中部電力側の研究・反論など
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/21 14:33 UTC 版)
「浜岡原子力発電所」の記事における「中部電力側の研究・反論など」の解説
中部電力は自前の振動試験設備を活用し、1990年代に運転員が載った状態で制御室内の機器を操作出来るのかを実験したことがある。この時は振動台の上に模擬制御盤を設置し、加振の程度を数段階変えた上で下記の試験を実施している。 運転員に数パターンの警報シナリオ操作を実行させる 警報に伴うパソコン上に表示された指示値の内オーバーしたものの読み取り この結果、警報シナリオにおいては警報に対する操作内容が直感的に分り難い場合には精神的負荷も相俟って誤操作を誘発する可能性があると推定された。また、指示値読み取りにおいては自動停止する程度までの地震動では問題なく操作出来たものの、基準地震動S2による制御室での応答波(水平840Gal,鉛直416Gal)の入力では9割以上の運転員が読み取りに困難を覚えた。このため、地震の際一定の加速度以上で自動停止する現行のシステムは妥当と評価された。 また、本発電所については日本建築学会の学術講演梗概集にて中部電力、中電不動産などによる地震動の解析、実際の地震記録をシミュレーションで再現する研究などが複数回発表されている。2005年には、「原子力発電所耐震設計技術指針 JEAG4601-1987」で提示されている多質点並列地盤モデルを用い、4号機のプラント全体を連成させたシミュレーション結果が提示されており、地盤定数の算出に遺伝的アルゴリズムを採用するなど、時代の進歩に応じた技法が取り入れられ、実際発電所各階で観測した最大応答加速度と良い対応を示したという。また、同誌で発表などから、中部電力がプラントや建屋、地盤をどのような質点系としてモデル化しているのかや、建屋重量など実際のプラントのスペックについても読み取ることが出来る。2008年10月には、次世代軽水炉の開発プロジェクトに協力し、構内で免震試験装置の設置工事を開始した。また、検討を試みた1、2号機ばかりではなく、ABWRプラントにおいても免震化設計の研究記事を、鹿島建設と共同で発表している。 なお、中部電力は折に触れて下記の懸念に対する反論を行っており、ウェブサイトにて一覧化されている。告発の中には原子炉建屋基礎岩盤強度確認に関わっていない会社の者が原子力発電所の設計者を名乗り「岩盤強度・核燃料の固有振動数・建屋の減衰をごまかしている」などと述べたものがあるという。 このほか、地震動の脅威についても『動力』での藍田正和が次のような反論をしている。地震動が作用した際、よく指摘される最大加速度よりも、「建物、設備の固有周期」と「固有周期周辺の波長での地震波の大きさ」との比較が重要される。原子力発電所の重要施設は剛構造のため固有周期は0.3秒程度と一般の土木建築物より短周期である。そのため、藍田によれば「長周期側で最大加速度のピークを迎える基準地震動のような地震波は耐震安全上問題とならない」旨の評価をしており、地震波を建物に入力した際の建物の揺れ方を示した応答加速度は、基準地震動や中央防災会議で想定した東海地震動の場合、長周期側では小さくなっている図を交えて説明している。
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