ダルベルギア・レトゥサとは? わかりやすく解説

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ダルベルギア・レトゥサ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/04 19:38 UTC 版)

ダルベルギア・レトゥサ
ダルベルギア・レトゥサより得られたココボロ
保全状況評価[1]
CRITICALLY ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : バラ上群 superrosids
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : マメ類 fabids
: マメ目 Fabales
: マメ科 Fabaceae
: ツルサイカチ属 Dalbergia
: ダルベルギア・レトゥサ D. retusa
学名
Dalbergia retusa Hemsl.[1]
シノニム

ダルベルギア・レトゥサ[4]Dalbergia retusa Hemsl.)とは、中米原産のツルサイカチ属の植物の一つである。同属の D. granadillo Pittier とともにココボロ材(cocobolo)という木材が得られる(参照: #利用)。ダルベルギア・ニグラD. nigra、通称: ブラジリアンローズウッド、附属書Iに記載)を除くツルサイカチ属の種全体が2017年10月4日から有効となっているワシントン条約附属書IIに記載されている[5]ため、ダルベルギア・レトゥサに関しても附属書IIが適用される。ダルベルギア・レトゥサはニカラグアローズウッド英語: Nicaragua rosewood)や granadillo とも呼ばれる[6]

分類

命名者の異なる Dalbergia retusa Baill.D. pervillei Vatke という種のシノニム扱いであり、これは本種とは分類学的に別種である[2][3]

分布

中央アメリカ(具体的にはエルサルバドルグアテマラコスタリカニカラグアパナマベリーズホンジュラスメキシコ[1])やコロンビア[7]に自生する。この高木は中規模で乾燥地に生育し[8]、樹高20-30メートル、胸高直径1メートルに生長する[9]

特徴

は直立して高くなることもあるが、不規則で根本近くで分枝することの方が多い[8]。円柱状の樹形となる[要出典]

樹皮は褐色で[要出典]、縦に裂け目ができることがある[8]

は奇数羽状複葉で、通常は対生かほぼ対生の小葉11-13枚を伴い、下面が明るい黄緑色か白っぽく、円形で先端には小さな刻み目が見られる[8]

は白く[8]、蝶形花を1月から3月にかけて開く[要出典]

果実は平たく、翼状のには輪郭のはっきりした1-3個の種子が含まれる[8]

紛らわしい植物との見分け方

同じマメ科アコスミウム属英語版Acosmium)の植物も小葉それぞれに小さな刻み目が見られることもあり大変紛らわしいが、アコスミウム属の植物の小葉はそれほど下面が白くなく、通常は葉軸に沿って互生となる[8]。またアンディラ属英語版Andira)の植物もダルベルギア・レトゥサと類似しているものの、刻み目がない対生の小葉が見られる[8]。ほかにDiphysa (enDiplotropis (enPlatypodium (enヴァタイレア属英語版Vatairea)といったマメ科植物もいささか似通った葉を持つ[8]

利用

ダルベルギア・レトゥサや同じツルサイカチ属の Dalbergia granadillo Pittier からはココボロ材という木材が得られ[10][11]楽器材やナイフの柄、象嵌細工やろくろ加工品などに用いられるが、加工の際に出る木屑で肌が橙色に染まったり、かゆみを伴う炎症を起こす恐れがある[9][12][6]

保全状況

CRITICALLY ENDANGERED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))[1]

ダルベルギア・レトゥサは材木としての伐採が盛んに行われ、以前は広く見られていた地域でも完全に枯渇してしまっているという状況が特にコスタリカにおいては顕著である[1]。生育地では400年にわたって伐採が行われ、牧畜や土地を焼き払う活動が原因となって個体数が減少し続けている[1]

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d e f Barstow & Linares (2020).
  2. ^ a b c d The Plant List (2013).
  3. ^ a b c d Roskov et al. (2018).
  4. ^ 「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)」の附属書IIIの改正について~新たな掲載種の追加~ (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部貿易審査課・農水産室、2011年12月7日). 2018年6月21日閲覧。
  5. ^ Appendices. (CITES). 2018年6月16日閲覧。
  6. ^ a b ギブス (2005).
  7. ^ 村山 (2013).
  8. ^ a b c d e f g h i Condit, Pérez & Daguerre (2011).
  9. ^ a b ウォーカー (2006).
  10. ^ Rich (1970:86).
  11. ^ 第14回ワシントン条約締約国会議 in ハーグ 木材種 編(トラフィック英語版)。2018年6月14日閲覧。
  12. ^ 河村・西川 (2014).

参考文献

英語:

日本語:

  • エイダン・ウォーカー 編、乙須敏紀 訳『世界木材図鑑』産調出版、2006年、82頁。 ISBN 4-88282-470-1(原書: The Encyclopedia of Wood, Quarto, 1989 & 2005.)
  • 河村寿昌、西川栄明 共著、小泉章夫 監修『【原色】木材加工面がわかる樹種事典』誠文堂新光社、2014年、148頁。 ISBN 978-4-416-61426-6
  • ニック・ギブス 著、乙須敏紀 訳『木材活用ハンドブック』産調出版、2005年、94-95頁。 ISBN 4-88282-450-7(原書: The Wood Handbook, Quarto, 2005.)
  • 村山元春 監修、村山忠親 著『増補改訂 原色 木材大事典185種』誠文堂新光社、2013年、157頁。 ISBN 978-4-416-71379-2

関連項目




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