルギア・ニグラ) - 別名バイーア・ローズウッド(Bahia Rosewood)、カビウーナ(Cabiuna)、ジャカランダ(Jacaranda)、ジャカランダ・ヂ・ブラジル(Jacaranda De Brasil)、パリサンダー(Palisander)、パリサンドリ・ダ・ブラジル(Palisandre da Bresil)、ピアノウッド(Pianowood)、リオ・ローズウッド(Rio Rosewood)、ローズウッド(Rosewood)、オブイーナ(Obuina)
  • メキシカン・ローズウッド (Dalbergia palescrito) - 別名パロ・エスクリト(Palo Escrito)
  • ココボロ (Dalbergia retusaダルベルギア・レトゥサ) - 別名カヴィウナ(Caviuna)、ココボロ・プリエト(Cocobolo Prieto)、フネラム(Funeram)、グラナディージョ(Granadillo)、ヤカランダホルツ(Jacarandaholz)、ナンバー(Nambar)、ニカラグアン・ローズウッド(Nicaraguan Rosewood)、パリサンダー(Palisander)、パリッサンドロ(Palissandro)、パロ・ネグロ(Palo Negro)、パウ・プレト(Pau Preto)、ローズウッド(Rosewood)、ウラウナ(Urauna)
  • シッソノキ(インディアン・ローズウッド) (Dalbergia sissoo) - 別名アガラ(Agara)、アガル(Agaru)、エラシッス(Errasissu)、ゲッテ(Gette)、ヒフー(Hihu)、インディアン・ローズウッド (Indian Rosewood)、イルヴィル(Iruvil)、イティ(Iti)、クジュラップ(Khujrap)、パディミ(Padimi)、サフェダール(Safedar)、シーシャム(Sheesham)、シーシャム・ウッド(Sheesham Wood)、シーシュマ(Shishma)、シーショム(Shishom)、シンスーパ(Sinsupa)、シッスー(Sissoo、シスー(Sisu)、ターリー(Tali)、テナハ(Tenach)、トゥクリークン(Tukreekung)、イェッテ(Yette)
  • ホンジュラス・ローズウッド (Dalbergia stevensonii) - 別名ノガエド(Nogaed)

画像

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ Appendices. (CITES). 2018年7月5日閲覧。
  2. ^ U.S. Fish & Wildlife Service.
  3. ^ SCN LENDS SUPPORT TO CRCP AGAINST TREE FELLING AT AYUB PARK.
  4. ^ a b E.J.H. Corner、渡辺清彦『図説熱帯植物集成』廣川書店、1969年、263頁。

関連項目


ツルサイカチ属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/08 07:16 UTC 版)

シタン」の記事における「ツルサイカチ属」の解説

ツルサイカチ属 Dalbergia には150200種が属すが、その大半つる性草本であり、銘木級の用材産するのは2030種である。 中でもケランジィ、マルバシタンのうちインドローズ、ココボロは、希少市場価値高く、特に「本紫」と総称されるケランジィパイオンタイローズウッドSiam rosewoodDalbergia cochinchinensis Pierre タイインドシナ産。シタン代表種で、本紫1種心材比重1を超えきわめて緻密タイではパユン (phayung)、ラオスではカムフン、ベトナムではチャック (trắc、トラックは英語風発音) と呼ばれるマルバシタン Dalbergia latifolia Roxb. インドジャワ産。材質ケランジィ同様だが、黒色の縞がある。インド自生するものはインドローズ (Indian rosewood) と呼ばれ本紫含まれるが、インドネシア植林されたものはソノケリン (sonokeling、本来の読みはソノクリン) と呼ばれ市場価値は低い。なお、同属のシッソノキ Dalbergia sissoo も Indian rosewood呼ばれ区別のために本種を East Indian rosewood とも呼ぶ)、シタン語源であるシーシャム sheesham の別名もあるが、日本シタンとされるのは本種のほうである。 ココボロココボロノキ、cocobolo、Nicaragua rosewoodDalbergia retusa Hemsl. (ダルベルギア・レトゥサ中央アメリカ・南アメリカ産。本紫1種テーブルナイフスプーンの柄に使われる。 テチガイシタン(手違紫檀、縞紫檀チンチャンDalbergia oliveri インドシナ半島産。ビルマチューリップウッド(Burma tulipwood)、ビルマローズウッド (Burmese Rosewood)、ラオスローズウッド (Laos Rosewood)、アジアローズウッド (Asian Rosewood) とも呼ばれタイではチンチャン (ching chan)、ミャンマーではタマラン (tamalan; ビルマ語: တမလန်း)、ラオスではカンピ (kham phii) と呼ばれるホンジュラスローズ Dalbergia stevensonii 中米産

※この「ツルサイカチ属」の解説は、「シタン」の解説の一部です。
「ツルサイカチ属」を含む「シタン」の記事については、「シタン」の概要を参照ください。

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